紙の物理的特性基本用語一覧表(2)

平 滑 度

・紙の表(裏)面の滑らかさ(凹凸)の度合のことで、通常は一定量の空気が紙面の凹凸間隙を通り抜ける時間数(秒数)で表します。
・数値の大きいことは平滑であることを意味します。(紙面の凹凸が少ない)。
・一般的には密度と相関しますが、紙厚により影響度が異なります。
・物理的(加圧)作用により平滑性を付与させるためにキャレンダリングを行います。
・平滑度は紙の外観.筆記性.印刷適性などに大きく関与する特性です。
・一般的には高いことは良い評価ですが、PPC用紙では高過ぎることはトナー の密着性を落とすことにもつながるため60〜80秒程度に調整されています。
・感圧紙はカプセル面10〜15秒表面40〜70秒(厚紙↓)
・感熱紙DBR.DHは200 秒↑SB.SN は250 ↑DB300↑
・PHO<90>Sは表面120 〜140 秒 裏面110 〜120 秒

<測定法:JIS−P8119>

・測定するサンプル面をガラス面(光学的平面仕上げ≒凹凸なし)に当て、減圧下で10mlの空気が通過する時間を測定します。
・表示の単位は秒,Secです。
・測定法としてはベック式が知られています。
・PHO(S肌:140 〜20 秒 <90〜225 Kg>軽い程高い平滑度 ,K肌:70〜15 秒 <90〜225 Kg> 以下同 )
・W−PHO :絹目 (表裏共 2 〜3 秒)
・OCR(表裏共 40 〜60秒)

透 気 度

・紙の厚さ方向に空気が通抜ける度合いで、通常は一定量の空気が紙の表面から裏面へまたは裏面から表面への抜けやすさを時間数(秒数)で表します。
・数値が大きい程、高緊密を示し一般的には良い強い紙と評価されますが加工原紙としては必ずしも言えません。
・透気度は紙の密度.地合.強度.印刷適性.塗布加.工原紙としての乾燥性など諸特性に影響を及ぼします.

<測定法:JIS−P8117>

・サンプル面積645muに空気100mlが通過する時間を測定します。
・油圧を利用し、表示の単位は秒.Sec です。
・測定方式はガーレー式です。

白 色 度

・紙の白さの度合いで、一定波長(青−菫色)の光を当てた時の反射光量を標準値(100)と比較します。
・表示の単位は%で表します。
・紙の白さの程度については時代.地域などにより評価が変わると言われています。
・関西では白いことが良いとされる傾向にありますが、再生紙利用が叫ばれている昨今では白過ぎてもいけない様です。
・白さはパルプまたクレーやタルクなど填料の種類や、添加量により変動します。(求める白さにより調節)
・見かけの白さを添加剤で与えることもあり、蛍光増白.ブルーイング(青み付け)などですが、堅牢度が劣ります。
・感圧紙の白色度はA紙70〜80% B.C紙70〜80% 程度です。
・感熱紙は各タイプほぼ同じ 75 〜80% 程度です。
・上質紙は80〜88% 上質コート紙は78〜82% 程度です。

<測定法:JIS−P8123>

・測定器の調整:標準白色板(酸化マグネシュウム)に青色フィルターを通過させた光を当てた状態の標準化を行います。
・この時の反射率を100%とします。
・測定するサンプルを標準板と換えて測定します。(目盛り板を読む)
・OCR 用紙はハード 適性から波長を規定し測定します。(例 530 nm品:88〜95%,900 nm品:85〜92%)
・カレンダー用紙:87〜88%,アート紙:85〜95%

不透明度

・紙が透けない度合いのこと。
・紙の裏面に当てる標準板を白.黒2種を使い一定波 長(緑色)の光を当てた時の反射光量比%で表します。
・商業印刷用紙.書籍出版用紙(両面印刷必須)筆記用紙などに重要な特性で、特に薄紙でポイントとなります。
・紙の内填料.表面加工(塗工)で対策しており、クレー.カオリンなど酸化チタンが最高質材料です。

<測定法:JIS−P8138>

・測定器の調整:「白色度」と同じ(フィルターは緑)裏当て白板反射率89% ,黒板0.5%を使用してそれぞれ測定し比を求めます。
・表示の単位は%です。

光 沢 度

・紙の光沢の度合いのこと。
・「艶紙」と言う表現もあり、高品質の意味で光沢の有(良)が使われることが多い様です。
・反面、品位の観点から華美を避ける「艶消し」もあり、使い分けられています。
・アート 紙でもキャスト.ダル.マット があります。
・高級用紙のPHOでもS肌(スムーズ).K肌(ケント:英のカントリー マットの意)の品揃えがあります。
・感圧紙には光沢の概念はありません。

<測定法:JIS−P8142>

・サンプルに対し75度の角度で光を当て正反射光量を測定し、基準ガラス 面に換えて再測定します。
・表示の単位は%です。


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