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第73回 大人の趣味百科(7) 
新たな東京に出会う建築散歩

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▲ヾ櫃瞭癲μ声生命館。

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▲⊆埜園・東京タワー。

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▲I弊遏Ω業術館。

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▲た圭鼻ε豕都庁。

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▲ゲ‐紂ε豕スカイツリー。2012年5月22日に開業します。最も高い展望フロア「天望回廊」は地上450mを誇ります。

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▲ ο史槎據国立新美術館。

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▲表参道ヒルズ。

2012/4/10
第73回
大人の趣味百科(7) 
新たな東京に出会う建築散歩
 

【1】昭和の古典主義建築を味わう
 昭和時代に建てられた建築をたどっていくと、ギリシャ・ローマの古典建築を規範とする伝統的な古典主義(または新古典主義)建築から、新しい様式を模索しようとしたモダニズム建築、その反動で生まれたポストモダン建築と、現代の建築様式の変遷を見ることができます。
 昭和の古典主義の名建築として知られ、重要文化財にも指定されているのが丸の内の明治生命館です。明治生命館は、2階から5階部分までまっすぐに伸びるコリント式の列柱がどこか古代ギリシャの神殿をほうふつとさせます。1階は石積み壁の基壇、頂部は壁で仕上げられていて、古典主義建築の定石である三層構成がきっちりと踏襲されています。華美な装飾は排され、荘厳さが重視されているのも、古典主義建築の特徴です。設計は、岡田信一郎・捷五郎(しょうごろう)兄弟が担当しました。岡田信一郎は、2010年に建て直しに入った歌舞伎座の設計でも知られていて、和洋さまざまな建築様式を取り入れた建造物を創り出しました。古典主義建築は、ほかにも丸の内の農林中央金庫ビルや日本橋の三井本館、銀座の和光本館などでも見ることができます。
 また、明治生命館は構造設計を内藤多仲(たちゅう)が担当し、耐震構造になっている点も評価されています。内藤は、日本における構造設計の第一人者で、東京のランドマーク、東京タワーを設計した人でもあります。東京タワーは日本が高度経済成長期へと入った1958年に竣工し、日本の目覚ましい発展を象徴する存在の一つです。内藤は、構造設計の視点からタワーを設計しました。東京タワーはデザイン的な美しさよりも、強風や地震に負けない構造の強さが徹底的に追求された結果、かえって無駄のないすっきりとした機能美を備えたタワーになったといえます。

■明治生命館(写真 法\澤廖寝田信一郎(1883〜1932年)・捷五郎(1894〜1976年)兄弟
3年7カ月の工事を経て、1934年3月に竣工。終戦直後は、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)に接収され、アメリカ極東空軍司令部として使われていた期間もあります。列柱をもつ特徴的な外観や、内部に広間をつくるという高い技術力を要する構造から、日本の洋建築の一つの到達点とされる建築で、1997年に昭和の建造物として初めて重要文化財の指定を受けています。

■東京タワー(写真◆法\澤廖親眛B臣隋1886〜1970年)
正式名称は、日本電波塔。その役割は、テレビジョン放送やFM放送などの電波を送出すること。高さは、フランスのエッフェル塔よりも9mほど高い333mです。

【2】昭和のモダニズム建築
 19世紀末から20世紀初頭になると、欧米では質実剛健を理想とする古典主義建築に影響を受けながらも、より現在の生活スタイルにあったデザインを模索するモダニズムの動きが活発化します。上野の西洋美術館を設計したル・コルビュジエなどが、その旗手といえます。 
 1930年代になると、日本にもモダニズムの波が到来します。日本人の建築家が手がけた昭和のモダニズム建築の代表的なものが、品川の原美術館です。建物が四半円のような形の立体形状であること、小さな白いタイル張りで統一された外壁、横長の窓が水平に並ぶ連続窓など、様式にとらわれない自由な形と無駄な装飾を徹底的に省いたデザインが特徴です。これは当時の最先端のデザイン様式で、インターナショナルデザインと呼ばれています。インターナショナルデザインでは、地域ごとの歴史的な建築スタイルをあえて捨てることで、世界共通の様式へ向かっていこうとする前衛的な試みが模索されました。
 モダニズム建築は、第二次大戦中に一時中断されるものの、戦後の復興期に急速に広まります。なかでも、ル・コルビュジエの影響を強く受け、「世界のタンゲ」と称される丹下健三の建築群はその筆頭といえます。広島平和記念資料館や代々木第一体育館など斬新な建築をいくつも残しました。晩年には、東京都庁なども手がけ、1980年代から世界的に流行していた装飾的なデザイン志向のポストモダンの傾向も取り入れ、後の世代に大きな影響を与え続けました。

