グリーンレポート
特集:流通小売業講座<前編>
-流通小売業講座<前編>- 2/8

2.流通小売業界の勝ち組と負け組<NO.2>

 また、小売業界の中で、“勝ち組”と言われてきたコンビニエンスストア業界も曲がり角を迎えています。平成15年7月の既存店売上高は、前年同月比7.3%減と、統計を取り始めた平成10年12月以来、最大の落ち込みとなりました。
 既存店の閉鎖も増えており、全国のコンビニ店主・オーナーなどで組織する「コンビニ・FC加盟店全国協議会」によると、平成13年には、直営店を除いた全国のフランチャイズコンビニ店の、新規出店3,556店に対し、閉鎖は2,316店にのぼりました。閉店はここ数年、2,000店前後の高水準が続いています。しかしこれは、各社が効率的な店舗展開に努めていることを示す数値でもあります。


小売業の売上高・店舗数の推移

 そんな中にも積極的に攻勢を仕掛けている会社や地域もあります。
 名古屋市の松坂屋本店は今年9月「新南館」を増床オープンし、売り場面積が計8万6,747平方メートルと東武百貨店池袋本店を抜き、国内最大の百貨店となりました。東京ドームの約1.8倍の広さを生かし、新南館は売り場や通路に余裕を持たせ、各階に個性的な休憩所も設置。新ブランドを多くそろえ、女性向け衣料や美容・健康関連売り場を充実させています。
 名古屋では売上高首位の松坂屋以外にも、同2位の三越名古屋栄店が今年8月に改装オープン、平成17年には新館をオープンさせるなど、大手が軒並み秋の改装に取り組み「名古屋デパート戦争」の様相となっています。名古屋の百貨店業界を刺激しているのは、平成12年3月にJR名古屋駅に開店したジェイアール名古屋高島屋。「立地の良さとゆったりとした売り場構成」が人気で、4年目の今年も高成長を維持し、2位の三越に迫る勢いです。
 玉川高島屋ショッピングセンターは、今年11月全館リニューアルオープン。28の海外高級ブランドを集めたブランド店街「アレーナ通り」が登場します。同一施設内のブランド集積では国内有数の規模に。また、都内最大級規模5,200平方メートルの食料品ゾーンが完成。本館の食料品フロアを「フーズシティ」、玉川高島屋の食料品フロアを「タマガワタカシマヤ フーズギャラリー」として生まれ変わりました。
 セブン-イレブン・ジャパンは今年8月末で店舗数一万店を突破。さらに今後年間1,000店ペースの出店で、国内二万店規模を目指すという目標を掲げました。
 また近年、東京では「丸ビル」「六本木ヒルズ」、大阪では「なんばパークス」といった商業施設とオフィスビルの大型複合施設が相次いで開業し、にぎわいを見せています。これらはいずれも大都市の中心部に位置しており、都心回帰の動きとしても注目されています。
 全体的に低調な流通業界のなか、当然のことかもしれませんが、あまり落ち込みのない会社、あるいは逆に売り上げを伸ばしている会社ほど、積極的な動きを見せていることが分かります。


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