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採用難時代の人材獲得法
 
すぐに分かる! 注目の経営手法や市場の「今」 グリーンレポート

採用難時代の人材獲得法

2019/02
ブラッシュアップ・ジャパン株式会社
第二新卒の採用活動で若手活用の可能性を探る

株式会社高齢社
獲得競争は始まっている!超高齢化時代のシニア活用

印刷業界での第二新卒、シニアの活用

採用難時代の人材獲得法

ブラッシュアップ・ジャパン株式会社
第二新卒の採用活動で若手活用の可能性を探る
 第二新卒者登録数20万人。取引先数5000社に上る「いい就職.com」を運営するブラッシュアップ・ジャパン株式会社は、第二新卒者の採用・就職支援サービスを提供する草分けです。同社代表取締役社長の秋庭洋さんに、現代の採用事情を伺いました。
 「新卒採用は求人倍率の高止まりと少子化で大変難しいです。新卒者が採用できても、入社3年以内の離職率は約35%、従業員300人以下の企業では4割を超え、2人に1人が3年以内に離職します。この第二新卒者に特化して人材紹介業に参入したのが弊社です」(秋庭さん、以下同)
第二新卒採用のメリットを実感し、生かす企業が増加
 この10年、企業の第二新卒への見方が変わっています。その理由には、日本独特の採用戦線による採用競争の過熱も考えられます。企業側のバラ色のプレゼンが増えた結果、入社後の大きなギャップによる退社も増え、一度目のミスマッチは仕方がないと考える企業も増えました。
 第二新卒採用の長所には「定着率の高さ」があります。他社で教育を受けた経験も長所かと思いきや、「ビジネスマナーは1カ月もあればある程度は身につけられます。それよりも、実際に会社に入り犲匆颪慮靴靴記瓩鯊慮海靴燭海箸、一番のメリットです」と秋庭さん。そのため、「第二新卒者の多くは夢のような過大なイメージを持っておらず、新卒者よりも定着してくれるのです。第二新卒者をスポット採用した企業では、思いのほか定着率が良いため、新卒採用をやめて第二新卒採用に軸足を変えるケースも非常に増えています」。
 もう一つのメリットは、やはり「タイムリーに採用できること」です。新卒は入社まで1年待ちますが、経営環境はすぐに変わります。
 「内定を出したが状況が変わり採用し過ぎたとか、もう少し採用すればよかった、というタイムラグがもどかしくなります。第二新卒採用では必要な時期に、必要な人数が確保でき、急な欠員に柔軟に対応できるメリットも感じていただいています」
「印刷業界で働く具体的なイメージ」を伝えることが重要
 第二新卒者を採用する業種に偏りはなく、従業員数は300名以下の中小企業が8割、残りは大手企業です。「大手サイトで埋もれがちな企業さんもいます。人気の業界ではない、人気の職種ではない、人気のエリアではない、ということも多いです」。
 いまの求職活動はネット検索ではじまります。求職者は本人が分かる条件で見るので、知名度が低ければ不利になり「知る人ぞ知る優良企業」はヒットしません。しかし、対面で会社の詳細を説明されて面接に行くと「こういう良い会社があったんですね」と入社を決めることが多いそうです。
 印刷会社で同社を利用するのは延べ約60社。従業員100名程度の企業が多く、職種は営業職や制作管理など、多岐にわたります。しかし、求職者側では最初から印刷業界への就職を意識している人は少なく「印刷会社の求人をご紹介すると、就職先としてはじめてイメージする方が多いです。しかし、私どもが各社に取材した内容を詳細にお伝えすると、前向きに検討をはじめる人は少なくありません」と言います。より具体的でリアルな仕事内容のPRが印刷業界の課題と言えそうです。
「体験入社」やユニークな採用方法でミスマッチを回避
ブラッシュアップ・ジャパン株式会社が運営する第二新卒者向け求人サイト「いい就職.com」
https://iishuusyoku.com/
 同社では「体験入社」にも力を入れています。「ほぼ内定」という採用直前の段階で、数日から半月、職場で働いてもらうのです。「会社概要や待遇の条件は一致しても、実際にどのような職場で、どのような人たちと、どのような雰囲気で働くのか、それが一番大事です。肌で感じるのがとても大切なので、双方が納得してから最終決定しましょう、という取り組みです」。実際に辞退に至る割合は約2割に減り、入社後のミスマッチの悲劇を未然に防いでいます。
 同社は次のようなユニークな採用方法も提案します。「さまざまな企業へ応募すると、多くの人が書類選考のような途中の作業にかなりのストレスと非効率さを感じています。ですから、『何か条件が一致すれば、いきなり社長が会いますよ』と一歩踏み込んだ採用活動をすると興味を持たれるきっかけになります」。その条件とは、部活の実績や海外留学経験があるなど、一般的なものでもよいそう。
ブラッシュアップ・ジャパン株式会社 代表取締役社長の秋庭 洋さん
 「ウェブサイトで業種と職種を決めて、検索ボタンを押さないと始まらない、と思っている求職者が多いです。しかし、自分に興味を持つ社長がいれば、社長に会ってから仕事内容を聞いてもよいと思う人は多いようです」
 会社で一番の採用力を持つのはやはり社長。採用したいと思えば、社長が直接口説けるというメリットもあります。
今の若手の熱量や潜在力は高い。入社後のフォローがポイントに
 「今の20代のポテンシャルは、決して低いわけではありません。ITリテラシーも社会的な意識も高く、フォローをすれば熱量が上がる人が多い」と秋庭さんはいいます。
 第二新卒者の入社後、会社に必要な対応は、ひと昔前とは異なります。「甘いと言われるかもしれませんが、入社後のサポートは必要です。企業さんにも入社1、2年は必ず先輩社員のメンターをつけてサポートしていただくようお願いしています。最近はマネジャーも一緒に取り組むこともあります」。しかし、それがうまく働くことで、入社した若手と先輩社員とのモチベーションを合わせて高めることもできるのです。
 今後の若者の採用と企業の関係は、どうなるのでしょうか。
 「全体では第二新卒で就職活動をする人が増えています。大量採用して早期退社が多い会社よりも、そのような方々を上手に採用でき、社員との関係を良好に保てる会社が、今後は強くなると思います。
 若い人は一つの会社で働き続ける感覚がなくなり、転職してキャリアをつくろうと考えています。そこで経営者の方々とは、入社後10年したら転職して巣立つことも織り込んだ社内体制づくりも必要ではないかと話しています」

