グリーンレポート
特集:配便の現状編<第1回>
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4. 印刷会社を持つ宅配便会社
 佐川急便では通信販売会社をターゲットに、カタログなどの印刷・発送から商品の配達まで一括して請け負う体制を強化しています。通販会社はほとんどの場合、カタログやDMなどの印刷・製本と配送をそれぞれ別々に発注しているのが現状ですが、佐川急便は宅配便会社の中で唯一グループ内に印刷会社を持っている点を活用しこれに対応。この印刷会社では社内に企画・編集部門を持っているため、デザインや企画も含めて受託することができます。
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 また同社では、A4サイズ64頁を1日210万組印刷できる出版用のグラビア印刷輪転機を備え、来年にはさらにラインを増強する予定です。このほかにも、オフセット輪転機を4台、無線綴じ機が1ライン、中綴じ本のラインが2ライン、カタログなどを1冊ずつビニールで包装するラッピングマシンも2台導入しており、画質を重視する傾向にある大手通販会社のニーズにも対応できるよう設備を整備しています。

5. 宅配便の現状<第1回>まとめ
 以上見てきたように、自宅で伝票が作成できるようになったり、宅配便会社が大手印刷会社並みの設備を備えた印刷会社をグループ内に持ったりと、これまで印刷会社が請け負っていた仕事の領域に踏み込むような取り組みを始めている会社もあります。今後こうした動きが広まってくれば、いままで宅配便伝票やカタログ・DMなどの印刷を受注していた印刷会社にとっては手痛い打撃となることが予想されます。こうしたなかで印刷会社が生き残っていくためには、少ないパイに固執するのではなく、既存の顧客を逃すことなく新規の顧客を開拓していけるような強い営業力が求められることになるでしょう。
 以上、大手2社の取り組みを中心に「宅配便の現状」についてお伝えしてきました。次回「宅配便の現状<第2回>」では、現在宅配便業界を取り巻いている環境についてお伝えしていきたいと思います。

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