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魅せる電子看板! デジタルサイネージの最新事情
 
感圧紙の業界の未来を考える グリーンレポート
魅せる電子看板! デジタルサイネージの最新事情 2012/1/12
1.導入が加速するデジタルサイネージ
2.地域メディアとしても活躍
3.デジタルサイネージ市場の伸張と印刷業界
 ●トータルに展開する大手印刷会社
 ●中小企業はコンテンツ制作を視野に

4.デジタルサイネージの未来展望
1.導入が加速するデジタルサイネージ
 デジタルサイネージとは、電子データの情報をディスプレイを通じて表示するシステムで、複数拠点へのリアルタイムな情報配信・管理や、時間帯・設置場所に応じた情報の切り替えが可能な、いわば「動画や音声で訴求できる電子ポスター」です。従来のポスターや看板のように張り替え作業の手間もなく、タイムリーかつ効果的な販促・インフォメーションを実現します。
 導入例を見ると、JR東日本の電車内に設置され、毎週5,000万人以上の乗客に訴求している「トレインチャンネル」(JR西日本では「WESTチャンネル」の名称で実施)のほか、品川駅をはじめとするJR東日本の複数の駅構内には、65型の液晶のデジタルサイネージが導入され、季節に応じた観光案内など多彩な情報を提供しています。また、東京メトロ丸ノ内線主要6駅のホームでも、「M Station Vision」と呼ばれる大型ディスプレイによる広告配信が実施されるなど、駅構内への導入が増えています。
 一方、商業施設への導入も進んでいます。2010年3月にオープンした福岡PARCOは、各階に、大人の目の高さに合わせた縦長ディスプレイのタッチパネル式デジタルサイネージを設け、施設の案内表示やパルコカードへの入会を呼びかけるほか、コンビニのローソンでも、2010年5月に都内300店にデジタルサイネージを設置。天気予報や新商品の紹介画像を流し始めており、今後も設置店舗を拡大するとしています。
 眼科や整形外科、内科など、全国の医療施設では、来院の機会が多いシニア層をはじめとした215万人/月の視聴者に訴求するデジタルサイネージ、「メディキャスター」を導入。健康食品や子育てグッズなどの広告配信のほか、ヘルスケア情報やニュース、天気予報、さらに病院の医師の紹介や診察スケジュールなど多彩な情報を表示しています。
 ツイッターと連動したデジタルサイネージの活用例も生まれています。富士フイルム イメージテックの「スマートバルーン」は、PCや携帯電話から発信されたメールやツイッターのつぶやきを、リアルタイムでデジタルサイネージに表示するコンテンツサービスで、店舗やイベント会場で利用されています。無印良品有楽町店では同サービスを使い、顧客がウェブサイトにあるツイッター投稿フォームから「無印良品といえば○○○○」の「○○○○」部分を書き換えて投稿すると、そのつぶやきが店頭のサイネージに次々と表示される販促キャンペーンを実施。ツイッターによる口コミ内容を、ツイッターを使っていない顧客に対してもアピールしました。
 近年、ディスプレイやシステムの低価格化が進んだことで、多様な分野、施設においてデジタルサイネージの活用が進んでいるのです。
■デジタルサイネージの導入事例
■デジタルサイネージの導入事例   BMWの正規ディーラーでは、タッチパネル式のデジタルサイネージを全国200店以上の店舗に設置。車種・カラーリング・オプションパーツの選択ができるほか、プロモーションビデオや抽選会情報、社員教育コンテンツやテレビ会議システムも搭載している。
■デジタルサイネージの導入事例   東京ミッドタウンに設置されたデジタルサイネージには、1週間で2万回タッチされる「施設イベント案内」や、103インチ3連PDPサイネージでの「イベントライブ映像配信」など、豊富なコンテンツが用意されている。
■デジタルサイネージの導入事例   羽田空港に設置されている、太陽光パネルの発電量や省エネデータを図や数値で分かりやすく表現したデジタルサイネージ。刻々と変わる状況をリアルタイムに配信している。
■デジタルサイネージの導入事例   富士フイルムの写真展「10,000人の写真展」では、来場者が携帯電話などでウェブにアクセスし、各作品に対するコメントを投稿。そのコメントは会場のデジタルサイネージにリアルタイムで表示された。
