グリーンレポート
特集:生産者責任を盛り込み、循環型社会へ。環境関連法と帳票の最新動向
-環境関連法と帳票の最新動向(後編)- 6/6



 衣食住の中では、食品、家電製品などにリサイクル法が施行されましたが、「衣」の分野は一歩出遅れた状況でした。しかし輸入品の急増などを背景に、国内の衣料品の年間供給量がここ10年で80%増加。繊維リサイクルがにわかに論議の的になり、法制化の動きが起こっていました。ただ、消費者から古着を受け取る回収場所が、コストや保管場所確保の面からなかなか決定せず、衣料リサイクルを検討していた「日本アパレル産業協会」では、今後2、3年後の決着を目指して検討していくとしています。また、回収した繊維の用途は、『中古衣料として東南アジアなどに輸出』、『裁断して工場用雑巾に加工』、『綿状に戻して作業用手袋などに再生』、と従来と変わっていません。むしろ国内のぞうきん需要は減り、また体型の違いから欧米への輸出も困難です。こうような状況から、繊維業界を所管する経済産業省では「法制化よりも再生用途の拡大が最優先課題」としており、まだまだクリアすべき課題は多いといえそうです。

衣料品リサイクルシステムの主な流れ(案)

 ──以上、活発化する個別リサイクルの動きを一つひとつ概観してきました。大量生産・消費・廃棄のライフスタイルを標榜してきた企業が、廃棄物処理の拡大生産者責任を自覚し、リサイクルの大きな潮流に賛同しはじめています。「循環型社会に乗り遅れてはならない」というコンセンサスが全業界に浸透しつつあるといえるでしょう。これらの動きは新しい事業への大転回、新たなビジネスの誕生を意味するもの。そのなかで、帳票を含めた印刷需要もあらゆる分野で変革していくはずです。今後も躍動が予想されるリサイクル社会に、さらにアンテナを巡らせ、新たなビジネスチャンスにつなげていきたいものです。


戻る  


このページのトップ