グリーンレポート
特集:変わりつつある保険業界<第2回>

-変わりつつある保険業界<第2回>- 2/2

2.増加する法人向けの保険
 暮らし全般に関わる損害保険は、時代に合わせて多くの商品が生まれています。最近では、個人向けのものだけではなく、法人向けの保険も次々と登場してきています。ここ数年で有名になったのは、「天候デリバティブ」です。気温・降水量・積雪量・風速・日照時間などの気象現象を基に想定した指数より、観測期間中の実際の気象現象に基づく指数の変動幅が大きい場合、その差異に応じて決められた補償金が査定なしで支払われるという仕組みです。
「天候デリバティブ」には、夏、大雨や猛暑で売れ行きが左右されるビアホールなどの外食産業や遊園地などのレジャー産業、電気会社やガス会社などが主な契約先になっています。日本では、全体の70%もの企業の収益が、何らかの形で天候により影響を受けていると言われています。日本での市場規模は、昨年レベルで約500億円。アメリカでは1兆円の市場規模があると言われており、日本でも新商品の登場などによる市場の拡大が期待されます。
 他にも、今年4月に施行された個人情報保護法に合わせて、個人情報が漏えいした場合の被保険者が負担する損害を補償する「個人情報取扱事業者保険」や、ホテルや百貨店、劇場などの災害に対応する「レジャー・サービス施設費用保険」など、新保険が続々と誕生しています。今後も、数多くの保険が登場することが予想されますから、注目してビジネスチャンスをつかまえましょう。

3.利用者ニーズに合わせた個人向け保険
 新商品の開発では、個人向けの保険もひけをとりません。コンピュータ犯罪による損害補償なども含むコンピュータ総合保険やボランティア活動保険、被保険者を女性に限定した女子パートタイマー保険など、セグメントされた商品が販売されています。その中でも、これから需要が伸びていきそうなのは、高齢化社会を背景とした医療保障に関連した保険で、特に高度先進医療対応型の商品です。
 高度先進医療とは、高度な医療設備を持つ一部の大学病院などで受けることができる臓器移植などの高度な医療のことです。こうした高度先進医療の技術料などの特定療養費は、健康保険の適用外で全額が自己負担となります。
2005年6月時点で承認されている高度先進医療は111種類。費用は、病院や治療の種類によって異なりますが、例えば、がんに対する陽子線照射療法(4〜6週間)では、平均300万円、慢性中耳炎に対する人工中耳治療では約125万円にもなります。このような公的医療保険の給付対象とならない診療費を、入院給付金などでカバーすることができる高度先進医療対応型商品が今後、医療保険では主流となっていく可能性を秘めています。
また、他にも、通常保険に入る際に必要な過去の病歴や告知書の提出などが不要で、申し込めば原則加入できる「無選択型」の医療保険も人気を集めています。2025年には、65歳以上の高齢者が日本の総人口の約3割を超えると言われており、こうした医療関係の商品が今後も増えていくと考えられます。申込書の大幅な需要の増加が見込めると言えるでしょう。
保険商品の銀行窓口販売解禁の流れ

4.保険業界における今後のビジネスの可能性

 2回に分けて、保険業界でのビジネスチャンスについて見てきました。業界全体を見渡してみると、会社の再編合併などの大きな動きをはじめ、銀行での窓口販売チャネルの増加、細分化された新商品の開発など、申込書を中心として需要が増加する要素がたくさんあります。今回は取り上げませんでしたが、郵便局の簡易保険の民営化も控えており、これからも動向から目が離せません。情報収集と準備をしっかりと行い、チャンスの波を逃さないようにしましょう。

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