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ロハスなはなし 第43回 オランダに学ぶ 自転車ライフ
ロハスなはなし
▲オランダは平坦な土地が多く、サイクリングに最適。(写真提供:オランダ政府観光局)
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▲中央のレーンが自転車専用道路。(写真上)また、簡単にレンタサイクルが利用できる仕組みが整っていて、主要鉄道駅100カ所で借りられます。(写真提供:オランダ政府観光局)
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▲自転車と歩行者の通行区分を分かりやすく示したカラー舗装の一例。東京都千代田区市ヶ谷周辺。
第43回
オランダに学ぶ 自転車ライフ
2009/10/13
 

(1)1人1台。オランダの自転車ライフ事情
 自転車を国民1人がほぼ1台持っているという世界一の自転車保有率(国民1人当たり)を誇るオランダ。ちょっとした旅行を自転車で出掛けたり、レースを楽しんだり、通勤やショッピングに日常的に使ったり、とオランダの人々の生活に自転車は欠かせません。レース用、長距離旅行用、通勤・通学用と、自転車を使い分けている人も多いといいます。
 オランダでは、1990年以降からは国の政策として、自転車をより利用しやすい街づくりが積極的に行われています。車道と歩道の間に設けられた赤色の自転車専用道路は、全長9,375マイルにも及びます。これはキロメートルに換算すると約1万5,000km、日本の高速自動車国道の総延長約9,000km(※1)の1.5倍以上にもなります。
 また、オランダの鉄道では自転車用の乗車券を買えば、ほとんどの列車に自転車を乗せることができます。列車の車両には青色のステッカーが貼られた自転車専用の貨物車が連結されていて、そこに自転車を積み込みます。自転車と列車を組み合わせて移動できるため、通勤や長距離旅行に自転車を利用しやすくなっています。さらに、企業は通勤で利用する自転車やその関連製品などの費用の補助をすると、優遇措置を受けられる政策「フィエツ・ファン・デ・ザーク」も1995年から始められています。
 自転車は健康にもよく、環境にも優しいクリーンな移動手段です。自転車をより活用していくための官民一体となった取り組みには、日本も見習うべきところがたくさんあります。
(※1)国土交通省道路局『道路統計年報2007』より

(2)保有率では世界有数の自転車王国「日本」
 実は、日本も保有率に限ればヨーロッパ並みです。2008年のデータによると、国内の自転車保有台数は約6,910万台(※2)にもなり、1.8人に1台の計算になります。この保有率は、フランスやアメリカを超える世界トップレベルです。特に近年は、環境問題への意識の高まりもあり、2003年には全国の保有台数が年間400万台も増えるなど、地球に優しい交通手段として注目されています。
 日本でも自治体ごとに、自転車道を整備したり、歩道をカラー舗装することで自転車と歩行者の通行区分を分かりやすくしたりするなど、日常的な交通手段として自転車のよりよい利用環境づくりが少しずつ進められています。また、国土交通省では自然公園や名勝、観光施設などを結んだレクリエーション向きの大規模自転車道の整備も行っています。現在は全国に135路線ありますが、長良川沿いを走る岐阜県の小倉自転車道線や自然豊かな北海道の釧路阿寒自転車道線など、その土地ならではの景色を見ながら走れるコースが人気を集めています。
 とはいえ、日本はまだまだ歩行者にとっても、自転車を乗る人にとっても、安全な環境が整っているとはいえません。最近は乗る人のマナーが問題になることも多く、今年7月1日には自転車の安全ルールが増えました。新たに「傘をさしながら・携帯電話を使用しながらの運転」や「傘を自転車に固定して運転」(※3)が罰則の対象として加えられました。自転車の利用がより広まっていくには、安全な環境づくりとともに、乗る人のマナー向上も重要です。最後に、警視庁が呼び掛けている「自転車安全利用五則」(※4)をご紹介しておきましょう。

●知っているようで知らない「自転車安全利用五則」
1 自転車は、車道が原則、歩道は例外(注)
(注)例外とは道路標識等で指定された場合、運転者が13歳未満の子どもまたは70歳以上の高齢者、身体の不自由な方の場合、車道または交通の状況からみてやむを得ない場合
2   車道は左側を通行
3   歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行
4   安全ルールを守る(飲酒運転・二人乗り・並進の禁止、夜間はライトを点灯、交差点での信号順守と一時停止・安全確認)
5   子どもヘルメットを着用

(※2)社団法人自転車協会資料「都道府県別自転車保有台数」 2008年データ
(※3、4)警視庁 交通総務課 自転車交通安全対策プロジェクトHPより

(3)東京を安全に走りたい人へ。「東京自転車グリーンマップ」
 さっそく自転車に乗ってみよう、と思い立ったときに欠かせないのが自転車用マップ類です。書店に行くと多種多様なマップが販売されていますが、その土地の自転車愛好家やNPO法人によって地域性のある個性的な自転車マップも作られています。そのひとつが「東京自転車グリーンマップ」です。
 2007年1月に都心版、2008年11月に23区版がそれぞれ発行されました。23区版は1万部をイベントや公共施設や自転車店などで配布したところ、あっという間になくなってしまうほど人気を集めました。マップには都心の道路のなかで、特に自転車で安全に走るのに適したルートが赤いラインになっていて、そのほかにも駐輪施設や自転車レーン、レンタサイクルなどのスポットがグリーンマップアイコン(世界共通のアイコン、このアイコンを使用しているマップをグリーンマップと呼ぶ)で示されています。現在は、公式ホームページで自由にプリントアウトできるようになっていますので、自転車で出掛けるのがさらに楽しくなるマップです。
 今後、自転車は環境問題への意識の高まりとともに、日常的な交通手段として注目を集めるでしょう。毎日の買い物や通勤に自転車を使えば、慢性的な運動不足の解消にも効果的です。休日にはちょっと足を延ばして、そう快に自転車道で走ってみるのも楽しいものです。

「東京自転車グリーンマップ」の一部

<参考>
オランダ政府観光局
→http://www.holland.or.jp/
国土交通省 道路局
→http://www.mlit.go.jp/road/road/bicycle/index.html
東京自転車グリーンマップ
→http://cyclingmap.jp/news.html
警視庁 交通総務課 自転車交通安全対策プロジェクト
→http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotu/roadplan/bicycle/anzen.htm
 
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