グリーンレポート
特集:生産者責任を盛り込み、循環型社会へ。環境関連法と帳票の最新動向
-環境関連法と帳票の最新動向(後編)- 3/6



使用済み自動車管理票(マニフェスト) 自動車メーカーと輸入業者に使用済み自動車*1の再資源化を義務づけるとともに、自動車所有者からリサイクル料金を徴収する「自動車リサイクル法」が2004年末に施行されます。
 現在、国内で年間に廃棄される自動車は約500万台。各地の産業廃棄物処理場は自動車の破砕くずで満杯の状況です。また、廃車からはオゾン層の破壊につながるフロンや、取り扱いが難しいエアバッグなども出てきます。このため自動車リサイクル法では、破砕くずのほか、フロンやエアバッグなども回収・再資源化の対象となります。リサイクル料金は、パソコンリサイクルと同様の前払いで、消費者は新車購入時にリサイクル料金を上乗せして支払います。具体的料金はメーカーが決定しますが約2万円となるもようです。また、使用中の車については法施行後の最初の車検時までに支払うしくみです。
 帳票面では、98年12月より業界独自の「使用済み自動車管理票(マニフェスト)」を運用していましたが、昨年の「改正廃棄物処理法」施行にあわせて、排出者責任をさらに明確にするものになっています。具体的には、排出事業者が最終処分まで処理されたことを確認すること等が新たに義務づけられ、帳票も6Pから7Pに変更されました。またこれに伴って、中間処理業者(シュレッダー事業者)が最終処分業者に対して新たに「シュレッダーダストのマニフェスト」を発行することになり、新たな帳票が発生しています。
 また、2002年10月から施行されるフロン回収破壊法に基づいて、フロンについては2004年末までの過渡的な手段として以下のような処理が必要となります。まず車を廃車にする所有者は、自動車リサイクル促進センターが発行する「自動車フロン券」を2,580円(税込)で購入して自動車とともに回収業者に渡します。業者側はこの「フロン券」とともに、新たに「自動車フロン類管理書」(5P)を発行して、適正処理を徹底することになります。ここでもまた新規帳票が発生する予定です。
 さて、法の施行を前にした業界の動きはどうでしょう。目立っているのは、再資源化事業への参入や解体しやすい新車開発などの動きです。例えば、日産自動車は2002年3月に発売した新型小型車「マーチ」のリサイクル可能率を業界最高水準の95%まで高めました。トヨタ自動車では2001年4月に設立した「自動車リサイクル研究所」でエアバッグや廃オイル、フロンガスの処理の研究を推進。研究成果を解体しやすい車体設計などに生かす狙いです。
 また、使用済み自動車のオークションや中古部品の売買マーケットの構築など新たなリサイクルビジネスも出てきており、マニフェストはもちろん、新たな関連帳票が発生するケースも充分考えられます。
●経済産業省/2004年施行見通し

*1使用済み自動車:道路運送上車両法上、運行の用に供さないと判断し、廃車またはリサイクルの処理がなされる自動車であり、二輪車(原動機付き自転車を含む)も含むものをいいます。


改正後マニフェストの流れ


自動車リサイクル料金の支払い方法



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