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大人の趣味百科(1)古地図の遊び方
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▲江戸時代に出版された京都市街地の地図。古い街並みが残る京都なら、江戸時代の古地図を手がかりに現代の街を散歩できます。
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▲上の写真は尾張屋版の江戸切絵図。日本橋から銀座周辺の地図。1枚の地図は縦42×横60冂度の大きさで、下の写真のように、携帯しやすいように折り畳めるようになっています。(東京・神田神保町、秦川堂書店にて撮影)
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▲お参りに訪れる旅人のために、高野山全体を紹介した江戸時代の絵図。(東京・神田神保町、秦川堂書店にて撮影)
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▲国立公文書館のデジタルアーカイブのウェブサイト。プリントアウトもできます。
http://www.digital.archives.go.jp/
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▲アーカイブにある「新版江戸大絵図」。実測に基づき、作成された江戸の地図です。
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▲秦川堂書店の店内。全国各地の地図がところ狭しと並べられています。
第65回
大人の趣味百科(1)
古地図の遊び方
2011/8/10
 

[1]古地図いろいろ
 古地図には決まった定義などはありません。過去の地図であれば、基本的に何でも古地図といえます。その中で、特に愛好家の多い古地図の一つに、「江戸切絵図」が挙げられます。これは、江戸城を中心に日本橋や浅草など、江戸の町を小さな区画に分けて紹介した区分地図です。江戸切絵図は、宝暦ごろ(18世紀半ば)から数軒の印刷物を扱う店で作られていて、江戸後期(19世紀半ば)に隆盛を誇った「近江屋」と「尾張屋」から発行されたものは、木版画で刷られた当時のものがたくさん現存しています。江戸に参勤交代として出てきた武士たちが道案内として使うほか、特に鮮やかな配色で刷られた尾張屋版は、国に戻った時の江戸土産として人気を集めました。また、江戸の町を描いた地図には、切絵図のほか、町全体を大きな1枚の紙に書いた「江戸大絵図」もあります。
 そのほか、江戸時代に作られた地図では「国絵図」も有名です。これは、近江国(おうみのくに)や摂津国(せっつのくに)など、幕府の命令で作成された国ごとの地図です。1里を6寸とする縮尺で、山や川、湾岸、道、村名、城主の名前などが描かれています。街道の整備が進み、人の往来が盛んになった江戸時代には、国絵図のような公式な地図のほかにも、東海道の宿場町をまとめた道中図や、高野山など観光地周辺を紹介した案内図など、多種多様な地図が作られました。丈夫な和紙に、何版も重ねて多色刷りした絵図は、当時の色彩をとどめたオリジナル版が数多く残っています。そこには今も使われている地名や道など、現代の街並みの原型をたくさん見つけることができます。

[2]古地図の探し方
 古地図はどこでどのように入手できるのでしょうか。例えば、自分が住んでいる地域の数十年前の住宅地図なら、地元の図書館や役所に行くと、比較的簡単に見ることができます。ただ、今のような詳細な住宅地図は、作成されるようになったのが昭和50年代と比較的最近からです。それよりも古い江戸や明治時代の絵図を見たいということであれば、種類は限られますが、国立公文書館のデジタルアーカイブでダウンロードする方法がとても手軽で簡単です。江戸時代の「国絵図」や「新版江戸大絵図」、明治以降の「府県新設区ノ図」や「明治東京全図」、「鉄道路線図」などが所蔵されています。
 また、日本随一の古書店街・神田神保町には、古地図の愛好家たちが集まる秦川堂(しんせんどう)書店があります。江戸時代の絵図から現代の住宅地図まで、全国各地の多種多様な地図をそろえています。社長の永森譲(ながもりゆずる)さんにどのような地図がよいか相談にものってもらえるため、入門者には心強い専門店です。具体的に古地図をどのように楽しめばいいのか、永森さんに教えてもらいましたので、次にご紹介しましょう。

[3]集める楽しみ、持ち歩く楽しみ
 永森さんのおすすめは、自分の居住地や出生地の地図です。「明治から大正時代にかけて作成された都道府県別の地図は、うちなら500〜1,000円ぐらいで販売しています。どこが変わって、何が残っているか、現在の地図と見比べるだけでも、かなり楽しめます」。地元の古地図から始めて、別な時代のものや隣の地域のものなども集め、気づけばコレクターになっているという次第だそうです。
 もう一つ多いのが、時代小説好きが高じて古地図にもはまってしまうというパターンなのだとか。「池波正太郎さんの小説などは、実際の江戸の町を忠実に描いていますから、小説の場面を地図で追いかけることができます」。そう言われると、やはり古地図を持って町歩きをしたくなる気持ちが分かります。古地図と現在の場所を照合するには、「寺や神社を目印にするのがコツです。敷地面積は変わっているものの、同じ場所にあることが多いですから」。
 さらに、秦川堂書店には日本で働く外国の方も多く訪れます。彼らは、自分の仕事場所の古地図を買って、オフィスに飾るといいます。「欧米の方にとって、地図へのこだわりは強く、地図を集めることはステータス・シンボルとなっているようです。その背景には、領地争いにしのぎを削ってきた歴史があるのでしょうね。状態の良いものを丁寧に吟味して、購入されていきます」。木版による古地図は、紙の風合いが柔らかく、色鮮やかで美術品としても魅力的です。
 ゆかりの土地の歴史、小説や歴史的事件の舞台などを今に伝える古地図は、私たちの知的好奇心を刺激してくれる、大人のための趣味です。


取材協力:秦川堂書店
→http://shinsendo.jimbou.net/
 
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