■ 不要なケイ線を省く工夫
次に、ケイ線を使うコツについて考えてみましょう。
前述の通り、ケイ線は、帳票を構成する要素のエリア分け、視線のリード、そして装飾という目的を満たすように使われなければなりません。不用意にケイ線を多く用いると、この目的に反して煩雑さを増し、分かりやすさ、機能性、そして美しさまでを損なうこととなります。
つまり、これらの目的から外れる「不要なケイ線を省く」こと、これがとても重要なケイ線の使い方のコツなのです。
一昔前のアナログによる版下作成では、実際に紙上に線を引いての作業であり、どうしてもケイ線が多くなりがちな傾向にありました。 しかし現在のデジタルによる版下作成においては、色やアミを使うことも容易であり、データ上で何度も線を描いたり消したりというリトライも容易であるため、不要なケイ線を省いて、より洗練された使い勝手の帳票に仕上げることが可能でしょう。
では、実際にどのような「ケイ線」を省くことが可能か、考えてみましょう。
1.記入欄とその周囲を「色彩・アミ」と「白地」で区別する。(図1)
「分割・区分する」という目的を「色彩・アミ」で果たしています。
2.ヨコケイを省いてデザインをスッキリと。(図2)

印字機器による帳票作成では、各行がきれいに揃って打ち出されるので、ヨコケイは無い方が全体のデザインとしてスッキリします。
ただし、1行が254ミリ(10インチ)以上の横幅の長い記入欄においては読みやすさ、書きやすさを考えた視線のリードが必要でしょうから、全てのヨコケイを省くのではなく、上記(1)の「色彩・アミ」と「白地」での区別や、ヨコケイを細くする、薄くする、破線などのヨコケイを数行ごとに引く、などの工夫も併せて必要でしょう。
3.タテケイを省いてデザインに開放感を。(図3)
タテケイも、省けるものは無いか考えましょう。エリア分けや視線のリードに不要であれば省くのはもちろん、ヨコケイ同様「色彩・アミ」と「白地」での区別などに置き換えるのも有効でしょう。
また、両サイドのタテケイを省くと開放感のあるデザインになります。 →"引きはなしケイ"という手法です。
4.不要な囲みケイはないか。(図4)

帳票上の宛名欄の囲みなどはとってみましょう。図の例は、窓アキ封筒で郵送する帳票に多く見られる宛名欄の囲みケイですが、宛名印字前の空白スペースを恐れてつい囲みたくなります。しかし実際の印字後は、「様・御中」といった文字だけの方がスッキリしたデザインとなります。
5.不要なアンダーラインはないか。(図5)

タイトルなどのアンダーラインも、不要なケイ線のひとつです。アナログや、ひと昔前のワープロによる作成では、強調、装飾のため多用されてきました。
文字だけでは目立たない、不安定、などと思い、ついつい「目立たせたければアンダーラインを・・・」と多様しがちです。
しかし現在のデジタル環境においては、フォントの種類も十二分にありますし、文字のみでもスマートなレイアウトが可能なはずです。タイトルを飾りたい場合はむしろ、フォントを変えたり、アミ、色帯、太いケイなどで意図的にデザインするべきでしょう。
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