グリーンレポート
特集:中部国際空港編「セントレアがもたらすもの」
-中部国際空港編「セントレアがもたらすもの」- 2/4

3.モノの流れ
 セントレアが誕生したことによって、物流はどう変わったのでしょう。以下にポイントをまとめました。

1)取扱貨物量の大幅な増加
 中部圏で生産される輸出品は、日本の輸出生産量の2割にあたる年間約35万トン弱と言われています。しかし、このうち名古屋空港の利用は10%強ほどにとどまり、約60%は成田、約25%は関西空港が利用されていました。名古屋空港では、貨物便はアジア向けのみで週5便しか飛んでいなかったためです。
 セントレアでは滑走路が3,500mになったために、アフリカなどへの長距離輸送も可能になりました。215ヵ国を定期便で結ぶ世界最大の航空貨物会社「フェデラル・エクスプレス(フェデックス)」や物流大手のDHLも就航しており、貨物便は大幅な増加傾向にあります。それに伴い、貨物便に使用される伝票類の需要もますます高まることが予想され、私たちのビジネスチャンスも大幅に拡大されていると言えるでしょう。
 また、セントレア貨物ターミナルは、名古屋空港の2倍を超える貨物取扱能力を有しています。貨物ターミナルの広さは、およそ東京ドーム30個分の26万・。初年度取扱量は国際貨物約30万トン、国内貨物約6万トンと見込んでいます。

貨物取扱量の実績と予測値

2)24時間体制による、リードタイムの短縮
 リードタイムとは、製品の発注から納品までかかる時間のことを言います。24時間運航のセントレアでは、出発地や到着地の便利な時間での発着が可能になりました。また、これまで1日がかりで成田空港や関西空港まで荷物を運んで空輸していた中部圏の企業が、夕方からの当日発送をすることも可能になり、リードタイムが1日短縮されました。さらに、深夜便を利用すると、もう1日短縮され、在庫コストも3割程度削減できているようです。また、成田空港や関西空港までの輸送費コストも軽減されます。

リードタイム短縮でSCMコストの大幅削減を見込む企業(出典:「中部の空港・道路がロジスティクスを変革」UFJ総合研究所 運輸・物流研究室長・主席研究員 小野秀昭)
 中部地方からの工業製品輸出額は日本全体の4分の1を占め、その経済規模は世界の主要国並みです。今までそのうちの90%近くを成田空港や関西空港に依存してきました。これからは、中部圏に工場を持つ製造業者を中心とした企業からの利用が期待でき、中部経済のより一層の発展につながるものと思われます。貨物の輸入・輸出には多くの帳票類が利用され、私たちの仕事の重要性は今後さらに高まっていくことが予想されます。

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