グリーンレポート
特集:環境対応への企業努力が不可欠に 印刷業界に迫る「グリーン購入」への潮流
-印刷業界に迫る「グリーン購入」への潮流-9/9
銀行・信託・保険など業態を超えて

 次に、最近よく耳にする話題の環境対応材料を改めてご紹介します。まずは、石油系溶剤を含まず、すべてを植物油に切り替えたオフセットインキです。これは石油系溶剤で問題とされているVOC成分ゼロというもので、地球温暖化、大気汚染、生態系の破壊を防止するもの。また「インキはもとより、印刷工程に使用される資材全般にわたりVOCを排除する」ことをコンセプトに、インキ、ニス、洗浄材のすべてにおいてVOC成分を排除した枚葉印刷システムも開発されており、今後もこの技術がオフセット印刷全般に拡大されると見られています。
 また、古紙の分野では、ソニーが雑誌古紙100%無脱墨・無漂白の社用封筒や製品用段ボール箱を生産しています。これは、回収率が33%と低い雑誌古紙の利用拡大に貢献するもの。しかも、CO2排出量、使用エネルギー量などを一般の100%再生紙より2〜3割も軽減するといいます。今後、雑誌古紙100%の印刷物が新たな動きとして広がる可能性もあります。

以上、グリーン購入ネットワークの「『オフセット印刷サービス』発注ガイドライン」を中心に、印刷業界の自主基準、国や自治体の最新動向等を概観してきましたが、今後、グリーン購入への取り組みは、その成熟とともに部分から全体へ、側面的ではなく大局的な評価へと変わっていくでしょう。例えばモノづくりにおける環境配慮のしくみのひとつにLCA(ライフサイクルアセスメント)という考え方があります。これは、原材料採取から製造、流通、使用、廃棄に至るまでの製品の一生涯(ライフサイクル)で、環境負荷を定量的・総合的に評価するとともに、負荷の少ない製品づくりへと移行していく手法です。それは感覚的なものではなく、数値として負荷を引き出し、必要な配慮をフィードバックしていくもの。欧米では80年代からLCA研究が進められていますが、日本でも近年急速に研究がすすみ、LCAの概念が普及しはじめています。
 いままで大量生産・消費・廃棄の仕組みのなかで、さまざまなモノをつくり、使い、棄ててきたことのサイクルを根本から見直し、トータルに改善しようとする象徴的な現象とはいえないでしょうか。
 いずれにしても国や自治体、一般企業、メーカーも含めた「環境配慮」「グリーン購入」の潮流が、私たちの印刷需要にとって、大きな影響力をもつことは必至です。今や、「環境に配慮しない事業活動は市場競争力を失う」──そんな時代が近づきつつあります。一方で、このような動きを的確につかみ柔軟に対応することが商品の差別化、企業評価の向上を実現し、新たなビジネスチャンスにつながるはずです。


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