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期待される観光産業の今とこれから<第2回>〜地方の魅力が高まる観光振興策〜
 
感圧紙の業界の未来を考える グリーンレポート
ランニングマーケットの広がりと印刷需要 2010/12/10
1.多様さを増すランニング関連ビジネス
 ・シューズ、アパレル市場の動向
 ・デジタル機器市場の拡大
 ・小売、サービス業の展開

2.マラソン大会の隆盛
3.ランニングブームによる印刷需要の可能性
1.多様さを増すランニング関連ビジネス
 ランニングシューズやウエア、音楽プレーヤーやスポーツウオッチなど関連ビジネスの裾野が広がり、大きな市場を形成しつつあるランニングマーケット。まずは、現在の市場動向を分野別にご紹介していきましょう。

●シューズ、アパレル市場の動向
 ランニング関連グッズの売上は年々拡大を続けています。矢野経済研究所の調査によると、ランニングシューズの2008年の市場規模は397億円(前年比7.9%増)、2009年には439億6,000万円(前年比7.7%増)と順調に成長。同研究所はその主な理由として「マラソン大会などへの参加意欲を強める一般ランナーの増加により、中・上級者向けモデルや高価格モデルが人気となっている」と発表しました。その勢いの背景には、近年の健康志向の高まりや、著名人ジョガー(モデル・タレントの長谷川理恵さん、作家の村上春樹さんなど)の登場、2008年以降のリーマン・ショックの影響なども指摘されています。「靴さえあれば始められる」という経済的な手軽さが、近年の市場の伸びを大きく後押ししているようです。
 シューズ同様にウエアの売上も好調です。近年増加している「美ジョガー」と呼ばれる女性ランナーをターゲットとしたランニングスカートやチュニック、ランニングドレスなど、機能性に加えファッション性を重視したウエアへの人気が高まっています。2009年にはランニングウエアのファッションショーも開催されるなど、「ランニング+ファッション」というスタイルはすっかり定着したといえます。
●ダミーダミーダミーダミー
▲カジュアルなデザインを展開するウィメンズスポーツブランド、DANSKINのランニングアイテム。
●デジタル機器市場の拡大
 ランナー御用達アイテムといえば、iPodやiPhoneに代表される小型のデジタルミュージックプレーヤーやスマートフォンで、家電メーカー各社はランナー向け製品の市場投入を活発化させています。近年、ナイキとアップルによる「Nike+iPod Sports Kit(※)」などのランニングとリスニングを楽しみながら走行データを取得できるサービスや、ランナーの走るリズムに合わせ自動で選曲し、心身共に音楽と一体となって走る楽しさを提供する、ヤマハの「BODiBEAT(ボディビート)」などのミュージックプレーヤーも登場。また、イヤホンで耳をふさがずに安全に音楽とランニングが楽しめる骨伝導ヘッドホン、スポーティーかつカラフルなデザインを施したカシオの女性向けランニングウオッチ、多機能化した歩数計や体脂肪計なども次々に市場に登場しています。
 ウエアのファッション化と同様に、これらの「走る楽しさ」を提供するデジタル機器が登場する背景には、「ランニングは美容と健康のためだけに行うものではなく、レクリエーションのひとつ」として捉える傾向の現れといえるでしょう。
※Nike+iPod Sports Kit…ナイキシューズに設けられたポケットにセンサーを収納し、走行距離・走行時間・消費カロリーなどをリアルタイムにiPodに表示。走行データはnikeplus.com上にて管理・分析が可能なランニングサポートサービス。
●ダミーダミーダミーダミー
▲ランニング時、腕に巻いて使用するヤマハ「BODiBEAT」
●ダミーダミーダミーダミー
▲女性ランナー向けのランニングウオッチ、カシオ「LW-S200H」
●小売、サービス業の展開
 皇居や大阪城周辺など、ランニングのメッカといわれる地域を中心に、ランナー向けの新しいサービスが次々と登場しています。その代表的な例が、2008年ごろから話題になったランニングステーションです。仕事帰りのビジネスパーソンなどを主なターゲットとして、ロッカーやシャワールームの提供、中にはウエアやシューズなどのレンタルサービスを行うこれらの施設の登場により、気軽に、身軽にランニングを楽しむスタイルが定着。「ノー残業デー」の水曜日には、皇居周辺は多くのランナーでにぎわいを見せています。
 2010年1月にワコールがオープンした女性限定ランニングステーション「CW-Xコンディショニングストア半蔵門」や、「ジョギング+リスニング」をコンセプトとし、ランニングに最適な音楽を取り込んだiPodの無料貸し出しを行う「ジョグリス」など、各ランニングステーション間でサービス面での多様化も進んでいます。その他、アディダスやナイキなどの大手スポーツメーカーでは、ランニングアドバイザーによるシューズの選び方や正しいフォームの指導サービス、各種ランニングイベントの開催も実施する総合ランニング施設をオープンするなどの多彩な展開が見られます。
2.マラソン大会の隆盛
