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印刷にも「やさしさ」を 〜「ユニバーサルデザイン印刷」の時代へ〜
 
感圧紙の業界の未来を考える グリーンレポート
震災を教訓に、いまあらためて向き合いたい
企業防災を考える
2011/9/12
1.企業防災とは
2.企業の防災への取り組み
3.印刷会社の新たな動き
1.企業防災とは
 一般的に「防災」というと、「避難経路や避難場所の確保」「保存食の備蓄」「家族との連絡手段の確保」などを思い浮かべる方が多いでしょう。企業の防災も基本的にはそれに準じ、さらに「従業員や顧客の安全確保」「物的被害の軽減」「地域の一員として被害の軽減と復旧・復興への貢献」など、「備え、守る」ことへの取り組みを指します。
 しかし、企業の取り組みとなると、それだけでは十分とはいえません。企業は「事業を継続する」という社会的責任を負うものであることから、近年は「事業継続(Business Continuity、以下BC)」という観点も重要視されてきています。 
 BCとは、災害や事故で被害を受けても、ステークホルダー(取引先など)の重要な業務が中断しないこと、もしくは短期間で再開を目指すことを指します。BCの具体的な対応策として策定されるのが、「事業継続計画(Business Continuity Planning、以下BCP)」です。
 BCPの具体的な内容としては、バックアップのシステムづくりや代替オフィスの確保、即応可能な要員の確保などが挙げられますが、それらは事業内容や企業規模に応じた対応でよく、BCP策定のために大がかりな準備や、大きな出費を伴う必要はありません。そのため中小の企業にとっても、「意識啓発」や「ルールづくり」など、身近なことからBCおよびBCPの策定を進めていくことが重要といえます。
 一つの企業の製品やサービスの供給停止が世界経済に大きな影響を与えることは、東日本大震災でもあらためて明らかになりました。防災やBCへの試みは、今後一層重要視されていくばかりか、省エネや環境保全に対して真摯に取り組まない企業が社会的に評価を得られないように、企業の評価において重要な指標の一つとなっていくことでしょう。
●図表1 従来の防災とBCへの取り組みの特徴
●図表2 BCPの策定と運用チャート
2.企業の防災への取り組み
 「生命を守る」ことと「事業を継続する」という2つのアプローチで取り組まれる企業防災ですが、具体的な取り組み内容や優先すべき事項は、企業や団体の業種・規模などにより異なります。
自社の事業特性を生かし、またCSRを果たしていくという観点で、独自の防災活動を行う企業の一例として、東京ガスの例を挙げてみましょう。
 同社では、数年前より「SAVE YOURSELF」と題した、社内において防災を日常化する運動を展開。「まずは自身と家族を守ることができてこそ、顧客とインフラの安全を守ることができる」というコンセプトの下、社員への防災に関するグッズの紹介や講演会の実施、防災情報パンフレットの配布を行っています。さらに地震発生時には、社員の携帯電話へ地震情報の配信や動員要請を行うなど、「防災・減災を行動に起こす」ための社員参加型の情報提供を継続的に実施しています。「自社の損害が社会の損害へ直結する」というエネルギーインフラ事業者ならではの危機管理手段といえるでしょう。
 また、多くの企業の連合体として、加盟企業の防災対策をサポートする活動を行っているのが名古屋商工会議所です。同団体では、地域防災の専門家による監修の下、実際の製造業企業による防災対策の立案・実行の具体的な事例をまとめた『製造業のための地震防災対策─事例集─』を刊行。加盟企業への防災への意識喚起とともに、実践的な取り組みの指針を提供しています。
 一方、他社の防災活動を支援するサービスも登場しています。日本マイクロソフトは、2011年8月より、ウェブ上でアンケートに回答するだけで、同業他社と比較したITシステム面のBCP対応度を無料で診断してもらえる「BCP簡易アセスメント」を開始。他社との比較を一つの指標に、自社のBCPを客観的に見直す機会を提供するサービスとして好評です。
●防災情報や防災チェックシートが記載された東京ガスの「SAVE YOURSELF」パンフレット
▲防災情報や防災チェックシートが記載された東京ガスの「SAVE YOURSELF」パンフレット。
●オリジナル大判ハンカチ
▲オール東京ガスの「防災フェア」などで従業員向けに防災グッズを販売。写真は、売上ランキング第2位の「オリジナル大判ハンカチ」。緊急時にはマスク、包帯、止血帯などに利用できる。
3.印刷会社の新たな動き
 東日本大震災以後、防災グッズの企画・販売や、インスタントラーメンや飲料水などの特需が起こるなど、防災をキーワードとしたビジネスが活性化しています。それは印刷会社においても同様で、緊急マニュアルや災害対策ハンドブックを企業に提案する会社も増加しています。
 株式会社コーユービジネス(本社:大阪市)は、カードサイズから最大A2相当のサイズまで展開できる折り加工を施したZ-CARD™を用い、企業・自治体・教育機関へ向け「地震災害初動マニュアル」の作成をPR。常時携帯しやすいコンパクトなサイズでありながら、災害の内容や規模に応じた活動を迅速に行うためのさまざまな情報が網羅されています。
 また、神戸市の印刷会社、田中印刷出版と水山産業の2社は、災害時に備え伝言カード付きのカレンダーを企画。企業や団体が来年のカレンダーを作る際、最終ページや裏面に伝言カードを印刷するよう提案しています。個別に避難をした家族や社員が、安否を連絡・確認する際に利用してもらい、防災意識向上につなげようというアイデアです。賛同する企業にはカレンダーを余分に印刷してもらい、東北の仮設住宅などに届けることも計画しています。
 印刷会社による防災ツールの提案自体は今に始まったことではありませんが、この2つのサービスが優れているのは、「より使いやすく」という配慮と、いざ必要性が生じるまで「いかに手元に置いてもらうか」というアイデアがあることです。
 印刷会社には、優れた防災ツールの提案が期待されるのはもちろん、顧客の事業形態やビジネスの特性、さらにBCPを踏まえ、「顧客ごとの最適な防災対策をいかに提案するか」ということが重要なポイントとなってくるでしょう。
防災に対するノウハウや顧客企業への理解力、さらにはコミュニケーションを深めていくことが、ビジネスチャンスの獲得のみならず、広義には地域社会に貢献することにもつながります。
 印刷メディアは、テレビ、ラジオ、インターネットなどとは異なり、停電時でも、何度でも情報を参照することができます。また、保存性に優れ、持ち出しも容易なため、あらためて見直されるべきものです。印刷会社が企業や人々の安全に対して果たせる役割は大きいといえるのではないでしょうか。
●カードサイズに折りたたみ、コンパクトに携帯できるZ-CARD™を使った企業向け防災マニュアル。他にも学童向け防災教材や、自治体向け初動マニュアルなどがある。
▲カードサイズに折りたたみ、コンパクトに携帯できるZ-CARD™を使った企業向け防災マニュアル。他にも学童向け防災教材や、自治体向け初動マニュアルなどがある。
●伝言カード付きカレンダー(田中印刷出版、水山産業)
▲最終ページに印刷された伝言カードは、災害時、居場所を書いて自宅や避難所などに掲示し、家族に知らせることを想定している。
 
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