グリーンレポート
特集:電子政府・電子自治体の実現で印刷ビジネスはどう変わる?<前編>
-電子政府・電子自治体の実現で印刷ビジネスはどう変わる?<前編>- 4/6

主なシステムと体制<NO3>

●電子入札
 発注者と受注者が、時間や場所にとらわれず、インターネットを通して、安全で公平な入札を実現するシステムです。自社にいながらインターネットを介して入札できるようになり、競争性の向上、コスト低減などに貢献します。現在、総務省で一部の入札案件を対象に運用がはじまっており、他の省庁も同様のシステムを稼動する予定です。政府の構想では、2003年後半から非公共事業関係でも全府省で運用開始することになっています。また、これに続いて今後は都道府県や市区町村、公共団体を対象としたプロジェクトが本格化すると見られています。
 もちろん電子入札は、私たちへの印刷発注も同様です。まだまだ“地元優先発注”が中心とはいえ、電子入札の流れから、エリアにとらわれない発注が行われるでしょう。印刷会社にとって、全国が営業エリアと考えれば受注機会の拡大となりますが、逆にいえば自社の営業エリアに競合会社が参入するということでもあります。中小の印刷企業にとっては、実力がシビアに問われる時代を迎えることになります。
 では、最近の新しい動きを例を挙げてご紹介します。
■国土交通省…2003年4月からすべての直轄公共工事に電子入札を導入しました。入札の告示、参加の申込み、落札までがパソコンの画面上で処理できます。公共事業予算が減っているため、入札に参加しやすいようにして応札業者をふやし、価格競争をうながす狙いです。


国土交通省の電子入札イメージ


■東京都…同じく2003年4月から電子入札・契約事務システムを導入しました。発注予定工事の公表から指名業者の通知、質問の受付・回答、入札まで一連の契約事務をコンピュータで処理します。初年度は100件の大型工事で電子入札の実施をめざします。さらに契約事務の効率化が見込まれています。また、都では工事案件についての「積算内訳書」提出を入札条件としています。
 この「積算内訳書」については印刷業界でも義務づけよ、という議論があり、電子入札システムで使われる入札フォーマットを業界から提案しようという動きもあります。
 全国自治体のなかで電子入札を実施しているのはまだ一部ですが、中央官庁の導入が進めばトップダウンで一気に広まってくるでしょう。情報収集をおこたらず、将来へ向けた事業を想定しながら、対応を考えていきたいものです。


都の電子入札の仕組み


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