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ロハスなはなし 第35回 自然豊かなところでのんびり 田舎暮らしをお試し
ロハスなはなし
▲新しい土地へ移り住み、趣味を楽しんだり農業に挑戦したりと第二の人生を謳歌する中高年が増えています。
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▲例えば、雪の降る地域には雪囲いや雪かきなど雪国ならではの暮らし方もあります。できるだろうかと心配するよりも、冬に滞在して実際に体験してみてはいかがでしょうか?
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▲「ふるさと暮らし情報センター」の内観。公式サイトは、各自治体が行うセミナーやモニター体験など最新情報が常に更新されていて、とても便利です。
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▲北海道新冠町イメージ写真
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▲福島県が運営するサイトのトップ画面
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▲広島県江田島市の「田舎暮らしを楽しもう会」のメンバーたち。
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▲宮崎県イメージ写真
第35回
自然豊かなところでのんびり
田舎暮らしをお試し
2009/2/10
 

(1)“お試し”という田舎暮らしの始め方
 団塊世代の大量退職やゆとり志向のライフスタイルへの変化、UJIターン(注1)の普及といったいくつかの要因が重なり、最近、都市から地方への移住、いわゆる「田舎暮らし」に脚光が集まっています。そのようなニーズに応えるため、国や地方自治体では、移住・定住者に対するさまざまな取り組みを始めています。例えば、国土交通省では『UJIターン支援サイト』を立ち上げ、各自治体の気候や自然環境、UJIターン施策などについてわかりやすくまとめたデータベースを開設。また、各自治体でも移住者向けの新たな分譲地を整備したり、各種補助金を準備したりと手厚いサポート体制を整えています。
 とはいえ、生まれ育ったふるさとに帰るU・Jターンとは異なり、住み慣れた都会から見知らぬ土地への移住はとても大きな決断。住居や資金を整え、せっかく移住しても、地域社会に慣れることができずに孤立してしまうといった問題も出ています。そこで注目を集めているのが、本格的に移住する前にお試しでその土地に長期滞在してみるというもの。総務省では、昨年から「都市から地方への移住・交流促進のための実証実験」をスタート。福井・和歌山・熊本をモデル地域として、1泊2日から1週間程度の滞在で、さまざまな田舎暮らしの体験プログラムに参加できるモニターツアーを実施しています。さらに、各自治体でも趣向の異なるお試し体験を用意。いきなり飛び込んでしまうのではなく、自分が住みたいと思う土地での生活をまずは体感してみる、これが田舎暮らしへの第一歩です。

(注1)UJIターン:都会に出ていた人がふるさとに戻ることを「Uターン」、ふるさとから都会に出て、再びふるさと周辺まで戻ってくることを「Jターン」、都会の人が田舎に住むことを「Iターン」と呼んでいます。

(2)「ふるさと回帰支援センター」で情報を入手
 暮らしてみたい場所がはっきり決まっているのなら、管轄の自治体に問い合わせるのが近道ですが、そうでなければいろいろな土地の情報を入手することから始めましょう。移住者を受け入れるサポート体制は市町村レベルで千差万別。遠いところへ移るのであれば、より手厚いサポートの受けられる地域を選びたいところです。そのようなときに心強い存在が「NPOふるさと回帰支援センター」。ふるさと回帰支援センターでは自治体と連携してUJIターンを希望する人々を支援することを目的に、公式サイトや東京・銀座に開設する「ふるさと暮らし情報センター」で幅広い情報を提供しています。情報センターには、移住に関するパンフレットや資料を常備し、各種相談にも応じています。田舎暮らしに関するセミナーも随時開催。また、施設内に15自治体・団体が小さなブースを設置し、移住暮らしに関する情報を発信しています。

(3)雪国から南国まで。自治体の取り組みをチェック
 ここでは具体的にいくつかの自治体の取り組みをご紹介します。お試しで滞在できる住宅をリーズナブルに貸し出していたり、体験プログラム付きの滞在ツアーを用意していたり、地域の特長を生かした取り組みが行われています。また、都市から地方への移住は、高齢化の進展や休耕地の増大といった問題を抱える地方自治体を元気にする方策としても期待が集まっています。