ブラッシュアップ・ジャパン株式会社
https://www.brushup-jp.com/
  • 入社後のミスマッチが少ない第二新卒の就職希望者が増えており、印刷業界の雇用の有力な選択肢になる。入社後のフォローで有効な戦力にすることも可能。
  • 印刷業界は仕事内容のイメージがつかみにくく、古い業界と見られがちだが、具体的な仕事イメージの提示や、若い人を受け入れる環境づくりで、第二新卒の確保および活躍の可能性は広がる。
株式会社高齢社
獲得競争は始まっている!超高齢化時代のシニア活用
 千代田区外神田の「高齢社」は、ストレートなネーミングがそのまま事業内容を表す、60歳から75歳の高齢者専門の人材派遣会社です。2000年の創業以来、高齢者の「働きたいキモチ」と事業者の「働いてほしいキモチ」をスムーズにマッチングさせ、新築マンション内覧会、ガス検針や設備点検、施設管理、その他一般事務などへの派遣業務を行っています。現在の登録社員は約1000人。年商6億円以上に成長するなど、社会的にニーズを集める同社で代表取締役社長を務める、緒形憲さんにお話を伺いました。
 「社名は創業者の上田研二の発案で、近い将来シニアが活躍する時代の到来を予見したものです。世代によらない慢性的な労働者不足を見越して、新たなシニア事業の展開で雇用問題へのひとつの回答を示そうとしました。上田もわたくしも、時間も十分にあるのにリタイアされた、優秀な先輩後輩の方々を遊ばせてしまうことの『もったいなさ』を痛感していました」(緒形さん、以下同)。この思いが高まり、上田さん自身も会社退職後の62歳のときに高齢社を起業したのです。
正社員の負担軽減など企業側に多くのメリット
ガス関連の国家資格を持つ高齢者を必要とする現場もある
各種の社内研修も実施。マンション内覧会の業務では新しい設備の確認を行うなどのフォローも
都市部では駐車取り締まり対策の運転助手の業務が重宝されている
 緒形さんは、高齢者が活躍する企業側のメリットについて、こう語ります。
 「慢性的な人手不足の今、時間外労働や休日出勤による現役社員のストレスは計りしれず、せっかく育てた社員が離れることにもつながりかねません。この問題を解決する有用な手段として、高齢者の雇用があると思います。基本的に派遣社員の形なので、金銭的負担の高い雇用保険などのコストを省けます。また、柔軟な働き方が可能なので、繁忙期や臨時の対応にも有効です。事前に希望調査を綿密にするので、『想像していたのと違う』ということも生まれにくいです」
 また、こと雇用においては、高齢者への一般的なイメージと実際について明確な乖離があると緒形さんは指摘します。「先入観が大きいのでしょう。実際にはバリバリと働けるのにもかかわらず、こんなお年寄りで大丈夫なのか、と年齢だけで判断されがちです」。
 それを裏付けるように、実際に働いてみると、企業側とのミスマッチは少ないそうです。
 同社では、人材を送るだけでなく「企業ニーズに合わせて就業上の心構えや就業規則、安全衛生対策などを学んでもらってから仕事に就いてもらいます。基礎研修、『CSビジネスマナー研修』や『スキルアップ教育』など充実のサポート体制を敷くことで、クライアントや働き手に安心を提供します」と緒形さん。高齢者雇用でネックになることがあるのが、若い人に「上から目線」で対応してしまうケースですが、それも事前の研修で改善されるそうです。
65歳以上は労働市場の「金の卵」
 高齢者には具体的にどのような働き方がピッタリとくるのでしょうか。
 「ケース・バイ・ケースですが、働き手の都合を優先させつつ週3日程度で、ワークシェアリングできる勤務形態が望ましいと考えています。2人以上で仕事を分担することで、体力的な負担を減らせますから。収入は月に8〜10万円ほど、年金との併用で生活にゆとりを持たせられます」
 緒形さんは、同社で働く高齢者について次のように説明します。
 「自分の経験を生かしたい方もいれば、まったく関係のない仕事に就きたいという方もいます。総じて、現役であることへのこだわりこそがすべてのパワーの源、第一条件となる。意志あれば道あり。元気だから働くのではなく、働くから元気なのです」
 同社の現状について、「設立当時に比べビジネスも大きくなり、結果的に就労者の平均年齢も70・4歳とハイアベレージをキープ、最高で84歳の方がいらっしゃいます。企業スローガンに掲げている『ひとりでも多くの高齢者に働く場と生きがいを!』の理想に近づいていると自負しています」と語ります。
株式会社高齢社 代表取締役社長の緒形 憲さん
 同社では、75歳になった時点で社員と話し合いの場を持ち、働くことへのモチベーションを確認しています。
 「頼もしいことにほとんどの方が『もっと働きたい!』と言ってくれます。そんな社員たちへのニーズがあるうちは、なるべく継続して働いてほしいと思っています。高齢者には数々の経験に由来する気力・体力・知力が備わっており、企業で短時間でも活躍することで、さまざまな現場でよい影響を与えてくれます。高齢者自身は、再び働くことで生活にリズムが生まれ、体もどんどん元気になります。高齢者の再活躍は、社会幸福につながっていると思います」