2.地域メディアとしても活躍
 企業の広告メディアとしての利用が目立つ中、自治体や地域がインフォメーションツールとして活用する例も増えています。
 千葉市では、JR千葉駅前などに4台を設置し、イベント情報や観光案内、地域のお店の「お買い得情報」を配信。熊本市の「健軍商店街」でも、お店や学校のインフォメーションのほか、地元のサッカークラブ「ロアッソ熊本」の試合結果、選手のインタビュー動画を配信しています。
 また、東京の大手町・丸の内・有楽町地区内の複数のビルに設置された、大小さまざまなサイズのディスプレイで視聴できる地域メディア「丸の内ビジョン」は、東日本大震災の発生9分後には、全79台が一斉にNHKの緊急放送を配信し、帰宅困難者に向けて災害情報を24時間体制で提供。サイネージ広告媒体協議会(※)も、震災発生直後に政府広報からの情報や安否確認情報を一斉に配信するなど、最近では災害などの緊急時の情報メディアとしても注目が高まっています。
 さらに東京都台東区では、上野公園などに、ボタンを押すと警察署と通話できるデジタルサイネージを設置するなど、防犯対策の一環としても利用されています。
 このように、TPOに応じた即時配信・即時表示を可能とするデジタルサイネージの「リアルタイムオペレーション」という特性が、さまざまなシーンでの利用価値を生んでいるのです。
※サイネージ広告媒体協議会(Signage Advertising Media Association)…広告会社や印刷会社、IT企業など、デジタルサイネージの媒体を保有・提供する会社が連携を図り、市場の確立や媒体の安定的販売を目的とする協議会。
丸の内ビジョン
▲丸の内ビジョンでは、通常は地域で行われたイベントなどを配信するニュースコンテンツ「MV News」や、「丸の内エリア店舗情報」など、エリア特性に合致した各種広告を配信している。2011年3月時点では、丸ビルや新丸ビル、丸の内オアゾなど、18のビルに79台を設置。
3.デジタルサイネージ市場の伸張と印刷業界
●トータルに展開する大手印刷会社
 今、まさに成長期といえるデジタルサイネージ市場に、印刷業界も積極的に参入しています。
 大日本印刷株式会社は、グループ会社の「丸善」「ジュンク堂」が運営する10店舗の書店で、デジタルサイネージで広告・販促情報を発信するサービスを展開するほか、デジタルサイネージのコンテンツ編集・配信に必要な機能をパッケージ化したソフト「SmartSignage」や、低いディスプレイ輝度で映像を美しく表示する色調補正器「FANAT COLOR」(下に写真を掲載)などを販売しています。
 凸版印刷株式会社も、書店や流通業などでの利用を想定し、商品のバーコードをリーダーにかざすことで、その商品に関する映像が視聴できる小型デジタルサイネージシステム「EPOP NEO」を販売(下に写真を掲載)。また、バス停でのデジタルサイネージによる運行情報、公共情報、観光案内の提供など、新しい媒体の構築へ向けた効果測定実験を実施しています。
 共同印刷株式会社は、豊富なデザインテンプレートに情報を入力するだけで、店舗でも簡単にデジタルサイネージ用コンテンツが作成できる、多店舗展開企業向けのASPサービス「サイネージスタジオ」を展開しています。
 大手印刷会社は、デジタルサイネージを期待値の高いビジネスフィールドと捉え、顧客企業へのコンサルティング、システム提供、ハードウエアの開発、さらにコンテンツの制作・配信といった、デジタルサイネージのトータルソリューションサービスを始めています。
大日本印刷株式会社の色調補正器「FANAT COLOR」による色調イメージ   大日本印刷株式会社の色調補正器「FANAT COLOR」による色調イメージ。(左)最大輝度時の画面。(中)輝度を70%下げた時の画面。(右)輝度を70%下げ、色調整した画面。
凸版印刷株式会社の「EPOP NEO」   凸版印刷株式会社の「EPOP NEO」。写真は、コミックスのバーコードを読み取り、宣伝映像を視聴する様子。
●中小企業はコンテンツ制作を視野に
 一方、中小の印刷会社にとっても、主にコンテンツ制作などの展開にチャンスがあります。調査会社のシード・プランニングは、2016年に国内のデジタルサイネージ市場規模が1兆2,634億円となると予測(同社の2010年発表の予測では、2015年に1兆円を超えるとしていましたが、震災の影響から1年遅れると判断)。今後ますますデジタルサイネージのハードウエアやシステムが普及することで、コンテンツニーズの拡大が見込めるためです。
