-確定拠出年金(日本版401k)- 8/8
401kが生まれた背景には、従来の年金制度がもつさまざまな問題がありました。なかでも最大の問題は、急速に進む少子・高齢化。現在、現役世代と年金受給世代の割合は4:1程度ですが、2025年にはこの比率が2:1程度になるといわれ、将来世代の負担は常識的なラインを超えてしまいます。この負担を抑えるため、厚生年金の満額支給が従来の60歳から、段階的に引き上げられているのはご存じの通りです。その点、401kは60歳からの支給であり、空白期間を埋めることができます。
第2の問題は長引く超低金利と株価の低迷にあります。企業の掛け金負担が増大し、従来の確定した給付が困難になってきたのです。
401が導入されてからは、ますます企業の反応が活発化しています。まず、企業負担を回避するための企業年金廃止・縮小の動き。2001年度には、厚生年金基金の解散数が過去最高の59件を記録し、税制適格年金の解散も急増しています。
さらに、厚生年金基金の「代行返上」の動きも広がっています。「代行」とは、企業が厚生年金を国に変わって運営することで、それにより運用益をふやせるメリットがありました。しかし株価の低迷等の影響で、利回りがマイナスとなり企業が持ち出しする状況になっていました。そんななか、2002年4月に代行返上が法的に認められると、3カ月の間にトヨタ自動車、日立製作所、松下電器など大企業を中心に61基金がいっせいに代行を返上したのです。
対照的に401kは制度発足から約9カ月で121社が導入し、加入者数も約11万人に達するという勢い。日商岩井やセイコーなど、厚生年金基金を解散したあとで401kに移行する企業も出てきています。企業の年金運用はいぜん厳しく、企業の活性化という意味でも401kへの移行は一段と加速していくでしょう。帳票需要も相当な量が見込まれ、今後も動向を見守っていく価値は十分ありそうです。
※次回は具体的な帳票の種類と、今後の可能性についてウォッチしていきたいと思います。