現在使われている帳票を見てください。ケイ線の使い方に十分配慮し、正しく効果的に使用している帳票がどれだけあるでしょうか。
昨今のデジタル化の普及により、「色彩・アミ」や複雑な「飾りケイ」などを、誰もが容易に使用できるようになりました。しかし「色彩・アミ」の使用率が高まる以前の帳票は、「ケイ線」と「文字」だけで構成されてきた経緯から、帳票にとっての「ケイ線」と「文字」は、"デザイン以前の問題"と捉えられているようです。つまり、帳票にとってあまりにも当たり前の要素であり、「ケイ線」と「文字」を、帳票の機能的なデザインのための重要な要素であるという認識に欠けているのです。
それでは、ここでケイ線の具体的な、3つの機能と使用目的を再確認してみましょう。
1.分割・区分する
境界を示すことにより、項目を分類したり、記入すべきエリアを作り出す。
2.視線を導く
読みやすく、書きやすいようにリードする。また、強調するという機能もある(アンダーライン、引き出し線など)。
3.飾る
美しさなど美観性を高めたり、イメージを演出する。
1と2は、帳票の実用性に関する基本的な機能を満たすためのものであり、3は見た目に関わる付加的な機能を満たすためのものです。
これらの機能を十分に理解してケイ線を使うことが、使いやすい帳票を作成するためには不可欠です。
ここで、ケイ線の1と2の機能、使用目的は、前回(第1回)の『基本設計』における、「ゾーニングを活かした配置」での内容と重複するものであることがお分かりいただけると思います。つまり、帳票を構成する要素は全て、エリア分け、視線のリード、そして装飾、これら3つの目的を考慮してデザインされるべきなのです。
また、「分割・区分する」、「視線を導く」という、実用性に関する機能を高めていくと、おのずと『機能美』に到達し、実用性と同時に「見た目の美しさ」も兼ね備える帳票が出来上がるでしょう。
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