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「わが町らしさ」で地域に活力を
 
感圧紙の業界の未来を考える グリーンレポート
「わが町らしさ」で地域に活力を 2011/6/10
1.「B級グルメ」が生み出す地域活性効果
2.地域・企業・国による、三位一体の地域振興施策
3.新たなビジネスにつながる印刷会社の地域活性化
1.「B級グルメ」が生み出す地域活性効果
 地域振興策として最も注目されているのが「B級ご当地グルメ」(※1)です。「地域に愛される、安価でおいしいご当地名物料理」が大きなブームとなっており、町おこしや地産地消の目的で新たに創作される「開発型B級グルメ」も各地で次々に産声を上げるなど、その勢いはとどまるところを知りません。 
 B級グルメは、1990年代後半から小さな波が起こり始めていましたが、2006年に開催された「B級ご当地グルメの祭典! B-1グランプリ」が、今日のブームを生み出すきっかけとなりました。2006年の第1回八戸大会は、来場者が17,000人でしたが、5年後の第5回厚木大会では435,000人へと約25倍に拡大。大会で高い評価を獲得したメニュー(地域)には、日本一の栄冠と、地域の知名度向上に加え、地元への観光客の急増といった大きな経済効果がもたらされています(図表 法
 こうした効果に着目し、B級グルメによる振興を他の地域にも増して積極的に推進しているのが埼玉県です。以前から「観光資源に乏しい」といわれていた同県は、県内自治体ごとにB級グルメの開発や郷土料理の広報活動を熱心に展開。全64市町村のうち、36市町村、およそ50に上るB級グルメメニュー(※2)が存在するほか、県内各所で大規模なイベント(※3)が定期的に開催されています。
 2010年8月には、四国4県の飲食業や農業、NPO関係者で作る「四国B級ご当地グルメ連携協議会」が発足。2011年5月には、「八幡浜ちゃんぽん」「今治焼豚玉子飯」といった四国4県のB級グルメを紹介するフリーペーパー「BQ」を創刊し、道の駅や観光案内所に設置するなど、地域間での情報交換やイベント開催を通じて相互の活性化を目指しています。
 これまでは、B-1グランプリ以外のB級グルメイベントは、県内の各地で小規模かつ散発的に行われていましたが、今や市町村から県へ、さらに複数の県からなる地方全域へと、徐々に広がりを見せています。B級グルメがメディアを賑わす状況は、今後もしばらく続くものとみられます。
※1 B級グルメの関連記事は、グリーンレポート2010年11月号「期待される観光産業の今とこれから<第2回>」でもご紹介しています。
※2 豆腐ラーメン(さいたま市)、キューポラ定食(川口市)、みそポテト(秩父市)などほか多数。
※3 県主催の「埼玉ご当地B級グルメ王決定戦」、川口市の「川口B級グルメ大会」、行田市の「行田市B級グルメ大会」など。
●図表  B-1グランプリによる経済効果
(左)埼玉県深谷市の郷土料理「煮ぼうとう」。深谷ねぎをはじめ、地元名産の野菜と幅広の麺をしょうゆ味で煮込んだもの。(右)埼玉県さいたま市の「豆腐ラーメン」。さっぱりしょうゆ味のスープに、粘りの強い大きな豆腐とひき肉のあんかけが乗せられたラーメン。
「BQ」創刊号
「四国B級ご当地グルメ連携協議会」発行による、四国4県のB級グルメを紹介するフリーペーパー「BQ」創刊号。
2.地域・企業・国による、三位一体の地域振興施策
 「地域振興」といえば、一般的には自治体や市民団体、町内会などで取り組まれるケースが多い中、地元企業の協力を得ることで、さらに魅力的なプロジェクトを展開している例もみられます。
 山形県では、県出身の世界的な工業デザイナー、奥山清行氏を中心に、鋳物・木工・繊維などの県内の優れた職人と連携し、伝統と現代的なデザインを融合させた高品質なインテリアや生活雑貨を製造・販売する「山形カロッツェリアプロジェクト」を展開。パリで開催される世界最高峰のインテリアの国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」にも製品を出品し、地域伝統の「ものづくり」の技術を世界に向けて発信しています。
 こうした地域と企業の連携は、2007年に施行された「中小企業地域資源活用促進法」を受け、ますます加速しています。同法は、地域の技術、農林水産品、観光資源を活用したビジネスを展開する中小企業に対し、税制・金融面などの総合的な支援措置(図表◆砲鮃圓Δ發里如◆崔聾気蕕靴機廚鯊任曾个靴織咼献優垢凌橋修鯡榲としています。
 土地に根付いた企業や技術、資源を尊重して活用する施策展開は、経済振興に加え住民の「郷土愛」や「地元精神」を培う効果が生まれることも大きなメリットといえるでしょう。
■図表  中小企業地域資源活用促進法の支援内容
3.新たなビジネスにつながる印刷会社の地域活性化

