グリーンレポート
特集:動き出した「平成の市町村大合併」<前編>
-動き出した「平成の市町村大合併」<前編>- 3/5

3.市町村合併、個別の動きから<NO.1>

 ここ数年の市町村合併の動きを見ると、平成14年まではせいぜい年間数件しかありません。記憶に新しいところでは、さいたま市や西東京市などがあげられます。ところが、昨年は22件とはねあがり、今年はすでに29件の合併が予定されています。ここではいくつかの具体例を見ていきましょう。
●さいたま市、その後
 さいたま市は、平成13年5月1日に浦和・大宮・与野の3市の合併により誕生しました。合併のきっかけとなったのは、東京に政府機関などが集まる「一極集中」を解消するための、埼玉県への政府機関移転計画でした。平成15年4月1日に全国で13番目の政令指定都市へと移行した同市では現在、国の18機関が集まる「さいたま新都心」をシンボルとし、関東地方を牽引する中枢都市としてさらなる発展を目指しています。
●奄美、合併の動き再び 6市町村提案へ
 鹿児島県奄美大島の合併問題は当初、海を隔てた隣の喜界島(喜界町)を含む8市町村で論議されていました。それが平成15年5月以降、「役場がなくなる」などの理由で同町と龍郷町が離脱を表明、合併の枠組みは破たんしていました。しかしここにきて、6市町村で合併への動きが再浮上。その背景には、国からの地方交付税が大幅に削減され、新年度予算が組めない状況が見えてきたことがあります。奄美大島の6市町村長は新たに法定合併協議会を設置し、平成17年3月末までの合併に向けて、再び動き始めました。
●「アメ」に頼らない合併、新潟
 新潟市と周辺11市町村は、平成17年3月までの合併を目指しています。この新潟の事例で注目すべき点は「在任特例」を使わないことです。新・新潟市では、合併に伴い現新潟市議会議員52人以外は全員失職し増員選挙を行います。その結果、同市の議員数は72人程度となりますが、これは在任特例を使った場合と比べ176人少なく、年間90億円の費用削減となります。また、合併に向けて集約した各市町村の道路整備などの要望も当初の約2,080億円から約1,250億円まで圧縮するなど、国からの「アメ」に頼らない積極的な動きを見せています。
●官民一体の「地域振興会」(美山町)
 京都府美山町は周辺3町とともに市制に向けて動いていますが、この町の特色は平成13年に発足した「地域振興会」です。美山町では平成12年8月、農協合併によって旧村単位にあった農協支所が一つに統合されました。これをきっかけに新たな拠点として官民一体、住民参加による「地域振興会」が発足したのです。このケースは行政機能はより効率的、スリム化に進み、住民の行動や意志は地域密着社会にならなくてならないという「平成版合併」のあり方のひとつを示しているともいえるでしょう。
 官民一体という見地からいえば、市町村大合併に対しての私たち印刷業界のスタンスも、単に官公庁を受注先として見るのではなく、専門性を活かして地域発展に貢献していくという積極的な取り組みが重要になってくるのではないでしょうか。


各都道府県の市町村合併ホームページより


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