いかがだったでしょうか。
「基本設計」、「ケイ線」、「文字」、「色彩・アミ」、「レイアウト」と、5回にわたり付加価値の高い帳票を制作するためのノウハウをお届けしてまいりましたが、今回のデザイン例にはそれらが活かされていたでしょうか。
各回のポイントが、それぞれのデザイン例のどこにどのように適用されているかを、考えてみてください。 そして、デザイン例の中に良くない箇所、それらをより見やすく、使いやすい帳票とするための方法が見えたなら、それを実践に活かしてください。それが応用であり、当講座が少なからず役立った証しでもあります。
全6回、限られた情報量ではありましたが、当講座が、見やすく使いやすい、美しく機能性に富んだ帳票制作の指標となれば幸いです。 当講座の基本事項を踏まえ、確実に「見やすく」「使いやすい」帳票を制作してください。そしてさらなる付加価値を、その上に築き上げていってください。土台がしっかりしていなければ、斬新なアレンジやアイデアは活かされません。
実践に活かせる付加価値としては、「流行」という要素もあります。それはその時々で違うものですから、常に敏感に流行り廃りというものも察知して取り入れる努力も必要でしょう。しかし、多くの人への「受け」を優先して、デザインの基本を崩すこともあるかもしれません。流行を追いすぎて、使い勝手を大きく犠牲にすることがあると、結果付加価値は下がることになりますので注意が必要です。
どのようなテクニック、要素を盛り込む際にも、その制作物本来の「目的」を忘れてはいけないのです。 また、「デジタル化」に関しても注意が必要です。
その昔、レコードからCDに移行したように、今また銀塩カメラはデジタルカメラに、ビデオテープはDVDにその座を明け渡そうとしています。この先ますます様々な分野のデジタル化が進むでしょう。しかしデジタルへの移行期は、とかくデジタル特有の機能、利便性に目を奪われ、作る側も使う側も本来の基本的な使い勝手や存在理由を忘れがちになるようです。デジタル化の波にあっても、アナログの基本を忘れることなく、いち早く両者の相乗効果を狙っていければ、それは大きなアドバンテージになるはずです。ところが案外、それを早い時期からから実行するところが少ないのは何故でしょう。
これからの帳票の最終形態は印刷物とは限らないでしょうし、帳票の延長線上にこのインターネット社会、デジタル社会における新しいビジネスの形があるかもしれません。しかし媒体は何であれ、当講座の内容の大部分は活用できるものと思います。
媒体はどれほどデジタル化されていったとしても、結局それを使うのはあくまでもアナログな人間なのですから。
アナログの時代に築き上げられた基本は、少なくとも今この時代においては普遍的なものと考えてよいでしょう。その基本をいつも忘れることなく、ツールとしてのデジタルを活用してください。
「はじめにヒトありき」・・・ それをいつも胸に、顧客第一の帳票制作がなされることを願って、「帳票制作講座」を締めくくりたいと思います。
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