紙の物理的特性基本用語一覧表(1)

坪 量(連 量)

・紙の一定面積(大きさ)の質量(重さ.目方)通常(特に指定のない限り)1u当りのg数で表す。
(シート紙は同じ大きさの紙1000枚、ロール紙はその幅の1000m当りの重さのことである。
・多くは売買.取引きの時に用いられる。表示はs。

<補足>

当然のことですが同じ坪量(例 50g/u)でも四六判の連量は(43s)で菊判は(30s)となるので異なってきます。
・一般的に紙の取引きは重さによる(重量単価)。
このため重さが規定より下回ること(鈍斤)は不可が常識。
鈍斤は単に重さの問題だけではなく品質問題懸念に結びつけられることが多いことにも留意する
例 紙腰がない これは目方が少ないため?
PHOは重量単価での取引きを、感圧紙,感熱紙,CA用紙は長さ≒面積による(m≒u.平米単価)

<測定法:JIS−P8124>

・秤量する(最近はデジタル表示 の自動台秤が使われることが多い)
・表示の単位;g/u
・表示は通常「範囲」を併記する範囲のJIS規定は品種によるが規定対象は少

厚 さ

・読んで字のとおり三次元Z軸の長さ厚味と言うケースもある。
・表示単位は通常μm。
・厚さの測定は加圧条件によりバラツク(個人差有)、 一定加圧の自動厚さ計を使用する。
・時には人により(年配の方に比較的多い)「厚さ○g,○○sの紙」のような言い方がある。
(このことは坪量,連量の意味と理解する)

<測定法:JIS−P8118>

・2枚の平行円板の間に挟み一定の圧力をかけた状態での円板間の長さを測る。
・表示の単位;μmmやo通常「範囲」を併記。

密 度(嵩=密度の逆数)

・単位体積当たりの重さ。(坪量を厚さで割った値、一般的な密度 と同じ意味合い)
・紙のしまり具合のことで「緊度」とも言う。
・嵩(かさ)は単位重さ当たりの体積のことで密度の逆数。
(ペーパータオルのようなフカフカした紙質を指す。「嵩高い紙,嵩がある」などの言い回し)
・密度は高い,低い,ある,ない,のように使われます。
・一般的には「高い」ことは良い意味。紙の強度肌合いなど逆に不透明度にはわるい意味となります。
・紙質特に強度(剛性≒紙腰)を音感,触感で評価することがあります。
紙を片手の手指で撓ませ鳴らすことで「紙鳴り」「ラットリング」と言います。
澄んだ高い音,手指への抵抗感があることは紙腰がある良い紙と判断されます。(紙腰簡便テスト法.年配の方愛用)。

<測定法>

・算出します。
・例 PHO S肌:H7/9製品:坪量 242.7 g/u ,厚さ  27.6 o/100 の場合
⇒242.7/27.6≒8.79 (8.79×100/1000注)=0.879(注 単位合わせ)
・密度0.879は紙としては高いレベルです。
・良質繊維原料を十分使用している一つの証拠となります。(水分.灰分と合わせて考察)

 

水 分

・紙がもつ水分量のことです。
・水分は重さ.強度.寸法安定性.耐久性.電気特性 その外いろいろな紙がもつ性質.機能に影響し、
さらに印刷.塗布.製本などの加工性の重要因ともなります。
・紙の品質テストはこのため(一定湿度条件下で行う必要性があります)RH65±2% 20 ±2 ℃の恒温室で実施。
・F−KANは6.3%レベル PHOも同程度の調整

<測定法:JIS−P8127>

・秤量します。
・一定量の紙の重さを測定後105℃の乾燥器で水分をとばし、再秤量.乾燥前後の重さから算出します。
・表示の単位は%です。

 

灰 分

・紙がもつ灰分量:燃した後の灰(残渣)の量のことです。
・紙の灰分は紙の中に抄き込まれた無機物質を指します。
・目的は不透明性向上(コート紙など表面塗布分は対象にしない)素材によりコストは上下し使い分けます。
・紙の強度.光学的性質に影響します。PHOは1%程度このことは無添加と同じで、紙腰評価大の根源です。

<測定法:JIS−P8128>

・秤量します。
・一定量の紙の重さを測定後燃やし(最高900 ℃) 残った灰を再秤量します。燃焼前後の重さから算出します。
・表示の単位は%です。


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