CLUB GC
表紙へ グリーンレポートへ 技術情報へ Q&Aへ アンケートへ
「遊び」と「学び」で新たな活気を レジャー施設の新戦略
 
感圧紙の業界の未来を考える グリーンレポート
「遊び」と「学び」で新たな活気を 
レジャー施設の新戦略
2011/10/11
1.レジャー業界の市場動向
2.進化するレジャー施設
3.印刷業界のビジネスチャンス
1.レジャー業界の市場動向
 1996年をピークに、徐々に縮小傾向にある日本のレジャー市場。日本生産性本部がまとめた「レジャー白書2010」によると、2009年のレジャー業界全体の市場規模は、前年比4.3%減の69兆5,520億円で、20年ぶりに70兆円台を割り込みました(図表1)。また、2009年のテーマパークやレジャー施設主要対象企業56社の合計売上高は2兆3,201億円で、2006年から4年間ほぼ横ばい傾向にあります(図表2)。
 こうした要因の背景には、景気減退による消費者の節約志向が大きく影響していることは間違いありません。合わせて、自宅に一人でいても楽しめる無料オンラインゲームをはじめとしたレジャーそのものの多様化、さらには、少子高齢化により、子どもや若者世代をターゲットとする既存のレジャー施設への需要が頭打ちになってきたことが挙げられます。
 また、消費者の「余暇の過ごし方」に対する意識の変化もマイナス要因になっています。従来、余暇(休日)を有意義に過ごすことは、すなわち「遊ぶ」ことでした。ところが、近年は「社会に役立つこと」「健康や体力の向上」「学び」など、社会貢献や自己研さんに余暇の時間を使いたいと考える人が増える傾向にあります。
 2009年後半から続く円高基調や、今年3月の東日本大震災と福島第一原発事故の影響もあり、訪日外国人数も激減しています。海外からの観光客を見込んでいた一部のテーマパークも大きな打撃を受け、今、レジャー業界は受難のときを迎えているのです。
●ダミーダミーダミーダミー
●ダミーダミーダミーダミー
2.進化するレジャー施設
 レジャーの消費を抑える人が増加し、ニーズも多様化する中で、来場者をいかに獲得するか。レジャー施設は、これまで以上に明確かつ斬新なコンセプトとオリジナリティーが求められています。言い換えれば、「いかにファンをつくっていくか」「いかにリピーターを増やしていくか」が課題となっています。
 例えば、従来の動物の姿・形を見せる「形態展示」ではなく、動物本来の行動や能力を見せる「行動展示」と呼ばれる展示スタイルで、多くのリピーターを得ている北海道旭川市の「旭山動物園」(2010年度は206万人の入園者数)や、充実した車両展示と電車の運転シミュレーションなどで鉄道ファンの支持を獲得するさいたま市の「鉄道博物館」(今年3月、名古屋市にも同種の施設である「リニア・鉄道館」がオープン)は、成功例として挙げられます。さらに、いちご摘みやウインナー作り、パン作りなど、「就農」を通じて子どもたちに物づくりの楽しみを提供する三重県伊賀市の「伊賀の里モクモク手づくりファーム」なども、多様化・細分化するニーズに応えた好例といえるでしょう。
 また、過去3年の入園者数が毎年220万人を超えるなど、全国でもトップレベルの集客力を誇る動物園、名古屋市の「東山動物園」もユニークな企画を展開しています。同園では、2009年より20時30分まで営業時間を拡張した「ナイトZOO」を実施しており、夜間の営業時間に合わせて、動物園行きの特別列車「ナイトZOOトレイン」を運行。電車内では、動物クイズの開催や、夜行性のヘビとのじかの触れ合い、夜のジャングルをイメージしたライトダウンイルミネーションが実施されるなど、動物園への移動時間もエンターテインメントの場として提供し、大きな話題を集めています。
 このように、近年注目を浴びるレジャー施設は、「遊び」と「学び(体験学習)」を融合した「エデュテインメント」の視点をプラスした施設運営に取り組んでいます。こうした展開は、子どもだけでなく大人にとっても新鮮であり、2度、3度と来場する大きな動機付けになっています。
 2011年は、こうしたエデュテインメント型レジャー施設の新規オープンやリニューアルオープンが相次いでいます。その背景には、少子化により親が子どもの教育にさらに積極的になっていること、また、知的好奇心を満たしたいという大人が増えているなど、消費者の行動や志向の変化にもあると考えられます。
2011年にオープン、リニューアルオープンした特徴的なレジャー施設

