グリーンレポート
特集:印刷業界における、環境配慮への取り組み<パート2>
-印刷業界における、環境配慮への取り組み<パート2>- 1/3

1.印刷会社における環境対応とは?
 グリーン購入ネットワークのホームページによると、大川印刷が大賞を受賞した理由は次のようになります。「従業員数30名の小規模印刷業事業者として、顧客に対して『エコライン』という独自コンセプトに基づいた環境配慮型印刷の提案を積極的・効果的に行っている。顧客に対し、用紙選択工程では森林認証紙等の活用、印刷工程ではノンVOCインキ等の活用、製本工程では針金を使用しない製本方法の導入、配送では再使用可能な通い箱の使用等、用紙選択−印刷−製本−配送、と一貫して顧客における環境配慮型印刷の導入を促進している。また間伐材や森林認証材そのものを使った製品の企画・開発など、地球温暖化防止につながる活動も行っている。」とあり、全工程において環境配慮の取り組みをしていることが分かります。

 そこで、評価を受けた、大川印刷独自の取り組みである「エコライン」(印刷に関わるすべての工程で環境配慮の商品や手法を採用していくというもの)を参考にしながら、次章から「用紙選択工程」、「印刷工程」、「製本工程」、「配送工程」の4つに分け、印刷業界が環境配慮の取り組みを行うためのヒントを取り上げてみたいと思います。貴社での取り組みの参考にしてみてはいかがでしょうか。

2.用紙選択工程における環境対応
 大川印刷では、2004年6月にFSC森林認証制度のCoC認証を取得し、一部の印刷物に森林認証紙を使用しています。FSC森林認証制度は、NPOであるFSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)が運営する国際的な制度。「森林認証」とは、森林を生態系まで配慮して管理し、木材を活用しながら循環させる仕組みのことをいいます。「森林認証」には「森林管理の認証」と「CoC(Chain of Custody)認証(生産物認証)」の2つがあり、「適切な森林管理」を認証するのが「森林管理の認証」で、「認証森林の林産物を材料とした製品であること」を認証するのが「CoC認証」です。FSCが認定した認証機関が、環境・社会・経済的側面に配慮した厳しい基準に照らし合わせ、対象とする森林が適切に管理されているかどうかを評価します。

 この認証紙を使用した最終製品に「FSCマーク」の使用が認められていますが、マークを使用するためには、生産・流通・加工に関係する全ての企業がFSCのCoC認証を取得していなければなりません。原材料となる木材を運ぶ輸送会社から、チップ製造や製紙会社、紙の卸・販売会社、そして印刷会社まで全てです。FSCのCoC認証を受けていれば、印刷に使用された認証紙が「いつ、どこの、どの森林から切り出された」もので、「適切に管理された森林から作られている」ことを証明できることになります。

 従来は環境負荷の少ない紙の材料として、古紙パルプの使用が一般的でした。しかし最近では、古紙パルプよりもバージンパルプの方が、製造工程における化石燃料由来の二酸化炭素排出量が少なくなることが分かってきました。つまり、森林認証紙は古紙100%の紙よりも二酸化炭素の排出量が少ないのです。GPNが定める購入ガイドラインでも、環境に配慮したバージンパルプの原料としてFSC認証材が加えられています。このため、今後、FSC森林認証紙を採用するユーザーが大幅に増えることが予想されます。
FSCのほかにも、ヨーロッパの代表的な森林認証制度であるPEFCなどがありますから、関連会社と協力して導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
森林管理協議会
http://www.env.go.jp/policy/hozen/green/ecolabel/a04_14.html
森林認証制度研究会
http://www.re-forest.com/fcnet/index.html
PEFC
http://www.pefc.org/internet/html/

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