MSCってどういうもの?
MSCとはMarine Stewardship Councilの頭文字で、海洋管理協議会と訳されます。ロンドンに本部のある自然保護団体です。 昨今、水産物の減少・枯渇が世界的な問題となっています。密漁や漁獲割当量オーバーなど、ルール違反の漁業問題が発生しています。加えて食の安全への関心が高まってきています。こうした状況から、環境に配慮し、国際的または地域のルールを守り、適切に管理された水産物に与えられるMSCのラベルがクローズアップされています。 消費者がMSCのラベルの付いた水産物を選ぶことによって、環境保全と水産物の持続可能な利用を真剣に考えている漁業従事者や水産物取引業者を支えることにつながるのです。
エコラベル付きの商品が消費者に届くまで
MSCの認証は、MSCが認定した第三者の認証機関が行います。認証は「漁業認証」と「COC(Chain of Custody)認証」の2種類があります。 「漁業認証」は、水産物の乱獲が行われていないか、生態系破壊を招かないかどうかを審査するものです。漁業従事者が対象となります。 「COC認証」は、水揚げ後の水産物の加工・流通過程のトレーサビリティーに関する認証です。「漁業認証」をパスした水産物が、そうでないものと混じって流通することがないようにするためです。対象となるのは、流通・加工などに携わる水産物取引業者。扱った魚種、数量、およびその処理についての完全な記録を管理していることが重要です。 この2つの認証を経て、MSCのラベルの付いた水産物が店頭に並ぶのです。
わが国の状況は…
2000年3月、オーストラリア西部のイセエビ漁業と、イギリスのテムズ川のニシン漁が、世界で初めてMSCの漁業認証を受けました。MSCのラベルの付いた製品は、2007年8月末現在で800品目を超えました。今後も増加することが見込まれます。 わが国の状況はどうなっているのでしょうか。2006年に初めてMSCのラベルが付いた水産物の販売が開始され、大手の小売業ではイオンや西友などが取り扱いを始めました。 MSCの認証取得には時間や費用がかかり、今のところわが国は少数派(2007年8月末現在で18品目)というのが事実です。とは言え、水産物の大量消費国であるわが国で、「環境への安心」に配慮した持続可能な水産物への認知が高まることの意義は、非常に大きいと言えるでしょう。
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