グリーンレポート
特集:ビジネスフォーム業界の現状と今後の展望(その2)

-ビジネスフォーム業界の現状と今後の展望(その2)- 4/6
成長が期待される商品

3.DM関連の商品
 巻折りの商品は、当然DMとしても使用できるが、その他にもDM関連は商品の種類が多い。今、フォーム業界ばかりでなく、印刷業界でもDM関連商品が注目を浴びている。大変革時代を迎えて、フォーム印刷業界の中心製品である伝票や出力用紙が減少したり形が変わって来たりしているが、DMに関連したものは増加している。
 出力用紙や報告書や請求書を考えてみよう。対象者が1万人なら、そのユーザーの数だけ発行すればそれで終わりである。それ以上は必要としない。一方DMを考えてみよう。こちらはあるエリアにPRする場合固定客だけに「今月のお勧め」を配るならリストや報告書と同じである。しかし、新しい見込み客にPRするとなれば、その見込み客の名簿とエリアに基づいて、その数を増やさなければならない。経費節減と部数削減の見直しやリストラ策とは無縁の世界である。可能性に掛けるためにはある県単位、ある階層単位で企画してPRをすることが必要となる。
 現在注目されているものに圧着ハガキがある。1993年にトッパン・フォームズが開発し、プライバシーの保護を目的として使われ始めたが、翌年1月から郵便料金の改定で、封書とハガキの20円だった格差が引き上げられ、封書80円、ハガキ50円と30円の料金差となった。この価格差が引き金となり、プライバシーの保護ができて郵便料金も安くなる理想的な商品として、一挙に需要が伸びることになった。一般DMが開封されずに捨てられてしまうのに対して、圧着ハガキが「剥離する」という動作が付いただけで、何が出てくるかが興味を引くことで、捨てられるものが意外に少ないという調査結果も出ているらしい。
 用紙メーカーも、特種製紙、紀州製紙から始まり、ほとんどのメーカーが製造している。紙の種類も、標準の三つ折り4面タイプ、2つ折り、L折り、Z折り6面対応、往復はがきタイプと種類が多く、さらに多色印刷可能のコート紙タイプやマット紙タイプ等の種類も増え、選択肢は豊富である。

 ■ 各様式の仕様

標準三つ折り4面タイプ
(三つ折りZ型ハガキ)
L折り
(二つ折りL型ハガキ)
Z折り6面対応(縦型)
(新・三つ折6面ハガキ)
標準三つ折り4面タイプ L折り Z折り6面対応(縦型)

 フォーム用は事前に糊がコーティングされている「圧着ハガキ用紙」が主力だが、この用紙では大きなベタ印刷や写真などを入れてしまうと接着力が低下してしまうために、ベタ部をアミに代えるなど、デザインには注意を必要とする。そのためにDMとして使うには制約があったが、アシヤ印刷で印刷後に糊を塗る「後糊タイプ」の光沢糊が作られたことで、DM化に道が開けた。後から糊を塗るだけ、圧着ハガキ用紙よりも工賃割合が増え、仕入れる用紙代は大幅に安くなった。
 それに平行して、Z折りの6面ハガキがフォーム印刷研究会から発表されて、同じ料金で50%の面積が広がり、DMとしての大きな効果が期待される媒体となった。
 糊での接着方法以外に、熱あるいは粘着によるフィルム接着方式もあり、フォーム用としては「圧着ハガキ用紙」が使われ、付加価値UPには「後のり」方式、DM用には「後のり」か「フィルム接着」方式が中心となってきたようだ。最近は後のりで糊を塗りながら同時接着してしまう「ウェット方式」も使われ始めている。
現在の需要を見ると、最大のユーザーは郵政事業庁と社会保険庁で、推定年間で各3億枚程度に達しているようである。
 郵政事業庁の郵便物の引受け総数でも、2001年の郵便はがきの伸びは13.2%と発表されている。全体では伸び悩みとなっているのに対して、大口広告郵便物も5.3%伸び、この二つが目立っている。ハガキの数量が伸びている理由としては、ユーザーの節約志向と、小さなチラシ程度の内容まで盛れる6面ハガキが大きく伸びて、封筒物から転換していることなども影響していると推測される。ハガキ最大の需要の年賀状もインクジェット用紙のみが増えて、全体数量では伸び悩みになっている。
 データ印字目的としてのフォーム用の圧着ハガキ需要はほぼ成熟に達したと見えるが、DM用にはまだまだ伸びがある。特に平判印刷機使用でオフセット印刷でニス引きによる後糊方式が開発されたことで製造が容易になった。印刷レベルに差があり、ベタや写真などの品質から来る難点がなくなったことから、小森、ハイデル、最近はリョービも参入して来た。一般オフセット業界が今まで横目に見ていた圧着ハガキが自分たちの領域になったことで、一般オフセット印刷会社の参入が増え、大きくマーケットは伸びるだろう。DM分野の伸びはさらに大きく需要層を広げるに違いない。
 フォーム印刷会社と一般オフセット印刷会社との区別がなくなったことで、これらの仕事について、従来はフォーム印刷側にメリットがあったものが、多色に関するノウハウや品質などの差別化で厳しい展開が予想される。マーケットは大きくなるが競争は激しくなる。






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