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スマートフォンと電子書籍の隆盛<第1回>
 
感圧紙の業界の未来を考える グリーンレポート
スマートフォンと電子書籍の隆盛<第1回> 2011/11/10
1.スマートフォンとは
  ●日本でも本格的な普及期へ
  ●アプリが生む可能性

2.スマートフォン市場の今後
3.印刷業界におけるスマートフォン関連サービス
  ●印刷および関連会社のアプリ開発・提供
  ●電子書籍ビジネスへの期待

1.スマートフォンとは
●日本でも本格的な普及期へ

 私たちの暮らしに確実に広がっているスマートフォン。そもそもスマートフォンと呼ばれるのはどのようなものかというと、PCやPDA(※)の機能が備わった、通話以外に多彩なデータ処理機能(アプリの追加による機能拡張やカスタマイズ、Webブラウザによるインターネットへの接続、各種ファイルの閲覧、マルチメディアプレーヤー機能など)を持った携帯電話と捉えるのが一般的です。
 2000年代中ごろから国内でも普及の兆しはあったものの、本格的に普及し始めたのはごく最近で、その発端となったのは、2008年にソフトバンクから発売された米アップル社の「iPhone 3G」(発売後3日間に全世界で100万台を売り上げ、800本以上のアプリのリリース、1,000万本のアプリのダウンロードを達成)です。同製品は、使いやすいインターフェースや豊富なアプリケーション数、利用料金が比較的安く設定されていることなどから、多くの支持を獲得しました。
 また、2010年の後半から日本独自のスマートフォンの開発・発売も加速します。「FeliCa」「ワンセグ」「赤外線ポート」など、従来の国産携帯電話でニーズの高かった機能を搭載した商品が発売されました。加えて、グーグル社のOS「Android」を搭載した商品が大手通信事業者や端末メーカーから相次いで発売され、利用者の選択肢が増えたことで、従来の携帯電話ユーザーのスマートフォンへの移行や、携帯電話とスマートフォンを使い分ける「2台持ちユーザー」が増加。以降、市場が急速に拡大し続けています。

※PDA(Personal Digital Assistant)…携帯情報端末。スケジュールやToDo、住所録などの情報を携帯して利用できるデジタル機器。
(左)2011年10月14日に発売の最新モデル「iPhone 4S」は、全世界で予約数が100万台を超えるなど、「iPhoneシリーズ」は常にスマートフォン市場をリードする機種として高い人気を誇る。(右)ドコモ、au、ソフトバンクなど、各社は多彩なスマートフォンをラインアップしている
▲(左)2011年10月14日に発売の最新モデル「iPhone 4S」は、全世界で予約数が100万台を超えるなど、「iPhoneシリーズ」は常にスマートフォン市場をリードする機種として高い人気を誇る。(右)ドコモ、au、ソフトバンクなど、各社は多彩なスマートフォンをラインアップしている

●アプリが生む可能性

 スマートフォンの利便性を語る上で欠かせないのが、「アプリ(アプリケーション)」の存在です。
 アプリとは、スマートフォンにインストールすることで、さまざまな機能拡張を可能にするもので、GPS機能を利用したナビゲーションアプリ、スケジュール管理アプリ、電卓や辞書アプリ、TwitterやFacebookなどを手軽に利用できるSNSアプリのほか、各種ゲームアプリ、新聞や雑誌などのコンテンツ閲覧アプリなど、豊富に配信されています。メモアプリや家計簿アプリなど、利用者の多い「iPhone」向けは、有料・無料問わず42万5,000本を超えるアプリが公開され、ダウンロード数は150億以上(2011年7月現在)にもなっています。
 近年では、カメラモードにしたスマートフォンを目の前の町並みにかざすだけで、そのスポットの歴史遺産や食文化などの情報を画面に表示する観光ガイドアプリなども登場するなど、モバイル端末の利点を生かした画期的なサービスが始まっています。 
 「いつでも」「どこでも」「簡単に」利用できるスマートフォン(アプリ)は、今後、情報インフラの根幹を成すものとしてさまざまな可能性が期待されており、企業によるサービス提供のプラットフォームとして無視することのできない存在になっていきそうです。

2.スマートフォン市場の今後
 矢野経済研究所によると、2010年度の国内におけるスマートフォン出荷台数は850万8,000台(前年度比391.2%)、2011年度には出荷台数が2,131万台(前年度比250.5%)に達すると予測(図表参照)されており、現在も急速に市場が拡大しています。
 すでに国内エレクトロニクスメーカーの大半がスマートフォンを商品化しているほか、2011年11月にはNTTドコモも携帯電話の上位機種をスマートフォンに全面的に切り替えるなど、多くの通信事業者がスマートフォンを主力商品に位置付けています。
 また、ハイエンド志向が高い国内市場では、画質の向上やメインプロセッサーの動作速度の向上、防水端末の登場など、し烈なスペック競争が始まっています。その一方で、今後は海外メーカー製品を中心に機能を絞ったローエンド製品が充実することも考えられ、競争が激化していくとみられます。
 こうしたスマートフォン市場の拡大は、ケースやカバーなどのグッズ、ゲームやアプリの開発、音楽・映像・電子書籍などのコンテンツ、スマートフォン対応のウェブサイト構築や情報システムの開発といった企業向けサービスなど、各種スマートフォン関連ビジネスも活性化させています。
 特に、スマートフォン向け有料アプリのダウンロード課金市場は67.8億円(2010年度:MM総研調べ)、スマートフォンゲーム市場は推計85億円(2010年:シード・プランニング調べ)で、ゲーム関連市場は2015年には約30倍の2,550億円にふくれあがると予測されるなど、今後も安定した成長が期待されています。
■図表 国内スマートフォン市場規模推移
Bluetooth(R)搭載の携帯・スマートフォンで利用可能な、本体と連動して着信を知らせるリストバンド(左)や、タッチパネル上でスムーズな操作ができるタッチペン(中)、自転車に「iPhone」が取り付けられる専用ケース(右)など、多彩な関連グッズも登場(プリンストンテクノロジー株式会社)
▲Bluetooth®搭載の携帯・スマートフォンで利用可能な、本体と連動して着信を知らせるリストバンド(左)や、タッチパネル上でスムーズな操作ができるタッチペン(中)、自転車に「iPhone」が取り付けられる専用ケース(右)など、多彩な関連グッズも登場(プリンストンテクノロジー株式会社)
3.印刷業界におけるスマートフォン関連サービス
●印刷および関連会社のアプリ開発・提供

