グリーンレポート
特集:個人情報編 <第3回>
-特集:個人情報編 <第3回>- 4/4

4.自分や家族の個人情報を守る
 今まで企業として顧客から預かった大切な個人情報を守ることについて述べてきましたが、最後に自分自身あるいは家族の個人情報を守るためにはどうしたら良いか? 個人情報が悪用されたらどんなことが起こるのか?を考えてみましょう。

 個人情報が悪用されるケースとして一番多いのがDMでしょう。健康を害している人に狙いをつけ、健康食品や器具などを売り込むようなDMが来たり、個人の興味や嗜好に合わせた広告を送りつけたりするなどです。もし、DMを受け取りたくない場合は、DM業者が(社)日本通信販売協会の会員事業者であればMPS(メールプリファレンスサービス)を使うことで止めてもらうことができます。ハガキに必要事項を記入し(図参照)、同協会に送ると会員事業者全ての名簿から自分の名前を削除してもらえます。ただし、これは同協会の会員業者に対してしか有効ではありません。
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 自分の個人情報の入手方法など不審に思ったら、業者に確認するのもいいでしょう。入手経路について説明できない場合は、怪しい業者だといえます。ただし、その電話をきっかけにさらに個人情報を引き出されることもあるので、場合によっては消費生活センターなどに相談したほうがいいでしょう。
 次に考えられるのは詐欺行為などです。「振り込め詐欺」なども、当初は無作為に電話をかけていたようですが、最近では不正に手に入れた個人情報を利用し「営業車を運転中に事故を起こした」「医療ミスをした」など特定の職業を狙ったり、家族構成や本人または親しい人しか知り得ない情報を巧みに使って信用させたりする巧妙な手口に変わってきています。また、一度被害にあうと「騙されやすい人」としてさらに個人情報リストに追加され、リストは高値で転売。2度、3度と騙される事が多いようです。
 日常の生活の中で私たちは自分の個人情報を様々な企業、機関などに提供しています。例えばホームページ上で行われる懸賞、アンケート、ネットショッピングなどです。もはや生活の一部になっていますので、それらを全て使わないようにするのは難しいでしょう。ですから、身元の明らかでないサイトはなるべく避け、前回ご紹介したプライバシーマークなどを参考にサイトを選ぶのもいいでしょう。中には無防備な子供のネットユーザーを狙い、家族の情報を引き出そうとする悪質なサイトもあります。お子さんをお持ちの方はネット使用に一定のルールを作ることが必要です。

 ネット以外ではどうでしょうか? 実は家庭のゴミには様々な個人情報が含まれています。例えば、レシート、クレジットカードの明細書、給与明細、郵便物などです。これらから、クレジットカードや銀行口座の番号、氏名、住所、嗜好などが分かるため、ゴミの山から個人情報を集め転売する業者も存在するといわれています。明細書などは小さくちぎるか、シュレッダーにかけてから捨てるようにしましょう。
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<コラム>誰でも閲覧可能な住民基本台帳
 子供が受験する歳になったのを見計らったように、予備校のDMが届く。このような経験は、誰にでもあることでしょう。この個人情報の入手先としてよく利用されているのが、住民基本台帳です。住民基本台帳には氏名、性別、生年月日、住所などが記載され、利用目的など申請して許可を取れば誰でも閲覧可能です。しかし、利用目的については特に審査されることなく、DM業者の情報源になっているようです。住民基本台帳から、個人情報を取得する場合でも利用目的の通知・公表は必要(法18条1項)ですが、個人情報保護法が施行された後でも、閲覧自体は禁止されていません。
5.まとめ
 これまで3回に渡って個人情報について伝えてきましたが、事業者にとっては頭の痛い事ばかりのように感じた方も多いと思います。しかし、メリットもあります。例えば以下のような事です。
業務フローの見直し
個人情報保護法を遵守するにあたって、個人情報の「棚卸し」ができ、いままでの業務フローを見直し、無駄な業務や工程を再編成するきっかけになる。
コストの削減
いままで、各社員の机の上やパソコンの中にバラバラに管理された個人情報を一括管理することで、印刷物や無駄なデータ処理なども減らす事ができる。
受注範囲が広がる
他社より積極的に情報セキュリティーに取り組めば、その姿勢が評価され、委託先から優先的に受注できるチャンスや、新しいクライアントを増やすことができる。また、入札時に有利に働く。
などです。特に最後の「受注範囲が広がる」というのは、事業者にとって大いに注目すべき点だと言えます。しかし、逆に個人情報保護法についての知識を持たないとすれば、せっかくのビジネスチャンスを逃してしまうことになるかもしれません。
戦略として個人情報保護に積極的に取り組むという視点を持つのもひとつの考え方です。

 個人情報保護法は、まだ施行されたばかりで今回紹介した以外にも様々な問題が起こると予想されます。しかし、そんなときだからこそ同法をうまく活用し、今後の業務をスムーズに行うための正しい知識を身につける必要があるのではないでしょうか。

 さて、次回のグリーンレポートでは、今年2月に開港したばかりの「セントレア」こと「中部国際航空」についてお伝えしたいと思います。今は話題や観光ばかりに注目が集まっていますが、名古屋に国際空港をつくる意義、または国際空港がもたらすものについて考えてみたいと思います。

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