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低炭素社会を目指して〜印刷業界に求められる取り組みとは〜
 
感圧紙の業界の未来を考える グリーンレポート
低炭素社会を目指して
〜印刷業界に求められる取り組みとは〜
2011/5/10
1.多分野に広がる環境への取り組み
 ●実施へ動き出す「カーボンフットプリント制度」
2.環境関連ビジネスの新たな動き
3.印刷業界の取り組みとは
 ●印刷会社によるCSR活動
 ●「環境配慮」に見る印刷会社の活路
1.多分野に広がる環境への取り組み

 2000年、国や地方自治体などが物品の調達や公共工事を行う際に、環境負荷が低いものを優先して購入することを義務づけた「グリーン購入法」が制定されました。これを受けて、民間企業でも独自の「グリーン調達基準」を設け、環境に配慮した資材調達を行う動きが広がっています。
 また、さまざまな産業における環境配慮型の製品・サービスの登場や、家電・住宅におけるエコポイント制度、エコカー減税の実施など、「環境負荷低減」「温室効果ガス削減」を合言葉に、官民一体となり、実に多様な取り組みが行われています。

●実施へ動き出す「カーボンフットプリント制度」
 環境対策の一つとして注目されているのが、「カーボンフットプリント(Carbon footprint)」です。
 カーボンフットプリント(以下、CFP)とは、直訳すると「炭素の足跡」。製品・サービスの生産から消費までに排出された「温室効果ガス(※)の量」をCO2排出量に換算・数値化し、製品やサービスに分かりやすく表示するものです。
 CFPを算出・表示することで、事業者には、CO2削減を図る上での有用な情報になるほか、消費者には、環境負荷の低い製品を選択する際の目安となります。CFP制度は、消費者がより環境負荷の低い製品・サービスを選ぶことで、企業に対し、より環境に配慮した製品開発を促すことを目的としています。
 CFPの制度化へ向け、2008年6月、経済産業省は「CFP制度の実用化・普及推進研究会」を設置し、2009年5月には「CFP制度試行事業」を開始しました。総合スーパー「イオン」の3品目への実施を皮切りに、食品、洗剤、文房具、衣類などで70製品以上(2011年2月時点)のCFP表示製品が市場に登場しています。
 CFP製品に対する消費者の反応も良好で、経済産業省などが行った調査によると、「製品に高い付加価値を与えるもの」として受け止められていることが分かりました(図表 図表∋仮函法I抻離侫ぅ襯爐任2009年末に、印刷資材では初めてとなる、CTPプレートのCFP表示を開始しています。
 今後、CFPのISO規格化などへの進展も議論されており、さらに認知が高まれば、私たちの日常のあらゆるシーンでCFPマークを目にする日も近いかもしれません。

※温室効果ガス(Greenhouse Gas)…大気中にあり、地表から放射された赤外線の一部を吸収することにより温室効果をもたらす気体の総称。二酸化炭素、メタン、フロン、亜酸化窒素など。
カーボンフットプリントマーク
▲カーボンフットプリントマーク(サンプル)
■図表CFP表示の有無によるお茶500mlの「ちょうど良いと思う値段」比較
■図表CFP表示製品のキャンペーン時の売上比較(前年比)
2.環境関連ビジネスの新たな動き
 前述のCFPをはじめとして、近年、国によるさまざまな温室効果ガスの削減施策が行われていますが、それに呼応する形で活性化しているのが、環境ビジネス市場です。水質汚染防止などを行うエンド・オブ・パイプビジネス(浄化ビジネス)、廃ガラスや廃タイヤなどのリサイクルビジネス、太陽光発電や省エネ機器などのクリーンエネルギービジネス、さらに、企業や官公庁の環境活動に関して助言や各種調査・検証・分析などを行う環境コンサルティングビジネスなど、その領域は多岐にわたります。
 このように多様な展開を見せる環境ビジネスの中でも、2008年の北海道洞爺湖サミット以降、とりわけ話題となっているのが、カーボンオフセットビジネス(CO2排出権取引)です。その仕組みの提供や実施をサポートする「カーボンオフセットプロバイダー(以下COP)」が、欧州や米・豪を中心に、徐々に市場規模を拡大させています。
 日本でも、リサイクルワン(東京都渋谷区)、PEAR カーボンオフセット・イニシアティブ(東京都中央区)、モア・トゥリーズ(東京都渋谷区・理事にはミュージシャンの坂本龍一氏、幻冬舎社長の見城徹氏など。各界の著名人161人が賛同人として参加)や、エコノス(北海道札幌市)など、排出権取引を主業務とする複数の専業プロバイダーが登場しました。
 COPの活動はCO2排出権の取引だけでなく、カーボンオフセットによりCO2を相殺した製品、いわゆる「カーボンオフセット製品」の立案などもあります。具体的には、2007年4月に登場したJTB関東の「CO2ゼロ旅行」が国内初のカーボンオフセット製品といわれており、以降、缶コーヒーやお菓子、即席ラーメンや書籍、さらには自動車保険、定期預金・投資信託、廃棄物の収集・運搬まで、さまざまなカーボンオフセット製品が提供されています(図表セ仮函法H展途上国でのCO2削減プロジェクトの促進など、今後さらに日本の優れた環境技術が世界中で生かされることで、ますますカーボンオフセット製品が登場していくことでしょう。
■図表カーボンオフセットの基本的な仕組み
カーボンオフセットとは、「ある場所」で排出された温室効果ガスを、植林や森林保護などによって「他の場所」で直接的、間接的に吸収・相殺(=オフセット)しようとする考え方や活動の総称。植林などにより二酸化炭素吸収量を増やす「直接的なオフセット」と、二酸化炭素を多く排出する途上国の設備を先進国の技術で改良し、CO2排出量を削減することによってオフセットを実行する「間接的なオフセット」があります。
■図表ぅーボンオフセット製品の国内市場規模予測
■図表ゲ甬遒鉾稜笋気譴織ーボンオフセット製品例
3.印刷業界の取り組みとは