 スマートフォンの普及とともに、印刷および関連業界においてもさまざまなサービスの展開が始まっており、中でも、前述したアプリの開発・提供への取り組みが加速しています。
 
 ウェブサイトなどの制作も手掛ける印刷会社、有限会社エスケイ・アイ・コーポレーション(長崎県佐世保市)は、スマートフォンやタブレット端末用のアプリ開発受注を開始。注文から納品までのスケジュールや料金の目安を表示したウェブサイト「長崎アプリ開発.com」をオープンさせ、今後確実に増加するニーズを見越した事業展開を進めています。アプリを手掛けるきっかけは、既存のクライアントからの「アプリを作りたい」という要望に応えるためだったとか。印刷物制作で蓄積したノウハウや企画力がアプリ開発という新たな事業展開を生んだ好例といえます。
 共同印刷株式会社(本社:東京都文京区)は、スマートフォンのカメラを印刷物の画像にかざすだけで、画像にリンクしたウェブコンテンツにアクセスできたり、アプリのアクションを呼び出したりすることができる画像認識エンジン「ぱとりしあ」を開発。従来の二次元バーコードとは異なり、写真やイラストなどをコードとして使用するため、自然なデザインが可能になります。印刷物とスマートフォンのクロスメディアプロモーションのほかにも、スマートフォンのゲームアプリのギミックとして使うなど、多彩なサービスへの活用を提案しています。
 また、化学・インキメーカーであるDIC株式会社(本社:東京都中央区)では、2010年12月より、同社の色見本帳「DICカラーガイド」をスマートフォンで閲覧できる無料アプリ「DICデジタルカラーガイド」(※)の提供を開始。ダウンロード実績は約25万件(2011年8月時点)となっており、印刷会社はもちろん、出版社、広告制作会社など、さまざまな現場におけるビジネスユースを対象としてさらなるユーザー層の拡大を図っています。
 こうした印刷会社や印刷関連会社によるスマートフォン関連サービスへの着手は、「コミュニケーション力」を基に企業のプロモーションをサポートする印刷会社の新たな役割の一つといえます。印刷物で培ったコンテンツ制作力・加工力・管理力などの強みを発揮し、スマートフォンアプリの企画・開発を含めた総合的なソリューションの提供が、ビジネス展開において重要視され始めているのです。

「長崎アプリ開発.com」ホームページ
▲「長崎アプリ開発.com」ホームページ
色見本帳「DICカラーガイド」1〜6巻を手軽に閲覧できるアプリ「DICデジタルカラーガイド」。
▲色見本帳「DICカラーガイド」1〜6巻を手軽に閲覧できるアプリ「DICデジタルカラーガイド」。
※「DICデジタルカラーガイド」は、DIC(株)がApple Storesに提供しています。
株式会社廣済堂(本社:東京都港区)が販売するアプリ「横浜アートめぐり」。横浜市内に点在する美術館・博物館の情報やクーポン情報が得られるなど、印刷会社も多彩なアプリを販売している。
▲株式会社廣済堂(本社:東京都港区)が販売するアプリ「横浜アートめぐり」。横浜市内に点在する美術館・博物館の情報やクーポン情報が得られるなど、印刷会社も多彩なアプリを販売している。

●電子書籍ビジネスへの期待

 前述のように、スマートフォン市場の拡大は印刷会社にとっても好機となりますが、今後、より注目したいのが電子書籍のニーズの拡大です。近年ではスマートフォンに限らず、タブレット型端末や電子書籍リーダーなどのデジタル端末もさまざまなメーカーから発売されて普及が進んでおり、雑誌、コミック、小説、各種専門書など、モバイル環境下でのコンテンツが拡大しています。 
 2011年2月に開催された印刷・メディア業界の総合展示会「PAGE」においても、出展企業の多くが電子書籍関連のブースを設営。さらに同イベントでは、電子書籍関連セミナーも多数開催されるなど、端末の普及とともに、その注目度はさらに高まっています。
 また、国内の有力な新聞、出版社、大手書店、印刷会社などが連携し、総合電子書籍ストアを開設するなどの動きも活性化しているほか、いくつかの電子書籍ストアでは、すでに数万タイトル規模でコンテンツがリリースされるなど、書籍の電子化はますます加速しています。
 グリーンレポート「スマートフォンと電子書籍の隆盛」第2回では、今後印刷会社の大きなチャンスとなる電子書籍ビジネスの現状をレポートします。電子書籍市場の最新情報や、印刷会社の取り組み事例など、印刷会社のコンテンツ管理力・加工力などを生かしたビジネス展開について検証していきます。

 
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