グリーンレポート
特集:ビジネスフォーム業界の現状と今後の展望(その2)

-ビジネスフォーム業界の現状と今後の展望(その2)- 1/6
用紙は大きく変わっている

 では用紙はどのように変化しているだろうか。
 ビジネスフォームの業界では、まず、筆頭に挙げなければならないのは、中心となっていた「印刷物」がなくなって白紙が増加してきたことである。罫線だけのストックフォームでさえも「印刷物」であったことには変わりがないが、白紙になってしまうともうこれは印刷物ではなく、単なる「加工物」という物になってしまう。単票でも連続でも、形はともかく、最大の変化はプリンタの能力アップによって、フォーマット毎の出力が自由にできるようになった。
 ビジネスフォームの業界はコンピュータの発達によって大きく伸びたし、大きなマーケットを確保したわけだが、今ここで、その発達によってそのマーケットが縮小してきている。プリンタもバッチ処理の大型プリンタは使われてはいるものの、ここ10年の変化はネットワークによる分散化の影響も大きい。これにより、管理コストや用紙の維持管理が容易なA4などの小型プリンタが使用されるようになり、連続の用紙からカット判の用紙に変わる動きが顕著になってきた連続用紙の長所、単票用紙の長所連続用紙とカット紙ではそれぞれの長所と短所があり、必ずしもカット紙が優れているわけでもないが、この業界のメイン商品の連続フォーム用紙がカット紙に変わることで、プレ印刷を必要としないものは、単純なコピー用紙の使用になってしまった。(もっとも、分速50ページ以上の高速プリンタでは専用紙が必要である。)
 連続から単票への形が変わっただけでなく、連続用紙ではあってもここ数年で大きく変化していると思われるものに、ロール仕上げによる出力がある。今までの大半のユーザーは、一箱が2000枚などの印刷した折り畳み用紙を使用していたが、レーザープリンタの高速化で一箱の用紙が僅か10数分で用紙切れ、紙交換という状態で、一箱の容量を3000枚か4000枚に増やすことから始まり、銀行系の計算センターや電力会社などの大口ユーザーを中心に、特注の大きい箱でさらに長い用紙を納入するようになったが、運搬に専用設備が必要になるなど対応がむずかしく、ロール紙の希望が出てきた。
 従来のストックフォームが2000枚入りで重量約14キログラムあるのに、3000枚とか4000枚だと、当然重量はその倍の20キロとか30キロとかあるわけで、重すぎてトラブルが続出し、IBMが先鞭を切ることで、ロール仕上げによる巻取り給紙が生まれてきた。 これにも2種類があり、送り穴のピンホール付きの用紙は、フォーム印刷機によって加工されるために、白紙であってもまだ「印刷物」であるのに対して、送り穴もミシンもない、いわば、製紙工場からスリッターに掛けられたままの「巻取り原紙」が、そのままプリンタに掛けられるものも生まれてきた。こうなると、この用紙は印刷会社と関係なくなって、納入は製紙会社や紙卸商からの調達になってしまう。
 現在の要求は原紙との関連で12000m巻きまで使われているようだが、原紙の継目は不可とか、その要求は厳しくなっており、中身は白紙でも仕様は厳しく、これも運搬手段の専用設備や車両が必要になる。また原紙のロス率が高いなど問題は大きい。
 プリンタも従来の印字幅136桁の用紙幅15インチのものから、最近のものはA4用紙の2丁掛けのできる17インチ幅が当たり前になっている。このために印刷機を含む関連機器の全てが用紙幅18インチを要求されるようになった。
 その他の用紙の変化としては、銀行のATMや、小幅のハンディターミナル用端末等には、保守コストの安いサーマルプリンタが主流となり、リボンを使わない感熱紙が使われるようになったこと、配送伝票などに多く使われた裏カーボンが完全に伸びが止まっていること。レーザー・サーマル・インクジェット等のノンインパクトプリンタが普及するにつれ、複写を必要とする用紙が減少してきていることなどが注目される。


銀行のATM用感熱紙


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