グリーンレポート
特集:動き出した「平成の市町村大合併」<前編>
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1.合併の歴史〜平成の大合併へ

 日本では、これまで地方自治体が自らの規模を変えながら、地方行政を刷新してきました。近代以降、その流れの中で大きな市町村合併は二度ありました。最初は明治21年に始まった「明治の大合併」です。このときあった7万余の基礎自治体は、翌明治22年の新市政・町村制のスタートにより、約15,000に統合されました。これは江戸時代からの地縁、血縁で結ばれた「自然村」から、政府の末端を担う「行政村」への変化といえます。そして第二次大戦後、1953(昭和28)年に制定された「町村合併促進法」、昭和31年の「新市町村建設促進法」などにより、昭和28年からの8年間でほぼ1/3の3472市町村となりました。この大合併では、その後の日本経済の高度成長と、それを支える地域開発行政にふさわしい地方行政組織を生み出しました。そして今、三たび大合併の大きな波に直面しているといえます。
 「平成の大合併」の背景には、行政圏と実際成立している生活圏とのズレ、国・地方の深刻な財政危機、分権時代のまちづくりの需要などがありました。これらの抜本的解決に合併・再編という大きなテコ入れが必要になったわけです。政府では合併・再編を推進するため、平成17年3月までを期限に「市町村合併特例法」を施行し、さまざまな合併優遇策を盛り込みました。例えば、合併後10年間の地方交付税を維持するというもの(図)。これは小さな町村が合併し、一定規模以上の市になると交付税額が縮減され、財政上デメリットになるという批判に応えるものです。この他、市制施行のための要件を人口3万人以上(通常は5万人以上)とし、その他の要件を不要とする特例、合併市町村補助金の交付をはじめ、いくつかの財政上の特例等があります。
 総務省は今年1月29日、この特例法の期限が切れた後(平成17年3月以降)も、さらに合併を促す「合併新法案」の概要を固めました。都道府県知事に合併を仲介する役割を担わせているのが新たな特徴です。総務省によれば現在、全市町村の半数以上の1840市町村が合併に向けた法定協議会に参加しており、任意の協議会を含めると全市町村の7割が合併の話し合いを進めているといいます。


市町村数の変遷


地方交付税の合併特例


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