割り箸って、本当に環境に悪いの?
今から約20年前、世界最大の民間自然保護団体である世界自然保護基金WWFが「日本は割り箸の大量使用で熱帯雨林を破壊している」と非難したことから、いわゆる割り箸論争が始まりました。
これに対して、当時の林野庁や製造者の主張は、「割り箸に使われている木材には熱帯林はほとんど使われておらず、かつ間伐材の端材を用いる廃材利用が多いため、割り箸の使用はむしろ森林整備に役立つ」というものでした。当時は、割り箸の約60%が国内の間伐材で作られていました。
現在、わが国で使われている割り箸の原料の96%は輸入されており、そのうち98%は中国からの輸入です。中国製の割り箸は1990年代から急速にシェアを伸ばしました。これは、中国製の割り箸が国内産に比べて安価であったためです。しかしながら、この頃の中国の森林伐採は「皆伐方式」と言って、森林をまるごと伐採した後に植林をしない方式であったことから、環境に決して良いとは言えないものでした。
地球規模で森林保護が叫ばれている現在、中国政府では、木材の輸出の税金の値上げなどの規制や、植林事業を行うなどの森林保護政策に力を入れています。
有効活用するための取り組み
外出するときも自分専用のいわゆる「マイ箸」を持ち歩き、割り箸を使わないという人が増えているようです。マイ箸を推奨する運動やキャンペーンが、行政や企業、市民の発意によって各所で行われ、箸の携帯を推進しています。
割り箸を廃止する外食チェーンも登場しています。ジョナサンでは、2006年11月よりプラスチックの箸を採用しています。居酒屋チェーン大手のワタミでも、2007年7月から国内の全店舗で割り箸をプラスチック製に切り替えました。
割り箸のリサイクル
使用済みの割り箸を回収して、紙の原料や炭、パーティクルボード(集成材)などにリサイクルする試みが各地で進められています。ただ、割り箸の洗浄や輸送などに手間やコストがかかるという問題もあり、今のところは本格的な運用にはまだ時間がかかるようですが、今後の研究開発が期待されています。
私たちの食文化を支えてきた割り箸。限りある資源を有効活用するために、大切に使っていきたいものです。
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