紙の物理的特性基本用語一覧表(3)

引張り強度(裂断長・伸縮:ロールのピッチ不良)

・「引張り強度」は紙を引っ張ったときの強さの度合いのことです。
通常は一定巾(15o)の測定サンプル(長さ180±2o)の両端を固定し片方から荷重をかけ(引っ張り)
サンプルが切れたときの量を(s)で表します。
・「裂断長」は引張り強度に重さのファクターを加えた強さの度合いのことです。
紙=測定サンプルを吊り下げたときサンプルそのものの重さで切れてしまう迄のサンプルの計算上の「長さ」の意味です。
(q)で表します。

<裂断長の計算式>


・引張り強度は輪転印刷用ロール紙など巻取り製品に特に重要な品質です。
(ロール紙は印刷時引張る力を加える状態にありこれの対応特性として重要)
・当然ながら一般的には坪量が多いと裂断長は高い値となります。
・紙は過剰な張力(オーバーテンション)により裂断する前に伸びる性質があります。
・オーバーの度合いにより伸びた紙が元に戻ったり戻らなかったりします。
・また、その時の含水分(環境の湿度など)の影響によっても変動すします。
・縮みはオーバーテンションの度合いが紙の弾性体内にあることを意味し、伸びはオーバーテンションの方が強いことを意味します。
・感圧紙では丁合いが不可欠であり、ロール1本ごとのピッチコントロールがオペレータの方のノウハウとなっています。

<測定法:JIS−P8113>

・測定機の荷重量数を読取る引っ張る速さが測定値に関係しますので、切れる迄の時間数を20±5 秒に規定します。
(速過ぎると強くなり過ぎ、遅過ぎると弱くなり過ぎます)
・表示の単位はsです。

<参考>

・感圧紙ロールの代表的な巾であるR394mmの3.5kg/15mmの強さは約90sの人がぶらさがることができる強さに相当します。
・印刷時のテンションは10kg程度であり、標準運転下ではまず切れるようなことはありません。

 

こわさ(剛度.こし≒紙腰)

・紙の折り曲げに対しての抵抗力のことで、通常は測定サンプルの一端を固定して一定の角度まで
曲がる時に加わる力を重さや長さの単位で表します。
・剛度は紙の印刷作業性(シートの給排紙適性・ロールの折り適性など) や製品としての取扱い性
(カード・紙器・箱類・帳票など) に大きく影響を与えていると言われています。
・一般的には、剛度が高いこと≒こしがあることは良いとされていますが、使用されるケースにより
逆にマイナスになることがあります。(軟らかさやしなやかさが求めるケースなど)
・PHOは紙腰があることで伝統的に知られていますが、これは良い原料使用(パルプの選択とクレーなどの填料無し)がその理由です。

<測定法>

・感圧紙N40Wの様な比較的薄い紙とPHOの様な厚い紙では、差が大きいため、測定方法を分けています。

<測定法(薄紙のケース):JIS−P8143(クラーク法)>

・回転角度90±2度で片側から反対側に倒れるサンプルの長さを測定します。(巾30mm 標準)
・表示の単位はpです。又はcm3 /100です。

<測定法(厚紙のケース):JIS−P8125(テーバー法)>

・一定速度で15度曲げた時の荷重を読みます。(巾38.1mm長さ 70mm)

 

表面強度

・紙がむけることに抵抗する度合いのことで、通常はワックス(蝋)ピック法のワックスNo(A)で表します。
(ワックスNoは2A〜32A.31種類あります)
・商業印刷用紙をはじめとする各種の印刷用紙、特にウェット オフセットに需要な品質です。
(一般的に紙の強度は湿潤時は乾燥時に比べて低下します)
・塗工紙は非塗工紙に比べ表面強度は低下します(繊維 間結合が望めないため)。このため感圧紙B.C紙は湿潤強度が高い接着剤を使用する設計に配慮しています。
・PHOは表面強度が強く、このため製造は素材対策とあわせ紙工程サイズプレスで紙面強化剤加工を行っています。
・サイズプレスは表裏面同レベルに仕上げる特長を持ちます。

<測定方法:JIS−P8129>

・測定する紙面に強度の異なる熱可塑性接着材(蝋/スティック状)の一端を溶かして立て、硬化後引抜き(形枠を当て引上げ)、紙面の変化を観ます。
・毛羽立ちなどの変化(異常)が確認された「蝋」のサンプルNoを記録します。
・表示の単位はAです。


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