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ロハスなはなし 第37回 自然と共にある生き方 アイヌ民族の道具
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▲先進国に有利な貿易が世界の貧困問題の一因になっているといえます。
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▲手間のかかる作業の末にできる生産品が、労働力に見合わない価格で取引される場合も。
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▲国際フェアトレード認証ラベル。ここ数年、世界ではフェアトレード認証製品の市場規模(売上高ベース)が、平均4割増で拡大しています。
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▲グローバル・ヴィレッジ/ピープル・ツリー主催で行われた2008年の世界フェアトレード・デーのシンポジウムの様子。
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▲会場にはフェアトレードによるアクセサリーや洋服、食品などが並ぶマーケットも開設されました。(写真提供:いずれもグローバル・ヴィレッジ/ピープル・ツリー)
第38回
優しい買い物の方法 フェアトレード
2009/5/11
 

(1)「フェアトレード」とは?
 フェアトレードは、日本語では「公平な貿易」と訳します。発展途上国の人々によって生産されるコーヒーや紅茶、カカオといった農作物や伝統的な工芸品は、経済が発展している国との間では、経済格差からアンフェアな価格や条件で取引されていることが多々ありました。これが経済格差の解消を遅らせ、貧困を拡大させていると考えた人々によって始められたのが「フェアトレード」という貿易の形としての運動です。フェアトレードの意義は、仕事に見合った価格を保証し、より公平なパートナーシップに基づく貿易を広めることにあります。これは1946年、発展途上国を支援するアメリカの非営利団体「テン・サウザンド・ビレッジ(元セルフ・ヘルプ・クラフト)」がプエルトリコから刺繍製品をフェアトレードで購入をしたことに始まりました。
 その後、この仕組みはヨーロッパにも広がり、1989年には国際フェアトレード連盟(IFAT)が設立。世界61カ国、270のフェアトレード団体が加盟しました。さらに、1994年にはヨーロッパ・ワールドショップ・ネットワーク(NEWS!)、ヨーロッパ・フェアトレード協会(EFTA)、1997年には国際フェアトレードラベル機構(FLO)といったグループも生まれ、現在はこの4グループが緩やかなネットワーク(FINE)を作りながら、世界各地でフェアトレードを広げる活動を行っています。また、FINEではフェアトレードを以下のように定義し、同じ共通認識による活動を目指しています。

  • フェアトレードは、対話、透明性、敬意を基盤とし、より公平な条件下で国際貿易を行うことを目指す貿易パートナーシップ。
  • 途上国の弱い立場にある生産者や労働者に対し、より良い貿易条件を提供し、かつ彼らの権利を守ることにより、フェアトレードは持続可能な発展に貢献。
  • フェアトレード団体は(消費者に支持されることによって)、生産者の支援、啓発活動、および従来の国際貿易のルールと慣行を変える運動に積極的に取り組むことを約束。


  • (「フェアトレード・ラベル・ジャパン」公式ホームページ参照)

 つまり、フェアトレードは“作り手に敬意を払う”という、とても基本的でありながら、忘れてしまいがちなことを私たちに気づかせてくれるのです。

(2)フェアトレード・ラベル製品を選びましょう
 私たち、一般の消費者がフェアトレード商品を購入する際には、国際フェアトレード認証ラベルを目印のひとつにするとよいでしょう。これは、その製品がFLOによる国際フェアトレード基準に従い、認証を受けていることを保証するものです。この認証を得るためには、生産者も輸入業者も「経済的基準」「社会的基準」「環境的基準」を守らなくてはいけないのです。  その中で、特に特徴的なのが生産品の価格にまつわる経済的基準。この基準では、価格は輸入業者が最低限支払うべき「フェアトレード最低価格」と、生産地への投資「フェアトレード・プレミアム」からなります。生産地域の物価や経済状況などを綿密に調査した上で、この2つの価格が品目ごとにはもちろん、生産地域ごとにも明確に設定されているのです。さらに、市場価格が下落していたとしても、輸入業者は設定された価格を厳守しなくてはいけません。そのほか、輸入業者に課せられている基準をいくつか挙げてみましょう。

  • 生産者に生産の持続性と生活のコストをカバーするフェアトレード最低価格を支払うこと。
  • 生産者が地域の社会開発のために投資するフェアトレード・プレミアムを支払うこと。
  • 生産者の要求があれば、一部料金の前払いに応じること。
  • 長期的な計画かつ持続的な生産を可能にする契約を結ぶこと。


  • (「フェアトレード・ラベル・ジャパン」公式ホームページより引用)

 また、途上国の人々によって作られているものすべてが、ラベル認証の対象になるかというと、まだすべてに行き届いているわけではありません。食品ではコーヒー、紅茶、カカオ、蜂蜜、砂糖、果物・野菜、ドライフルーツ、ハーブ・香辛料など16品目、食品以外ではスポーツボール、切り花・観賞用植物、コットンの3品目、合計19品目に限られています。この対象品目は、今後も追加されていく予定です。
 日本では、FLOの構成メンバーの一団体「フェアトレード・ラベル・ジャパン(FLJ)」が製品の認証やラベルの普及活動などを担っています。しかし、フェアトレードを消費者の社会的責任として考え、近年その製品が急速に広まっている欧米に比べ、日本はやや取り残されている状況にあるといえます。ラベルを目印に、フェアトレード製品を積極的に選ぶ行動力が国際社会の一員として求められています。

(3)5月はフェアトレード月間
 さて、冒頭でも既述したように、5月は1年で最もフェアトレードに注目が集まる時期です。なぜなら5月の第2土曜日は「世界フェアトレード・デー」として、世界各地で一斉に生産者やフェアトレード団体がイベントを行っているからです。日本でも世界フェアトレード・デー当日の9日はもちろん、フェアトレード月間の5月中は特にたくさんのイベントが全国各地で開催されています。FLJでも「2009フェアトレード月間キャンペーン」と題して、(株)イオンイーハートやタリーズコーヒージャパン(株)、(株)良品計画といったライセンシー企業と協同で、講演会や店頭でのフェアトレード製品のフェアなどを行っています。
 この世界フェアトレード・デーの始まりは1995年のこと。ヨーロッパのフェアトレード・ショップの連合によって始められ、日本では1999年にフェアトレード製品の開発・販売を行う「グローバル・ヴィレッジ/ピープル・ツリー」の呼び掛けで、日本国内のショップ約100軒が参加しました。2002年からは、世界中の生産者組織や輸入業者なども加わり、世界規模でのイベントにまで成長しています。その内容は、生産者を招いてのシンポジウムやファッション・ショー、フェアトレード・マーケット、ライブなど、小さなショップで行っているものからホールで大々的に開催されるものまで多種多様です。世界フェアトレード・デーの公式ホームページには、全国各地で行われるイベントが掲載されているので、ぜひ身近なものに参加して、フェアトレードに関する理解を深めてみましょう。
 日本は資源が乏しく、海外からの輸入に頼っている国です。買う側である私たちには、世界各地の生産者と長く公正なパートナーシップを築くため、また途上国の人々の自立を支援するなどの社会的責任として、フェアトレード製品を選択することも必要ではないでしょうか。


【参考文献・URL】
●特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン
→http://www.fairtrade-jp.org/
●世界フェアトレード・デー2009公式ホームページ
→http://www.wftday.org/japanese/
●グローバル・ヴィレッジ
→http://www.globalvillage.or.jp/
●ピープル・ツリー
→http://www.peopletree.co.jp/
 
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