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暮らしに広がる3Dテクノロジー
 
感圧紙の業界の未来を考える グリーンレポート
暮らしに広がる3Dテクノロジー 2011/2/10
1.3D技術とは
2.3D機器の広がり
 ・家電からスポーツ中継、アミューズメントなどへ、急速に広がる3D
 ・3Dは定着するか

3.3D関連市場の展望
4.3D印刷と印刷業界の取り組み
1.3D技術とは
 平面に映し出されるイメージが、なぜ立体的に見えるのか。その答えは、「両眼の視差(ずれ)」にあります。人は右眼と左眼とで微妙に異なる角度や距離でものを見ており、左右の眼に映った映像を脳内で一つの像に処理し、空間の奥行きや立体感を感じています。3D映像技術は、この両眼視差を考慮した右眼用・左眼用の2つの映像を合成することで、平面画像を立体的に「感じさせる」技術です。つまり、3D映像は私たちの頭の中で作り上げられているのです。
 1970〜80年代、赤と青のセロハンを貼ったメガネをかけて3D映画を体験したことのある方は多いでしょう。現在の最先端3D技術も基本的な理論は全く同じものといってよく、近年進化を遂げたのは、視差を作り出す技術といえます。
 また、「3D映像」とひとくちにいっても視差を作り出すメカニズムはさまざまで、現在は、映画館の大きなスクリーンに適した方式やモバイル機器の小さな画面に適した方式など、ハード特性や視聴環境、生産コストなどを考慮して、メーカー各社が該当機器に最も適していると判断した方式(※)が採用されています。
※3D映像の表示方式例…メガネ方式(アナグリフ方式、偏光フィルター方式、時分割方式)、裸眼方式(パララックスバリア方式、レンチキュラー方式)など
●2眼式ステレオ映像の基本的な仕組み
2.3D機器の広がり
●家電からスポーツ中継、アミューズメントなどへ、急速に広がる3D
 富士フイルムは、2009年8月、世界で初めて裸眼で3D映像が楽しめる3Dデジタル映像システム、3Dデジタルカメラ「FinePix REAL 3D W1」、3Dビューワー「FinePix REAL 3D V1」、3Dプリントを発売しました(2010年9月には、第2世代となる「FinePix REAL 3D W3」を発売)。また、パナソニックの国内初の3D対応テレビ「3D VIERA」(2010年4月発売)を皮切りに、3D対応テレビ、録画・再生機器のラインアップが広がり、登場するたびに大きな話題になっています。東芝の裸眼で3D映像が楽しめるテレビ「グラスレス3Dレグザ」(2010年12月発売)が注目を浴びたことは、記憶に新しいでしょう。
 ゲーム機初の裸眼3D対応機「ニンテンドー3DS」の発売(2011年2月27日発売予定)を控える任天堂は、「携帯型ゲーム機は、(据置型ゲーム機と違い)表示画面が一体のため、ゲーム機を買ったすべての人が3Dを楽しむことができる(ゲーム機と3D対応テレビなどを買い揃える必要がない)。3D表示にアプローチするなら携帯型ゲーム機が圧倒的に有利」(任天堂・岩田聡社長:『東京新聞』朝刊2010年9月30日付)と、売上拡大の起爆剤として、同ハードに大きな期待を寄せています。
 また、サッカー「2010 FIFAワールドカップ」決勝戦やJリーグ公式戦の3D映像によるパブリックビューイングの開催、音楽ライブの3D生中継などをはじめ、ユニバーサルスタジオ・ジャパンの「ターミネーター2:3-D」、東京ディズニーランドの「ミッキーのフィルハーマジック」(2011年1月新設)、「トイ・ストーリー・マニア!」(2012年予定)など、テーマパークでのアトラクションへの3D展開も活発になってきています。また、3Dがクローズアップされるきっかけとなった映画産業においても、3D作品の急激な増加や過去の作品を3D化して再公開(「スター・ウォーズ」シリーズなどが予定)する動きも数多く見られます。
 さらに、従来は数千万円の投資が必要であった映画館への3D映写システムの導入を数百万に抑えることができる富士フイルムの3D上映システムなど、3Dをめぐる各種イベントやアミューズメントや3D視聴のインフラ拡充など、3D関連の話題には事欠きません。
●3Dは定着するか
 多くの業界・製品・サービスにおいて、3D映像表現は大きな話題を呼んでいますが、その視聴における課題や問題点もすでに指摘されています。3D対応コンテンツなどのソフト面がまだまだ不足していること、眼への負担、視聴する位置や姿勢によっては3Dとして見えにくい(スイートスポットが狭い)、視覚が十分に発達していない幼児への影響(3Dコンソーシアムの「安全ガイドライン」によると、両眼の幅が狭い6歳以下の児童は立体感を強く感じるため注意が必要と警告。「ニンテンドー3DS」は、発売前からホームページにて事前に注意を喚起)など、今後さらに検証すべき点は数多く見られます。