 今後、非常に有望視されるデジタルサイネージ市場ですが、従来の印刷メディアとは全く異なるデジタル分野への参入に、二の足を踏んでいる印刷会社も少なくはないでしょう。
 しかしながら、近年では、印刷物と連動したデジタルサイネージの展開など、印刷会社にも総合的なソリューションの提供が求められ始めています。ソフトメーカーでは、こうした印刷会社からのニーズを想定したコンテンツ作成ソフトの販売も進んでおり、ノウハウの少ない印刷会社でも、導入しやすい環境が整ってきています。
 例えばオリンパス株式会社の「SIGNAGE CREATOR」は、デジタルサイネージ用のデザインテンプレートや素材が豊富に用意されているほか、デジタルクルーズ株式会社のASPサービス「StreamingMaker」などは、初期費用を抑えた形で、動画コンテンツの作成環境も導入することができます。
 「広く浅いコミュニケーション」を行うマス広告が低調な中、ピンポイントな顧客セグメントを実現するデジタルサイネージは、POPやSPツールなどで蓄積した印刷会社の企画・制作力が生かせるメディアです。視点を変えれば、コンテンツビジネスに最も参入しやすいのが、印刷会社といえるでしょう。
4.デジタルサイネージの未来展望
 ハード面においても、デジタルサイネージの分野では新しい技術が次々と生まれており、壁面用や床面用、店舗のガラス面に投影するタイプや、テーブル型の製品も登場しています。また、内蔵カメラで撮影した視聴者の年齢・性別を自動で解析する機能により、マーケティング効果が測定できるものや、節電に配慮し省エネ性を高めた端末なども実用化されています。近い将来には、街中の壁面や地面、噴水の水面に映像を投影するなど、街全体をメディア化するという期待も広がるデジタルサイネージは、メディアのあり方そのものを大きく変える可能性があるのです。
 さらに、サイネージ化されるのは映像メディアだけではありません。NTTコミュニケーションズは、映像と連動した「香り」を発生させる「Spot Media® with 香り通信 〜香るサイネージ〜」を商用提供しました。これは、交通機関や公共機関、スーパーの商品棚などで、任意の「香り」を発生させ、商品の興味喚起率の向上やリラクゼーションなどの空間演出にも活用できるサイネージとして、大きな注目を集めています。今後は、触覚や味覚などにも訴える、より臨場感のある情報提供の手法も追求されていくことでしょう。
 駅や公園、商業施設など、あらゆるシーンでデジタルサイネージによる双方向なコミュニケーションが可能となり、さらに、電話やPC、テレビなどと連動した「マルチメディアデバイス」として、各家庭に導入が進んでいく。そんな未来への大きな可能性を秘めたデジタルサイネージは、あらゆるビジネスにおいて、ますます目が離せない存在となりつつあります。
 印刷会社は、こうした技術の進歩や社会のニーズを敏感に察知し、コミュニケーションのスペシャリストとして、従来の印刷メディアと連動した新たなソリューションを提供していくことで、ビジネスチャンスを大きく広げていくことができるでしょう。
■新たな領域を追求する、最新型デジタルサイネージ事例
■新たな領域を追求する、最新型デジタルサイネージ事例   東京メトロ新宿駅に展開された、大型スクリーンを計8台連ねた「人の動きに反応するデジタルサイネージ」。人が通ると、その動きに合わせて画面や音が反応する。
■新たな領域を追求する、最新型デジタルサイネージ事例   WiMAX通信モジュールを搭載した自動販売機。気温、時間帯などに応じたコンテンツを配信するほか、顧客属性判定センサーで利用者の年齢や性別を推測し、属性に合ったおすすめ商品を表示する。
■新たな領域を追求する、最新型デジタルサイネージ事例   東京ミッドタウンに設置された、「アート」と「広告」とを融合させたデジタルサイネージ。モニターを6面連結した屏風型液晶ディスプレイに、日本画家・千住博氏作『水の森』や葛飾北斎作『冨嶽三十六景』などのデジタル動画などのクリエーティブ・コンテンツと、広告を放映した。
 
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