株式会社 高齢社
http://www.koureisha.co.jp
  • 繁忙の差が大きく、臨時業務も出やすい印刷会社では、高齢者を派遣社員として雇用するメリットは多い。現役社員の残業代と休日出勤の削減もでき、募集や面接などの労務管理の省力化も期待できる。
  • 印刷業界では、長年の現場経験を「即戦力」として再活用できる下地もある。比較的簡単な導入教育のみで、高齢者に現場で活躍してもらうことが可能ではないか。
印刷業界での第二新卒、シニアの活用
 AIやロボットなどが進化し、労働力の代替手段として期待されますが、まだまだ普及や低廉化には時間がかかります。また、肝心の経営や各部の戦略立案についてはこれらの技術でできるわけでもなく、やはり自社に合った、モチベーションの高い人材の確保が重要です。
 今回、若手世代とシニア世代の両面から採用・雇用の状況を見ましたが、きちんとフォローをすれば熱意と力を発揮するにもかかわらず、働くべき場所が見つからない若者、働きたいのに環境が不足しているシニアの雇用は、人材不足に悩む経営者にとって、直接的な解決手段になりえます。
 印刷会社の仕事は一般的にイメージしにくい一方、仕事内容を具体的に説明することで、前向きに考える若者も少なくなく、分かりやすく伝える努力も重要だと言えそうです。取材を通じて明らかになったように、一部の印刷会社はすでに第二新卒の求人に乗り出しています。早期に手を打つ必要があるかもしれません。
 
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