グリーンレポート
特集:流通小売業講座<前編>
-流通小売業講座<前編>- 6/8

6.食の安全性の確保に向けた動き

 さらに、農林水産省は新しいJAS規格として「生産情報公表JAS規格」をつくることを発表しました。これは、消費者の安全と信頼を確保するため、食品の生産情報を生産者が正確に記録・管理・公表し、消費者がその製品を買い求める際に、その生産情報を確認できる食品の基準のマークとして制定されるものです。つまり、このマークがついていることで、生産段階までのトレーサビリティ体制が保証されるというお墨付きになるわけです。 ただし、「生産情報公表JAS規格」は、あくまでも生産段階までのトレーサビリティ。流通や加工などについてはノータッチなため、生産後も含めた、より徹底したトレーサビリティを行うのであれば、各チェーンが対処すべきことになります。
 しかしすでに、大手スーパーマーケット・チェーンでは、独自で牛肉や青果、養殖魚などのトレーサビリティシステムを構築しています。イトーヨーカ堂「顔の見える食品」、イオン「グリーンアイ」、西友「食の幸」、マルエツ「育ちはっきり野菜」など、生産者と独自に契約し、商品についているIDをホームページで検索すると、誰がどのように飼育や栽培をしたのかという履歴確認のシステムや、店頭での情報公開も行っています。


スーパーマーケット店頭での履歴情報表示

 統一された規格ができるということについて、各チェーンは一応好意的にとらえています。イトーヨーカ堂では、「現在、新JAS規格について具体的な情報は集まっていないが、このマークがあることで消費者側のメリットが大きいと判断すれば、新JASマーク取得商品を積極的に取り入れていくだろう」。マルエツも「食に対する安心・安全をアピールするうえで、できる限りのことはしていきたい。トレーサビリティもそのひとつで、強化すべきこと」という見解を示しています。
 食品のトレーサビリティシステムにおいて、消費者が情報を得る際には、インターネットを利用する方式が多いようです。一方、食品そのものの識別番号を生産者から販売窓口まで正確に伝えるためには、なんらかの伝達手段が必要となります。ここに新しい帳票需要が生まれることが考えられます。


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