グリーンレポート
特集:環境対応への企業努力が不可欠に 印刷業界に迫る「グリーン購入」への潮流
-印刷業界に迫る「グリーン購入」への潮流- 1/9



 大量に生産・消費・廃棄する社会から循環する、環境にやさしい社会へ。その時代の要請から、環境関連の六法が相次いで成立、2001年度から施行されています。その基本となるのが「循環型社会形成推進基本法」です。この法は、わが国の目指すべき社会の姿を「循環型社会」として、廃棄物の発生抑制に取り組み、さらにリサイクルの総合的な取組みを推進しようというものです。その理念は、1. リデュース(廃棄物を少なくする、小さくする)、2. リユース(製品・部品を再利用する)、3. リサイクル(原材料として再利用する)の「3つのR」に集約されます。この"環境理念法"とともに5つのリサイクル関連個別法が2001年より施行されています。
 「グリーン購入法」(正式名称:国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)は国が率先してグリーン購入を推進して、"環境負荷の低い持続可能な社会"を構築することを目的に2000年に策定されました。2001年4月からは「特定調達品目」とその「判断の基準」などを定めた基本方針に基づき実施がスタートしています。同法は、リサイクル品やリユース品をいかに増やすかという需要創出面の対策という点に大きな意味があります。いくらリサイクル法が進んでも、それを需要者(消費者)が購入しないことには、循環型社会自体が成立しないからです。
 法案の主旨は2つ。一つは国などの公的部門が率先してリサイクル品や環境に優しい環境保全型の商品を買う「グリーン購入」を進めること。もうひとつは、環境保全型製品に関する情報提供で、どこに、どんな製品があるのかを知ってもらうことです。
 具体的には、環境物品等のうち重点的に調達すべき「特定調達品目」が14分野にわたって定められ、それぞれについて「判断の基準」と、調達の際に考えるべき「配慮事項」が盛り込まれています。
 このうち、印刷に関するものには「紙類」と「納入印刷物」があり、それぞれに古紙配合率・白色度・塗工量などの基準が決まっています。品目やその判断基準については、開発・普及状況、科学的知見の充実等に応じて常に見直されるとしており、今年2月にも50品目の追加など一部変更がなされました。
 なお同法では、国に対して特定調達品目の調達方針や調達実績の公表を義務づけ、地方自治体にも努力義務が課せられています。もちろん企業や一般消費者にも購入を増やすよう求めています。


グリーン購入法における特定調達品目


グリーン購入・調達は行政・企業・個人が今すぐ取り組める環境保全のスタンダード


環境基本法の主な体系
環境基本法の主な体系


グリーン購入法における特定調達物品等(抜粋)
■紙類
品目
判断の基準
情報用紙
(コピー用紙、
フォーム用紙)
1.コピー用紙については、古紙配合率100%かつ白色度70%程度以下であること。
2.フォーム用紙については、古紙配合率70%以上かつ白色度70%程度以下であること。
3.塗工するものについては塗工量が両面で12g/m2以下であること。
情報用紙
(OCR用紙)
(※OCR用紙は2002年2月に追加)
1.古紙配合率50%以上であること。
2.非塗工であること。または、塗工するものについては塗工量が両面で12g/m2以下であること。ただし、片面の最大塗工量は8g/m2とする。
印刷用紙
1.古紙配合率70%以上であること。
2.非塗工印刷用紙については、白色度70%程度以下であること。
3.塗工印刷用紙については、塗工量が両面で30g/m2以下であること。
4.再生利用しにくい加工が施されていないこと。
(配慮事項:製品の包装は、再生利用の容易さ、焼却処理時の負荷低減に配慮されていること。)

■納入印刷物
品目
判断の基準
納入印刷物
の仕様
印刷用紙に係る判断の基準(紙類参照)を満たす印刷用紙を使用すること。


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