 地域と企業が連携して地元の活性化を図ろうとする機運が高まる中、各地の印刷会社でも、地域社会の一員として地域振興に貢献していこうという動きが見られます。

 その一例として、愛媛県今治市の第一印刷株式会社の取り組みが挙げられます。同社は、地元今治市の特徴を多彩に取り入れた地域のシンボルキャラクター、「いまばりゆるきゃら バリィさん®」のデザイン提案から、ブログやツイッターによる話題づくり、カレンダーや携帯電話の待ち受け画像の無料配布など、さまざまなプロモーションを展開。当初はなかなか認知が進まなかった「バリィさん」も、今や今治地方観光大使第1号に任命されるなど、地域を代表するキャラクターとして多くのファンを獲得しています。
 さらに同社は、印刷会社としてのノウハウを発揮し、「バリィさん」の携帯ストラップやタオルハンカチ、ノートなどのキャラクター商品を展開。プロモーションの成功とともに、自社ビジネスの裾野の拡大も実現しています。
 東洋美術印刷株式会社(東京・千代田区)は、チラシや小冊子、ショップカードなど紙媒体へQRコードを掲載することで、店舗や商店街のモバイルサイトへの誘導を行う地域ソリューションサービス「モビレッジ」を展開するなど、地域振興ビジネスに注力しています。また、2009年、文京区の区制60周年を記念し、商店街のお店や区の5大花まつりなどを紹介したフリーマガジン「文京区タウンガイド めぐるめ」の企画から印刷まで一貫して担当した同社は、その企画・編集において地元の文京学院大学とのコラボレーションを実施。学生の目線を加えた地域の新たな魅力を発信するとともに、大学側にも学生へのフィールドワークといった「学び」の機会を提供するなど、産・学・官の連携による情報誌制作を通じて、多角的な地域の活性化に貢献しています。さらに、ここで培ったノウハウを生かし、同社と大学とのコラボレーションによる企画・実行でさまざまなイベントを成功させています。

 グローバル化が進む社会にあって、失われつつある「地域性」をもう一度見つめ直し、地元への貢献意識を持って地域の資源を有効に、効果的に、そして魅力的に活用していくことが、おのずとビジネスチャンスにつながる。一見、経営的に負担と思える「地域貢献」への取り組みにこそ、印刷会社にとっての大きな可能性が秘められているのです。

いまばりゆるきゃら バリィさん
「いまばりゆるきゃら バリィさん®」(左)と、キャラクター商品として展開している携帯ストラップ(右上)とタオルハンカチ(右下)。他にも、ノート、メモ帳、クリアファイル、シール、付箋、卓上カレンダー、ハガキなど多彩に展開している。©第一印刷株式会社
文京区タウンガイド めぐるめ/モビレッジ
2009年に産・学・官の連携により企画・制作された「文京区タウンガイド めぐるめ」(左)と、モバイルサイトと連動させたソリューションサービス「モビレッジ」のポケットサイズ冊子(右)。
 
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