 「東京マラソン」の人気(2011年大会では、マラソン参加定員3万2,000人に対し約29万4,000人、10・参加定員3,000人に対し約4万人が出走を希望)に牽引される形で、2011年10月には「大阪マラソン」の開催も決定されるなど、全国的にマラソン関連イベントが盛況です。現在、全国ではおよそ900近くもの大会(マラソン、トレイルランニング(※)、駅伝、トライアスロンなど)が開催され、それによる経済効果にも大きな注目が集まっています。
 沖縄県那覇市の「NAHAマラソン」第25回大会(2009年)は、大会史上過去最大の3万人(応募者総数3万3,906人)の参加者数を記録。県外からの参加者も約1万2,000人となったことから、宿泊施設や観光(土産物)などへの需要が高まり、約16億8,300万円の経済効果(りゅうぎん総合研究所調べ)を生みました。他にも、鹿児島県の「いぶすき菜の花マラソン」は8億円の経済効果(日本銀行鹿児島支店試算)を生み、2012年に開催を目指す「京都シティマラソン」も12億8,500万円の経済効果(京都市スポーツ振興課試算)が期待されています。
 「NAHAマラソン」の例にも見られるように、観光などへの二次的な効果が期待されるマラソン大会。今、各地方自治体も地域の観光協会や宿泊施設と連携し、マラソン大会をきっかけとした、観光需要の掘り起こしを目指す動きが活発化しています。
 たとえば、千葉県富里市が毎年初夏に開催する「富里スイカロードレース」は、給水所ならぬ給スイカ所を設け、地元の名産品をアピール。また、長野県長野市で開催される「信州戸隠トレイルランレース」では、協力宿泊施設への前泊が大会参加条件として規定されるなど、より地域性のアピールを強めた施策展開もその一環といえるでしょう。
※トレイルランニング…舗装道路で行われるマラソンに対し、ハイキング道や林道などの非舗装道を快走するランニング。
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3.ランニングブームによる印刷需要の可能性
 ランニング関連グッズやサービス、そしてマラソン大会やイベントの増加、書店に並ぶランニング関連書籍やムック本の増加など、着実に拡大を続けるランニング市場。今後、これらのムーブメントがさらに広がることで、印刷需要の可能性も大きな広がりを見せていきます。
 たとえば、シューズやウエアなどが続々と新発売されることによって生まれる、チラシ、パンフレット、リーフレット、DM、PRイベントなどのツール需要。全国各地で開催されるマラソン大会においては、大会開催の告知ポスターやエントリーシート、エントリー抽選の通知書、ランニングルートマップや交通規制マップなどの各種運営ツールや、大会協賛企業のツール需要。そして、マラソン大会とリンクする形で展開される観光PRや名産品・特産品のツール需要への発展など、「地域活性化」をテーマとした広がりも考えられます。
 また、帝国ホテル東京や八重洲富士屋ホテルなどは、皇居ランニングのための宿泊プランを販売し、参加者にはランニングマップを提供。さらに、旅行業界などでも国内外のマラソン大会への参加ツアーを展開するなど、ホテル業界や旅行業界の試みにも注目です。
 今後は、個人や家族単位だけではなく、企業やランニングサークル、トレーニングジム会員などの「団体」にターゲットを広げる展開も考えられ、各種販促ツール需要の増加から、帳票類やツアープログラム、地域の飲食店やショップなどと提携したクーポン券など、さらなる印刷需要が有望視できます。
 このように、「美容と健康」という普遍的な価値と密接に結びつくランニングブームは、多くのビジネスチャンスを生み出しています。ブームの大きな流れを捉え、関連グッズ・宿泊・観光などの二次的・三次的な市場にも着目した印刷需要の掘り起こしを狙っていくことで、印刷業界のビジネスの幅もおのずと広がっていくはずです。
 ブームの「今」を見るだけではなく、先々にまで見据える姿勢で、印刷ニーズが潜在するポイントを見極めていきましょう。
近年のマラソン大会事情
●ICチップの導入が一般化
 全ランナーのゼッケンもしくはシューズや靴紐などにICチップを装着し、レース中各ポイントでタイムを計測。近年では2009年東京マラソンにも導入され、各ランナーの記録がリアルタイムにwebに掲載。すばやく確実な計測が可能なため、テレビ中継の実況にも生かされるなどの新しい試みで話題を呼びました。

●完走証や写真集の提供
 完走したランナーには完走証が提供されるほか、Tシャツやタオルなどの記念品、大会の様子を撮影した写真集(青梅マラソン)、申込者のランニングシーンを特別に編集したマイ・マラソンDVDの発売(ホノルルマラソン)など、多彩なアイテムを展開。マラソン大会ひとつをとっても、実に多くの印刷需要が発生しています。

●「東京マラソン」人気は印刷業界にも好影響
 約33万5,000人(マラソン・10km合計)が参加を希望した「東京マラソン2011」は、エントリー用の専用振替用紙や申込者への抽選結果通知書類などの印刷需要も発生。web中心の応募受付とはいえ、運営の細かな部分ではまだまだ印刷物は不可欠なツールとなっているようです。
●ダミーダミーダミーダミー
▲完走証一例(左上)と各種マラソン関連イベントのパンフレット
 
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