グリーンレポート
特集:帳票需要にプラス要因となる・・・金融業界の最新動向を探る
-金融業界の最新動向を探る- 2/5
「ペイオフ」の解禁で預金の預け替えが激増・・・

 いま金融にまつわる話題で最も注目されているものといえば「ペイオフ(の解禁)」です。
 「ペイオフ」とは、「預金払い戻し」という意味。金融機関が破綻した場合に、金融機関が払っている預金保険料を使って、預金を一定限度額まで預金者に払い戻したうえで、破綻金融機関を清算する仕組みです。
 ペイオフの制度は、1971年の預金保険制度の導入に合わせてスタートしましたが、1996年に金融不安が高まり、凍結の処置がとられました。そのため現在は預金者の預金とその利息は全額保護されています。
金融商品によって違う払い戻し保証  今回のペイオフ解禁は、二段階で実施されることになります。まず今年4月に定期預金、貯蓄預金などの「定期性預金」の保護限度額が元本1000万円とその利息になりました。次いで、2003年4月からは、全預金の合計、すなわち「定期性預金」および普通預金、当座預金など公共料金や買い物の支払いに使われる「決済性預金」を合わせた全額に対して、保護の限度額が元本1000万円とその利息となりました。なお、前記以外の外貨預金、金融債(保護預り専用商品以外)、金銭信託(元本補てん契約なし)などは、2002年4月から保証は一切なくなります。
 ただし、金融機関が破綻した場合、「ペイオフが解禁されると1000万円とその利息だけしか戻ってこない」というのは、必ずしも正確ではありません。破綻した金融機関の資産を処分して、預金の払い戻しに充てるため、実際には1000万円を超える部分についても戻ってくる可能性はあります。
 このペイオフ解禁に対して一般預金者の動きは活発化しています。日本経済新聞が実施した「家計の金融機関イメージ調査」によると、36.6%の世帯が「預金の一部を他行に預け替えた」「預け替える必要がある」と答えています。これを貯蓄・投資残高が1000万円以上の世帯に限ると、68.5%に跳ね上がっています。
 また預け替えの方法としては「複数の銀行に分散」65.4%と最大で、「安全と思われる銀行に集中」が26.1%となっています。
 なお、とかく誤解しがちなのが「限度額1000万円」についてです。同じ銀行でもいくつかの支店に分散しておけばいいかというと、それは間違い。支店が異なっていても名寄せ(合計)が行なわれ、「1000万円とその利息」にとどまります。また、預金の種類が違っても合計で1000万円まで。ただし、社長であっても個人と企業は別の預金として扱われます。
 このペイオフを「印刷」の立場からみると、需要増大に結びつくことが分かります。先にみたように預け替えが頻繁に行なわれるということは、新しい口座の開設、預け入れ、払い出しなどが行なわれるわけで、それぞれに伝票が介在します。また、すでに多くの銀行では、ペイオフを解説したパンフレット等が窓口に置かれています。これなども、ペイオフ解禁があるからこその需要ということができましょう。


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