[1]ゴーヤやナーベーラは、真夏の貴重な栄養源
豆腐やスパムなどと一緒に炒めた「ゴーヤチャンプルー」で知られるゴーヤは、沖縄を代表する食材の一つです。ゴーヤはアジア原産のウリ科の植物で、独特の苦みがあります。ビタミンCが特に豊富で、ビタミンE、カリウムなどのミネラル、食物繊維などを含んでいます。収穫できる野菜が少なくなる沖縄の真夏でも、どんどん実をつけ、夏場の貴重なビタミンC供給源となっています。
ビタミンCは、老化の原因となる活性酸素を外に追い出したり、その力を弱めたりする働きがあるといわれています。活性酸素が生まれる要因の一つである紫外線が強くなる真夏には、ぴったりな野菜なのです。加えて、ゴーヤの苦み成分には血糖や血圧を調整する働きもあるといわれています。
沖縄独特の夏野菜のもう一つが、ナーベーラと呼ばれる、食用のヘチマです。タワシにするような筋張ったものではなく、開花から2週間ほどの若く柔らかい実を食べます。95%は水分ですが、ビタミンやミネラルを含み、沖縄では古くから咳止めや利尿効果のある野菜として食べられてきました。
[2]食物繊維たっぷり、海ぶどうと沖縄もずく
海ぶどうは、日本では沖縄の海にのみ生息する海藻の一種で、葉の両側に緑の小さな粒がびっしりと付いている見た目から「ぶどう」と呼ばれるようになりました。正しくは「クビレヅタ」、別名「グリーンキャビア」ともいわれます。天然の海ぶどうは、沖縄の中でも宮古島など限られた場所にしか自生していません。収穫時期も4〜10月と限られていたので、とても珍しい食材でした。けれども、現在は養殖技術の発達によって、沖縄本土の海などでも育てられ、一年中食べられるようになりました。
また、沖縄もずくも沖縄の海ならではの珍しい海藻で、一般的なもずくよりもやや太いのが特徴です。食べ方はもずく同様、軽く洗ってから三杯酢や甘酢で食べます。
海ぶどうも沖縄もずくも、ミネラルたっぷりで、タンパク質や食物繊維などもバランスよく含まれています。とくに沖縄もずくは、フコイダンという良質な食物繊維が豊富です。このフコイダンは、血圧の上昇を抑えたり、コレステロールを下げたりする働きがあると期待されているため、沖縄もずくにも注目が集まっています。海ぶどうも沖縄もずくも、発汗によってミネラル不足になりがちな夏には、ぜひ積極的に取りたい食材です。
[3]捨てるところはナシ! 沖縄自慢の豚肉料理
沖縄では、「鳴き声以外はすべて食べる」といわれるほど、昔から豚を余すところなく食する文化が根付いています。代表的な料理といえば、豚の耳を食べやすく調理した「ミミガー」です。火であぶって毛をきれいに焼いてから、ゆでて薄く切った後、あえ物などにして食べます。ほかにも、沖縄風豚の角煮「ラフテー」、豚足を煮た「テビチ」、さらに豚の顔の皮をスモークなどにして食べる「チラガー」まであります。
豚肉は、鶏肉や牛肉と比べて、疲労回復に効果のあるビタミンB1が5〜10倍も多く、老化を防いでくれるビタミンB2やビタミンEも豊富です。使う部位によって栄養素も異なり、テビチならコラーゲンやタンパク質、皮だけでなく軟骨も一緒に調理するミミガーならカルシウムやコラーゲンをたっぷり摂取することができます。ミミガーやチラガーはコリコリとした食感が小気味よく、泡盛との相性も良好です。人懐こく、おもてなしが大好きな沖縄の人たちの酒席には欠かせないおつまみといえます。
このように栄養価の高い部位まで豚をおいしく食べる文化が、沖縄の長寿を支えているといわれています。健やかな毎日には、やはり土地の気候風土にあった昔ながらの食生活が欠かせないのでしょう。
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