●印刷会社によるCSR活動
 さまざまな分野で環境ビジネスが活性化していますが、すでにご存じのように、その流れは印刷業界においても始まっています。
 「FSC/CoC(森林管理協議会)認証紙」や木材パルプに代わり石灰石を使用した「ストーンペーパー」、水質保全に貢献する「ヨシ紙」などの環境にやさしい紙の使用や、カーボンオフセット印刷、水なし印刷、現像廃液を削減するシステムや刷版による印刷など、多彩な環境配慮型の製品・サービスが次々と登場しています。
 また、このような環境配慮型製品の他にも、CSRとしての環境保全活動に取り組む印刷会社も非常に多く、その取り組みもさまざまです。

 凸版印刷では、各生産事業所において物質収支(材料やエネルギーなどの使用、および生産により排出されるもの)のデータを集計し、事業所ごとに環境側面の影響評価を実施。また、製造段階で発生する産業廃棄物の有効活用を図り、国内の全事業所を「ゼロエミッション認定事業所(※)」とすることを目指しています(2009年度実績では、57事業所中45事業所)。また、2009年度の環境保全設備投資額は31億7,900万円となり、2008年度と比較すると135%増加。中でも、2事業所における新工場建設に伴い、高効率変電設備や、省エネ型照明機器、電力監視設備の導入などへの投資額を2008年度比で5倍に増加させるなど、事業の省エネ化を着々と推進させています。

※ゼロエミッション認定事業所…凸版印刷の各事業所への認定制度。再生・再資源化率98%以上であり、同社の環境活動を統括する社内組織「凸版印刷(株)エコロジーセンター」により認定された事業所が認定対象となります。
●「環境配慮」に見る印刷会社の活路
 大企業による大規模なCSR活動の一方で、地域に根ざした印刷会社ながら、環境配慮とCSRへの取り組みで注目を集めているのが、大川印刷(神奈川県横浜市)です。同社は
  4色セットインキをノンVOCインキ(石油系溶剤0%)へ2005年に全面切り替え
印刷機の溶剤使用量削減と、有機溶剤が含まれない製品への切り替えの実施。湿し水にアルコールを含まないエッチ液を使用
FSC森林認証紙を使用した製品の普及、推進
ぅーボンオフセット、カーボンマイナス(※1)による植林
デ杼車に圧縮天然ガス車を使用
Ρ超罰萋阿縫ーシェアリングやハイブリッド車を使用することによりCO2の排出量を削減
など、トータルな環境負荷低減構想「エコライン®(※2)」を2005年に作成し、環境配慮型の印刷会社として徹底したビジネスモデルの構築と提案力を強化。本業を通じた社会貢献を実践する「ソーシャルプリンティングカンパニー®」という目標を掲げて社員一丸となって取り組み、良質な提案を行うことで、社会的評価へと結び付けています。

 凸版印刷や大川印刷の取り組みに見られるように、良好な経営状態を維持するだけでなく、CSRを的確に遂行し、お客さまや投資家から高い評価を獲得していく動きこそ、低炭素社会の実現に向けて動き出しているこれからの市場においては、ビジネスチャンスを生み出すためのキーポイントといえます。
 社会全体で取り組みが進む「環境保護活動」への理解を深め、時代のニーズに応えるタイムリーな提案と、それを支える「環境共生型の企業ビジョン」の構築が、今、印刷会社にも不可欠となってきています。

※1 カーボンマイナス…CO2の排出量に対し、植林や自然エネルギーの利用、排出権取得などにより吸収量が上回っている状態。
※2 エコライン®…「第8回グリーン購入大賞」大賞受賞、「横浜型地域貢献企業認定制度」最上位認定取得、「第18回横浜環境活動賞」大賞受賞、「第9回印刷産業環境優良工場表彰」奨励賞受賞。
 
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