●リニア・鉄道館 〜夢と想い出のミュージアム〜(愛知県名古屋市)
名古屋市に2011年3月オープン。東海道新幹線を中心に、在来線から次世代の超電導リニアまでの実物車両の展示や、シミュレータや模型などを活用した展示コーナーを通じて、鉄道のしくみや発展の歴史、社会に与えた影響について体験しながらわかりやすく学ぶことができる。また、鉄道の過去、現在、未来を感じながら、昔の想い出や将来の夢を語る場として、大人から子どもまで一緒になって楽しむことができる。
●ダミーダミーダミーダミー
▲実物車両39両を展示し、「高速鉄道技術の進歩」を紹介。実際に触れ、乗車することができる(一部車両を除く)。
●ダミーダミーダミーダミー
▲国内最大級の「鉄道ジオラマ」(左)、実物大の運転台で運転操作を体験できる「新幹線シミュレータ『N700』」(中)、「体験学習室」(右)など、鉄道の歴史やしくみを楽しく学べる。
●名古屋市科学館(愛知県名古屋市)
約半年をかけての大々的な増設・改修を行い、2011年3月にリニューアルオープン。内径35mの世界最大級のプラネタリウム「ブラザーアース」や、高さ9mの竜巻を人工的に作り出す「竜巻ラボ」をはじめ、さまざまな実験コーナーで科学と自然の力を体験できる。
●ダミーダミーダミーダミー
▲本物に近い星空の再現を目指し、世界一の大きさとクオリティーを備えたプラネタリウム(左)のほか、「竜巻ラボ」(中)、「放電ラボ」(右)など、多彩な展示施設で科学を学び、楽しめる。
●サンシャイン水族館(東京都豊島区)
東京・池袋のサンシャイン水族館が、2011年8月にリニューアルオープン。新設された日本初の「クラゲトンネル」は、クラゲと共に泳ぐかのような体験ができる。また、屋外に設置された頭上のドーナツ型水槽をアシカやペンギンが泳ぎ回る「サンシャインアクアリング」、従来の2倍となる巨大水槽「サンシャインラグーン」など、海の生物たちのより自然な姿を観察できるように工夫がなされている。
●ダミーダミーダミーダミー
▲下から見るとアシカやペンギンが空を飛んでいるかのような、地上約2.3mのドーナツ型の水槽「サンシャインアクアリング」(左)、迫力のスケールで大型のエイなどが観察できる「サンシャインラグーン」(中)、日本初のトンネル型クラゲ水槽「ふわりうむ」(右)。
●藤子・F・不二雄ミュージアム(神奈川県川崎市)
川崎市多摩区に2011年9月にオープン。藤子・F・不二雄(藤本弘)さんの原画約5万枚の展示や、同氏の仕事場を再現した「先生の部屋」、緑豊かな屋外広場にキャラクターのオブジェが並ぶ「はらっぱ」など、大人も子どもも楽しめる施設。藤子・F・不二雄さんのまんがの世界を通じて、遊び心や親子間・家族間のコミュニケーション、さらには自然との共存などを感じることができる。
●ダミーダミーダミーダミー
(C)Fujiko-Pro
▲同氏が実際に使用していた机や膨大な蔵書や資料を展示した「先生の部屋」(左)、代表作の直筆カラー原画などを豊富に展示(中)、敷地内ではさまざまなキャラクターと出会える(右)。
3.印刷業界のビジネスチャンス
 レジャー施設の「エデュテインメント化」が進む中、近年では「知的好奇心」を満たす場である博物館へも多くの人が足を運び始めています。2008年に「国宝 薬師寺展」、2009年に「国宝 阿修羅展」と、70万〜90万人を集める大ヒット展覧会が続いた東京国立博物館は、2011年1月に収蔵品の常設展示を強化するための一部リニューアルを実施。収蔵品を中心とした展示を「平常展」から「総合文化展」に改称し、日本美術の流れをつかめる時代別展示や、彫刻、漆工、陶磁器、刀剣など一つの分野の作品をじっくり鑑賞できる分野別展示、一歩踏み込んだテーマによる企画展示など、展示スタイルを工夫し、展示の仕方もより近くに寄って見られる形に変わっています。
 こうした施設の新規オープンやリニューアルオープン、新企画の開催などの集客強化施策は、印刷業界にも数々の好機をもたらします。ポスターやフライヤーなどの告知ツールの作成、施設を案内するパンフレットや解説パネル、各種チケット、さらには、ポストカードをはじめとする各施設のオリジナルグッズの開発、ミュージアムショップで販売する図録や写真集、関連書籍など、さまざまな印刷需要へとつながります。
  また、デジタルサイネージのコンテンツ制作や、施設内で電子マネーとして使用するICカードの提供など、印刷会社が提案できるサービスのフィールドは近年広がっています。
 さらに、高齢化が進む中で団塊の世代をはじめとする中高年層向けの施設やソフトの開発も盛んになってきています。高齢者でも視認しやすく理解しやすい施設のPRおよび案内ツールの需要や、コンテンツ面での監修業務などのニーズも拡大していくことが考えられます。
 人を集め、人を楽しませる機会と場の提供。これらレジャー業界への積極的な提案は、「コミュニケーション力」をビジネスの根幹に据える印刷会社にとっても、刺激的なフィールドといえるのではないでしょうか。
●ダミーダミーダミーダミー
▲東京国立博物館のミュージアムショップでは、伝統的な製本法で作られた和綴本(左)や子どもにも喜ばれそうなかわいい埴輪などがデザインされた考古ふせん(中)、擬人化した金魚などが描かれたユーモラスな作品をモチーフにしたマグネット付きメモ帳(右)などが並ぶ。
●ダミーダミーダミーダミー
▲鉄道博物館(埼玉県さいたま市)の建物の概要から所蔵車両など、鉄道博物館のすべてが分かる展示図録(左)と、駅名標をかたどったシール(中)、ミュージアムショップだけでしか入手できないオリジナルポストカード(右)。
●ダミーダミーダミーダミー
▲リニア・鉄道館のミュージアムショップで販売されている人気のグッズ。紙製の外箱に工夫を凝らしている。N700系新幹線バームクーヘン(左)、リニア・キャラメルポップコーン(中)、展示車両ミニプリントクッキー(右)。
 
back
Copyright(c) FUJIFILM BUSINESS SUPPLY CO., LTD. All Rights Reserved.