■原美術館(写真) 設計/渡辺仁(1887〜1973年)
1938年築。東京ガス会長、日本航空会長、帝都高速度交通営団(営団地下鉄)総裁などを歴任した実業家、原邦造の旧邸宅。1979年に、国内外の現代美術を紹介する私立美術館として生まれ変わりました。渡辺仁はモダニズム建築だけではなく、古典主義建築の銀座・和光本館や帝冠様式による東京帝室博物館(現東京国立博物館)の計画案など、多様な建築様式の設計を行いました。

■東京都庁(写真ぁ法\澤廖臣芦七鮖亜1913〜2005年)
丹下の最後の大作。ゴシック建築によるパリのノートルダム大聖堂の双塔の形をかたどることで、重厚な印象を演出しています。外壁に濃淡のある2種類の建材を使い、格子窓をイメージさせることで、ポストモダン的な和風の装飾美を加えています。

【3】新しい建築にも注目!
東京では各エリアで再開発が進められたことから、近年、デザイン性豊かな建築が数多く生まれました。昭和の建築とはまた違った美しさや面白さがあります。

■東京スカイツリー(写真ァ
東京タワーに代わる電波塔として建設されました。下町の墨田区押上地区にそびえており、近未来的なイメージがより際立ってみえますが、随所に日本の伝統建築の発想が生かされています。頂部から地面に向かう外郭の反り具合は、日本刀などの緩やかなカーブに見られる「そり」の形が、展望台部分のふくらみは、法隆寺の柱などに見られる中央部がふくらんだ「むくり」の形です。耐震面の構造設計では、日本の五重塔の構造がベースになっています。

■国立新美術館(写真Α法\澤廖森川紀章(1934〜2007年)
東京・六本木の元・東京大学生産技術研究所の跡地につくられた国立美術館で、2007年1月に開館。設計の黒川紀章は、全国各地の美術館の設計を行った世界的にも著名な建築家です。免震構造になっているため、独創的な形状が可能になっていて、前面の波打つようなガラスのカーテンウォールが大きな特徴。生物がゆっくりと胎動するような曲線は、「機械の時代から生命の時代へ」という黒川のコンセプトを具現化しています。また、エントランスなどに彼が好んだ円錐形の建造物が組み合わせられています。

■表参道ヒルズ(写真А法\澤廖唇惰C虱此1941年〜)
大阪・茨木市にある通称「光の教会」などで知られる安藤忠雄が設計した商業施設です。2006年2月開業。建築ファンの間で人気の高かった同潤会アパートの建て替え事業だったこともあり、街の景観と溶け込むことを念頭に設計されました。特に上層部のマンション部分は、アパート時代のベランダとよく似た造りになっています。また、内部の構造が特徴的で、中央が回廊式の通路になっています。各フロアはスロープでつながっていて、地下層から最上層までぐるぐると登ることができます。スロープの傾斜は表参道の坂道と同じ傾斜角度で、内部のスロープが表参道の延長線上にあるというコンセプトが込められています。

 建築はその時代のブームに連動しながらさまざまな建築家によって、多様な様式に基づき設計されてきました。どのような時代にできた建築なのか、どのような建築家が設計したのかといった周辺情報にも着目して建築を見ると、目で見るだけでは気づけない発見があるかもしれません。

 
 
「ロハスなはなし」は、2012年夏のリニューアルに向けて、今号で休止いたします。新たなコンテンツに、ぜひご期待ください。
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