 今後、3D機能をAV機器における「付加価値の高い標準装備」としたいメーカーサイドがどのように消費者ニーズに応えていくか、また、どのような映像体験を提供できるかに期待と注目が集まります。
●ニンテンドー3DS(アクアブルー)
▲3Dボリューム機能(立体度合いをユーザーが自動で調節できる機能で、最小にすると2D画面となる)や、各種通信機能を強化した「ニンテンドー3DS(アクアブルー)」(画像提供:任天堂株式会社)
3.3D関連市場の展望
 このように、AV機器をはじめとした3D技術の進化は日進月歩の段階といえ、リサーチ会社による3D 機器の市場予測も、将来的には爆発的な拡大に至るとの予測も見られます。3D技術を家電や一部のイベント、アミューズメントにとどまることなく、さらに多方面への展開が期待されているのです。
 例えば、3Dデジタルサイネージなどのプロモーションツールとしての展開、3D地図や3Dカーナビなどへの展開、3D画像診断や3D対応内視鏡などの医療への展開、学習教材(アメリカやイギリスでは、3D対応DLPプロジェクターを用いた導入が開始)や各運転免許、技術者育成の3Dシミュレーションシステムとしての展開、各種デジタルアーカイブへの展開など、その可能性と利用価値は非常に高いといえます。また、3D技術や対応機器の普及により、これまでになかった新しい商品・サービスなどが創造されることも十分考えられるでしょう。
●3Dディスプレー国内市場規模予測
4.3D印刷と印刷業界の取り組み
 映像の3D化は、従来の2D画像では体験できなかった臨場感や迫力などを私たちに提供してくれます。今や映像は、「見るもの」から「体験するもの」へと転換を始めたといえるかもしれません。その興奮や楽しみが、印刷メディアにおいても期待されていくのは必然といえるでしょう。
 そのような中、印刷業界でも「3D印刷」に注力する動きが目立ちます。今、特に注目を集めるのがレンチキュラーフィルムを用いた3D印刷や2Dチェンジング印刷(レンチキュラー印刷〈※〉)で、2008年から展開する大日本印刷の「DynaCube 3D」をはじめ、多くの印刷会社がその取り組みを強化しています。近年では技術革新も進み、従来特殊な撮影技術と大きなコストが必要であった3D印刷の高画質化・短納期化・低コスト化・用途の多様化(大判印刷への対応や耐久力の向上など)が加速しています。
 また、2010年8月、凸版印刷は紙カートンへ直接UVニスのレンズを形成する表面加工技術「エンボスルック3D」を開発。画像の印刷と同時に3D効果を生み出すレンズの印刷も可能としたため、3D印刷の大幅なコスト削減を実現する技術として話題となっています。
 このように、印刷業界における3D化―「体験する印刷」への関心の高まりや、それに伴う技術革新も現在進行形で進んでおり、今後も次々と新たな表現が開発されていくことが予想されます。
 3D黎明期である現在、3D映像や3D印刷によるプロモーションは、珍しさや新しさで消費者の興味を喚起し続けると考えられ、企業の販促に大きく貢献することでしょう。しかし、今後さらに新技術の登場やコスト削減が進み、世の中に3D印刷が普及すれば目新しさは失われます。時流に乗った3D印刷の導入・展開はもちろん、3D印刷の特性と最新技術を深く理解し、それらを効果的に生かしたプロモーションをいかに展開していくかなど、アイデア面での提案力を磨くことが、今後の3D印刷や印刷業界のビジネスチャンス拡大への大きなポイントとなっていくでしょう。
※レンチキュラー印刷…かまぼこ状の極細凸レンズ(レンチキュラーレンズ)をシート状に並べ、2D画像上に貼り付けることで、見る角度により画像が立体的に見えたり動いて見えたりする印刷。「3D印刷」とも呼ばれます。
最新3D印刷事例
●元日に「3D新聞」を発刊
朝日新聞社は2011年1月1日付の朝刊(東京本社版)で、別刷りの3D特集「日本一ものがたり」を発刊。事前に配布された専用メガネをかけて紙面を見ると、記事も広告(掲載8社が協賛)も立体的に見ることができる試みを実施しました。1月9日〜3月末までの日曜日付朝刊に3D特集ページを掲載しています。
 
●別刷り3D特集専用メガネ
▲2011年1月1日付朝日新聞(東京本社版)別刷り3D特集専用メガネ
朝日新聞社広告局ホームページ
http://adv.asahi.com/modules/adtopics/index.php/content0134.html
 
●米100ドル札に3D印刷
2011年2月10日から流通する新100ドル札には、図柄と「100」の数字が動いて見える「3Dセキュリティーリボン(およそ100万個のマイクロレンズが織り込まれている)」や、一部図柄が次第に変色したり消えたりするなど、見る角度によってさまざまに変化する印刷技術が採用されています。この新100ドル紙幣の研究・開発には10年以上が費やされており、優れた偽造防止効果が期待されています。
 
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