グリーンレポート
特集:印刷業界における、環境配慮への取り組み<パート2>

-印刷業界における、環境配慮への取り組み<パート2>- 2/3

3.印刷工程における環境対応
 印刷工程では、環境配慮型の「植物性インキ」の使用が一般的になりつつあります。インキは主に、「油」、「顔料」、「樹脂」の成分で構成され、「油」部分には通常、環境に悪影響を与える石油系溶剤が使用されています。この「油」部分に植物性の油を使用したものが「植物性インキ」と言われています。「植物性インキ」のうち、一部に大豆油を使用したものを「大豆油インキ」、インキ中の石油系溶剤をほぼすべて植物性の油に置き換え、VOC成分を1%以下に抑えたものを「ノンVOCインキ」と呼んでいます。

 大豆油インキは、石油系溶剤インキより乾燥に時間がかかるものの、大気汚染物質の一つであるVOCs(揮発性有機化合物)の発生が抑えられ、大気に対する悪影響を抑えられるとされています。さらに、インキが落ちやすく印刷物のリサイクルが容易なのも特徴です。また、大豆油インキを使用すると、印刷物に「ソイシール」を表示できます(米国大豆油協会が認定した大豆油インキを使用した場合)。ソイシールは、大豆油インキを使用した印刷物であることを表示する世界共通のマークですから、ステークホルダーへのアピールとなります。最近では、発色や耐摩性に優れたものも開発され、品質面ではほとんど差がないため、世界的にも広く使われるようになってきています。

米国大豆油協会(SAS) 
http://www.soyink.com/ 

4.製本工程における環境対応
 包装や製本、製袋の際に用いることのできる、環境に配慮した接着剤をご紹介します。“自然に還る”プラスチックであるグリーンプラでできた接着剤です。グリーンプラとは、通常のプラスチック製品と同じように使え、使用後は自然界の微生物や分解酵素によって水と二酸化炭素に分解される製品で、別名「生分解性樹脂」とも呼ばれます。地中への埋め立てが可能であるうえ、燃焼させても発生熱量が低くダイオキシンなどの有害物質が放出されることもありません。

 地球環境への負荷を著しく軽減できるグリーンプラは、自然環境の中で使用される製品や使用後のリサイクルが難しい分野への応用が進められ、次々と新商品が開発されています。誕生当初(92年)、60トン程度の消費量から、最近では2000トン以上へと大幅に増加。各分野で採用する企業が増え、市場を順調に拡大しつつあり、コストも下がる見通しが出てきています。

 また、再生紙を作るときに針金が邪魔になる「針金中綴じ」に変わる製本方法として、大川印刷で採用しているのが「エコ綴じ(糊付け中綴じ)」です。エコ綴じは用紙の種類やページ数に制限がありますが、針金を使用せずドイツの環境基準に適合した糊を使用した美しい仕上がりで、安全で人にもやさしい製本方法です。異物混入の防止や安全性の観点から医薬品や食品に関係する印刷物や、子供向けの冊子や絵本などに使われるようになってきています。他にホチキスを使わない製本方法としては、背中を糊で固めた後に表紙でくるむ「無線とじ製本」が環境に適していると言われています。

生分解性プラスチック研究会
http://www.bpsweb.net/

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