●スポット選びの便利なツールを活用する
　地球環境に優しい宿といっても、客観的に判断するのは難しいものです。そのようなときに便利なツールが、グリーン購入ネットワーク（GPN）が運営するホームページ「GPNエコチャレンジ ホテル旅館データベース」です。
　このページでは環境に取り組んでいる全国各地の旅館やホテルを検索・閲覧でき、施設ごとにリサイクルや省エネといった環境への取り組みの様子をチェックすることができます。「環境への取り組み姿勢」「廃棄物削減・リサイクル」「飲食関連」「省エネルギー・節水」「グリーン購入・化学物質・その他」という5つに分類される全89項目の取り組みについて、実際に行われている状況を分かりやすいレーダーチャートで紹介しています（表1を参照）。その項目は「アメニティグッズの中で二重包装されているものはない」、「厨芥・残飯を資源化（堆肥化・飼料化など）している」、「施設内の電球を白熱電球から電球形蛍光ランプに代替している」など、細かく多岐に及んでいて、各項目が実施されているか、されていないかを一覧表で見ることができます（表2を参照）。取り組みがどれほど進んでいるかで検索することも可能。そのままオンライン（宿泊予約サイト「eco Hotels」経由）で予約できるのでとても便利なデータベースです。

●ネイチャーツアーにも参加できるエコリゾート「星のや軽井沢」
　細い川を挟んで離れのように建てられた客室が立ち並び、かつての里山のような集落を作り出した新しいスタイルの温泉旅館。客室の造りは20種類以上あり、連泊を前提にデザインされた室内には全室に半露天風呂が設えてあります。テレビはあえて置かず、特別な癒やしの空間が作り出されています。「星のや」の環境への取り組みについて、特筆すべきはエネルギーについて。消費エネルギーのうち約70％を、水力や太陽光といった自然エネルギーで自給自足しています。特に日本でも本格的に商業利用された初の試みでもある地中熱利用システムは、たった3本の井戸から取り出された地中熱でありながら、世界トップレベルの熱量を供給しているといいます。また、廃棄物に関しても積極的に取り組み、再資源化率は76％を達成。そのたたずまいだけではなく、内側においてもかつての日本らしい美しい住まい方を伝承しているといえます。さらに、「星のや」のもうひとつの魅力がネイチャーツアー。毎朝自由に参加できる気軽なものからプライベートツアーや星めぐりツアー、お弁当を持っていくものまでさまざまな内容が用意されています（一部は事前予約が必要）。軽井沢の美しい自然に抱かれながら、ロハスな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか？

●日本環境経営大賞にも輝いた「戸田家」の取り組み
　「戸田家」は天保元年に伊勢で割烹料亭として創業し、昭和21年より鳥羽に移り、旅館としても60年の歴史をもつ老舗。眼前には鳥羽湾が広がり、180室の客室に大浴場や何種類もの貸し切り風呂を備える大型リゾート旅館です。そんな豪華な表の顔とは異なり、「戸田家」では17年前からいち早く環境問題への取り組みをスタート。そこには「伊勢志摩国立公園の素晴らしい自然や資源に感謝し、環境に配慮した美しく優しい旅館でありたい」という思いがあったといいます。浄化槽にカキの殻を使って排水浄化を始めたことをきっかけに、自社内に設置した堆肥型処理機で、館内から出る生ごみを有機肥料や養殖魚の飼料としてリサイクルしたり、厨房から排出される廃食用油を送迎バスの燃料として再利用したりと、その取り組みを着々と広げてきました。美しい緑や鳥羽湾を眺めながら、山や海の幸に舌鼓を打ち、ゆったり温泉につかる……。どれもこれも貴重な自然の恩恵にあずかるわけですから、「戸田家」で過ごすことで自然に感謝する気持ちも学びたいものです。
　今年のお正月休みは宿泊先を上手に選んで、家族はもちろん、地球にもうれしい旅行を計画してみませんか？