バイオマスプラスチックって?
バイオマスプラスチックとは、再生可能な生物由来の有機性資源を原料としたプラスチックのことです。主にトウモロコシやサツマイモなどから得られるデンプン原料を利用したポリ乳酸から作られます。石油に由来するプラスチックと比較すると、焼却時に要する熱は1/2程度。ダイオキシンなどの有害物質も発生しません。
食品用の包装パックやトレー、包装資材、農業・園芸資材、文具など、バイオマスプラスチックは幅広い分野で利用されています。100%のバイオマスプラスチックは衝撃や熱に弱いのですが、石油系の材料を一部混ぜることで耐熱性や強度などを保っています。
多様なリサイクル方法
化学的な処理でポリ乳酸を回収する方法、燃焼させて熱エネルギーを取り出す方法など、さまざまな用途でリサイクルできるのもバイオマスプラスチックの特長の一つです。燃焼した場合に排出するCO2は、原料である植物が光合成する過程で吸収したものであることから、CO2を増大させないと見なされます。
■「生分解性プラスチック」と「バイオマスプラスチック」の違い
土の中に埋めれば水とCO2に分解される機能を持つプラスチックを「生分解性プラスチック」と呼びます。バイオマスプラスチックの中には、生分解性のあるものと生分解しないものがあります。「生分解性プラスチック」は、生分解性であれば原料は何であるかの基準はなく、中には石油系のプラスチックもあります。
普及に向けての課題
本格的な普及に向けて、課題がいくつかあります。その一つは原料の安定供給です。世界的な人口増加に加え、トウモロコシやサトウキビなどがバイオエタノールの原料として注目されたことで、原料価格が高騰しています。年間1,400万トン程度の国内プラスチック需要のうち、バイオマスプラスチックは約3万トン。生産量の少なさから製造コストが石油系よりも2〜3倍高くなっているのもネックです。
解決すべき課題はあるものの、バイオマスプラスチックはCO2の削減や石油資源の消費抑制に貢献できるため、今後の需要が期待されています。供給の安定に加え、生産量が拡大し低価格化が進めば、さらに用途が広がることでしょう。
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