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ロハスなはなし 第8回 掛け流しと循環
第8回 掛け流しと循環
2006/11/10
 
 

温泉用語で「源泉掛け流し」と「循環」という言葉を聞いたことがあると思います。これは、温泉好きな方が気にするポイントでもあります。一方で、どちらも温泉であるわけですから、「源泉掛け流し」と「循環」の意味について、深く考えたことがない方も多いかと思います。
今回は、この「源泉掛け流し」と「循環」についてどういう意味なのか?を整理する機会としていきたいと思います。
まず、「源泉掛け流し」「循環」ともに、どちらも温泉とうたっている以上は、どちらも温泉です。ですので、温泉であることは前提条件として、
次に、両者の形式についての基本的な考え方として、

<源泉掛け流し→温泉を放流する>
<循環→温泉を循環する>

と言うとわかりやすいかと思います。
では、それぞれの形式におけるポイントごとに追って、整理していきましょう。
まず、ひとつめのポイント「掛け流しのお湯の投入」について見てみましょう。

【ポイント1】掛け流しのお湯投入
①上部からお湯が投入される形式
②浴槽内でお湯が投入されている形式

大きく分けるとふたつあり、①は、目に見える形での投入です。②のタイプの投入で嬉しいのは、湯船の底から湧いてくるお湯のようなケース。ふつふつと泡が出ているのが見えていたりする場合もあります。これは、もともとそこに湧いていて、しかも人間が浸かれるような温度であるという地の恵み!ケースです。この場合、お湯の鮮度は文句なしと言えるでしょう。
さて、2つめのポイントである「掛け流しのお湯の捨て方(ここでは排湯と言います)」について、少しご説明しなければいけません。掛け流しは、「放流」なので、排湯がどんどんされているわけです。

【ポイント2】掛け流しの排湯
①湯船の上部から流れ出させる形式
②湯船の底(あるいは側面)から捨てる形式

「排湯」のしかたとして、①は、湯船の縁から滝のように流れ落ちるお湯の豪快さは、見ていて気持ちいいものがあります。
①と②の混合型というのが理想的なようです。
というのは、掛け流しでも、浴槽の縁からの排出だけ(①)では、投入した湯は上面をそのまま流れ去ってしまい、浴槽全体での湯の交換はうまくいきません。下のほうの湯が滞留してぬるくなったり澱んでくるのを避けるため、浴槽の底に排出口をつけて、上下方向の湯の動きをつくります。新鮮な湯がどんどん下へ下へと移動していくわけです。底に沈んだ湯ノ花やゴミを効率よく排除するにも便利です。逆に、底面からの排出(②)だけだと、湯に浮かんだ毛髪や皮膚カスは排除できないので、やっぱり上面の溢れ出しは必要です。
これは、従来から浴槽の設計で推奨されてきた方法のようですが、あまり普及していないように思います。
浴槽の底に穴がある場合、「循環」用の穴である可能性もあります。穴を塞いでも湯口の投入量が変わらない場合は「掛け流し」の排湯穴です。
さて、いよいよ循環型についてです。
循環工程では、単にお湯の循環のみならず、不純物の濾過、ならびに塩素殺菌、沸かしなど、さまざまな機能を担っています。
3つめのポイントとなる「循環型温泉のお湯の投入」について、見ていきましょう。

【ポイント3】循環型温泉のお湯投入
①循環湯を上部投入する方式
②循環湯を側面吐出する方式

「循環型温泉のお湯投入」は、2つの方式があります。
いずれの場合も、浴槽底面から、あるいは浴槽上部から溢れて排湯&集水となります。循環量を多くすれば、①では、湯量豊富な豪快な温泉に浸かった気分が味わえます。また、②では、源泉の上部投入と組み合わせることで、「源泉掛け流し」の雰囲気にも近づけます。
循環ということは、当たり前ですが、循環させるためのお湯が必要になります。では、どのようにお湯を集めて循環工程へ送っているのでしょうか?
最後となる4つめのポイントは、「循環型温泉のお湯の集水」です。

【ポイント4】循環型温泉の集水
①底面から集水
②側溝から集水
③洗い場から集水

の浴槽底面からの場合は、浴槽内のお湯を循環工程に送る形になりますが、②や③のように、浴槽から溢れた湯を集水する方式を併用している場合が多いようです。
は、湯船のふちに側溝が切られており、ところどころに集水用の穴が開いている。これが循環用の穴です。側溝を設けるのは、浴槽水の表面に浮かぶ皮脂やら体毛などを洗い流すための仕掛けであると考えられます。循環用の穴だと知らないでいると、一見そこから排水しているように見えると思います。
は、洗い場から集水する形。
これは、洗い湯をあえて集水しようとしているわけではなく、
おそらく循環システムや浴槽、配水管などの位置や高さなどさまざまな条件を考慮していった時に、集水穴の位置がたまたま洗い場のどこかになったという背景だと想像します。

こんなところで、少しはすっきりしたでしょうか。
温泉ごとにいろいろな工夫がされていますので、その仕組みについて考えながら温泉につかってみてはいかがでしょうか。

 
   
 
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