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ロハスなはなし 第16回 バイオマスエネルギーの未来<第1回>
ロハスなはなし
▲ひまわりの種から採れる油を原料としてバイオ燃料を製造。自動車、船、ボイラーのほか飛行機を動かすことも可能です
ロハスなはなし
▲畜産バイオマスの活用として、家畜排せつ物を発酵させて得たメタンガスをエネルギーに。発電の際に排出したCO2を植物が吸収し、その植物が畜産の飼料作物になります
第16回 バイオマスエネルギーの未来<第1回>
2007/7/10
 
 

そもそもバイオマスって?
 生物資源(bio)の量(mass)を表す概念で、一般的には「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」をバイオマスと呼んでいます。バイオマスの種類は多岐にわたりますが、大きく廃棄物系バイオマスと栽培作物系バイオマスの2種類に分かれます。これらバイオマスから得られるエネルギーを「バイオマスエネルギー」と言います。

バイオマスの種類
廃棄物系バイオマス 生ごみ、家畜排せつ物、下水汚泥、パルプ廃液、
建築廃材、間伐材、わら、木くず など
栽培作物系バイオマス ひまわり、サトウキビ、トウモロコシ、海藻 など

どのくらい利用されているの?
 エネルギーの大部分を輸入に依存しているわが国では、1970年代に起きたオイルショックの経験を踏まえて、石油への依存度を77%(1973年度)から49%(2005年度)と大幅に低減させました。同時に天然ガスや原子力などのウェイトを増加させ、エネルギー供給源の多様化を進めています。とは言え、石油や石炭、天然ガスを合計した化石資源のシェアは約8割。化石資源ばかりに頼っていてはエネルギーが枯渇してしまいます。
 「日本のエネルギー2006(資源エネルギー庁)」によると、2002年度の調査で、石油は約40.5年、天然ガスは約66.7年、比較的多く貯蔵されていると言われている石炭でさえ約164年しか持たないと予測しています。そこでバイオマスをはじめ、太陽光や風力、地熱発電などの新エネルギーの開発が進められています。わが国の一次エネルギーの総供給量6億1,500万kl(原油換算)に対して、バイオマスは約300万kl。シェアはまだ小さいものの、2010年度には約900万klへの拡大が見込まれています。

地球温暖化防止に有益
 オイルショック以後、わが国でもバイオマスの研究が進められてきたのですが、当時はコスト面を含め運用が難しいとされていました。ところが21世紀に入り、地球温暖化問題が顕在化されるようになってからバイオマスエネルギーが注目され、研究開発が一気に進みました。バイオマスを燃焼すると当然CO2を排出します。植物は、成長過程で光合成により大気中からCO2を吸収するため、燃焼してもCO2を排出したとは見なされません。吸収と排出でCO2が相殺される考え方を「カーボンニュートラル(炭素循環量に対して中立)」と言います。

■カーボンニュートラルの概念図

 資源循環型のエネルギーであることもバイオマスエネルギーの特長の一つです。化石資源の利用とは異なり、再生可能な量を超えないように利用していれば、永続的に枯渇することはありません。
 このようにバイオマスエネルギーは環境にやさしく、化石資源に代わる新エネルギーの一つとして期待されています。さらに、薪を燃やしてエネルギーを発生させる伝統的なものだけではなく、トウモロコシからバイオエタノールを製造するなど、バイオマスは幅広い利用が可能です。次回は「バイオマスエネルギーの利用と開発」をテーマに、さまざまな事例を紹介しながらバイオマスエネルギーのさらなる可能性を探っていきます。

<参考> バイオマス情報ヘッドクォーター
→http://www.biomass-hq.jp/index.html
日本のエネルギー2006(資源エネルギー庁)
→http://www.enecho.meti.go.jp/topics/
 energy-in-japan/energy2006html/index.html
 

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