●北海道新冠町「北海道らしい雄大な自然と手厚いサポートで移住者急増中」
 2006年度から積極的に移住者を誘致してきた北海道新冠町。苫小牧の東、海辺の穏やかな土地で、サラブレッドの生産地としても有名です。移住者が増えているのは、北海道でありながら雪が少なく冬の生活に心配がないこと。それでも移住に不安のある場合には、町が管理する役場職員住宅や一戸建て住宅を家具・家電付きで開放。職員住宅なら1カ月9,000円ほどの低費用で利用が可能なので、気軽にお試し移住に挑戦できる環境が完備されています。さらに、2006年には町有地を民間企業が買い取り、移住者向けに「レ・コードの森ニュータウン」として分譲。住宅を建設する人向けの奨励金や助成金なども用意し、一般町民による定住・移住サポート体制も充実しているので移住後も安心です。

●福島県「週末だけ田舎暮らしという二地域居住も実現しやすい」
 首都圏からほぼ200km圏内ということから、平日は首都圏で働き、週末だけ福島での田舎暮らしを満喫する二地域居住がしやすいことから人気が高まっています。県が運営するサイト「ふくしま・ふるさとUIターン」には市町村やNPOの取り組みが集約されていて、各地域の支援制度や移住者の体験談から、古民家や空き家を利用した生活体験やお試しプログラム、セミナーなどの開催日程まで、さまざまな情報を入手することができます。市町村によっては1980年代半ばから移住受け入れ事業を始めていた経験と二地域居住のニーズの高さから、農家に数日から2週間ほど宿泊して農作業や工芸などの体験できる中期滞在型のプログラムが充実しているのが特長です。

●広島県「初めて暮らす人でも参加しやすい地域コミュニティーが充実」
 福島県同様、県の運営するサイトが充実しており、市町村が行う定住支援制度や空き家や中期滞在用に貸し出している物件の検索などが簡単にできて便利です。各種の取り組みが行われている中で特筆すべきは、移住してきた人たちが自然に地域コミュニティーに加われるような取り組みが進んでいる点です。例えば、瀬戸内海の島のひとつ江田島市では住民自ら「田舎暮らしを楽しもう会」を結成し、移住者をサポートする活動を展開。ほかにも、ユニークな取り組みとして「中国山地やまなみ大学」があります。これは地域全体をキャンパスに見立て、美術館やキャンプ場などを教室に地域で活躍する専門家が講座を開くというもの。生涯学習の場であり、地域を知るきっかけづくりの場ともなっています。

●宮崎県「住みやすい環境が整った南国の地。農業に挑戦したい人にも」
 年間の平均気温17℃と年間を通じて暖かく、南国らしい美しい海岸線とのんびりしたムードが漂う宮崎県。平均消費者物価地域差指数(総合)は全国の県庁所在地の中でも最も低く、逆に1住宅当たりの敷地面積は平均350m2と広々しているなど、住みやすい条件がそろっています。関東や関西の都市部在住者にとっては少し距離を感じる地域ですが、都市部での移住セミナーや市町村主催の体験ツアーなどが実施されていて、今後はさらに充実される予定。また、農業王国の宮崎らしく、本格的に農業を始めたいという人向けに、「みやざき農業実践塾」なども用意されています。

お試し滞在や体験ツアーに積極的に参加すると、知らなかった土地の魅力や新しい田舎暮らしの目的が見つかるでしょう。きっと思い描いていた以上の充実した暮らしを手に入れることができるはずです。まずは、興味のある地域について調べてみてはいかがでしょうか?


【参考文献】
・国土交通省『UJIターン支援サイト』
→http://www.ujiturn.net/
・総務省「都市から地方への移住・交流促進のための実証実験」の実施
→http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/pdf/080905_4.pdf
・総務省「おためしライフ」
→http://www.otameshi-life.jp/index.html
・NPOふるさと回帰支援センター
→http://www.furusatokaiki.net/
・北海道新冠町「定住移住のすすめ」
→http://www.niikappu.jp/teijyu/
・福島県「ふくしま・ふるさとUIターン」
→http://www.pref.fukushima.jp/fui/
・広島県「広島暮らし」
→http://www.iju.pref.hiroshima.lg.jp/
・中国山地やまなみ大学
→http://www.univ-yamanami.jp/
・宮崎県「宮崎ふるさと暮らしリサーチ」
→http://www.pref.miyazaki.lg.jp/contents/org/chiiki/chiiki/taizai/
 
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