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医薬品「2010年問題」と製薬業界の変容
 
感圧紙の業界の未来を考える グリーンレポート
医薬品「2010年問題」と製薬業界の変容 2010/9/10
1.ジェネリック医薬品とは
2.政府の「ジェネリック医薬品」使用推進策
3.活発化する製薬業界
  ・ジェネリック医薬品市場の競争激化へ
  ・新スタイルの調剤薬局も登場

4.印刷業界への波及効果とは
1.ジェネリック医薬品とは
 新規に開発された医薬品(新薬、先発医薬品)は、開発製薬会社の知的財産として特許で保護されています。そのため、他の製薬会社が同等の医薬品を無許可で製造・販売することはできません。しかし、その特許権は長きにわたって認められるものではなく、通常20〜25年の保護期間を過ぎた医薬品は「社会の共通の財産」と見なされ、申請さえ行えば、あらゆる製薬会社が特許料を支払うことなく同様の成分を含んだ薬を製造・販売することが可能となります。こうして製造された医薬品は「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」といわれます。
 先発医薬品とジェネリック医薬品の異なる点は、その販売価格にあります。通常、新薬の開発には数百億円という莫大な費用と、10〜15年ともいわれる長期に及ぶ開発期間がかかっています。一方、ジェネリック医薬品は抑えた開発コストで製品化できるほか、すでに効能が認められている先発医薬品と同等のものであるため、市場で一定のニーズも見込むことができます。つまり、高品質な製品を安定供給しやすいといえるのです。通常、先発医薬品の3〜5割ほど安価に製造・販売されるジェネリック医薬品は、患者にとって大きな経済的メリットとなるのはいうまでもありません。
 「2010年問題」により、多くの先発医薬品の特許切れを迎えている今、ジェネリック医薬品メーカーにとっては大きなビジネスチャンスの時代が到来したといえます。
●医薬品の分類
●新薬開発プロセスとジェネリック医薬品の発売まで
2.政府の「ジェネリック医薬品」使用推進策
 ジェネリック医薬品の市場拡大が期待される背景には、「2010年問題」による大量の医薬品が安価に流通することに加え、政府による普及・促進の動きが追い風となっています。
 厚生労働省は2012年度までに、処方薬におけるジェネリック医薬品の割合を20.2%(2009年9月現在)から30%以上に増やす目標を掲げています。増大を続ける国の医療費の削減を主な目的として、2008年4月の「診療報酬改定」を機に、処方せん様式の変更を行いました。
 処方せん様式変更の大きな改変点は、「処方できるジェネリック医薬品がない」「患者が新薬(先発医薬品)を望んでいる」「医師が使用を認めない」などの事情がないかぎり、患者にはジェネリック医薬品を処方することになった点です。また、2010年4 月からは、ジェネリック医薬品を20%以上、25%以上、30%以上(数量ベース)調剤した薬局に対し、調剤基本料を段階的に加算するなどとしています。さらに、一定の条件(全体の20%以上の品目にジェネリック医薬品を採用するなど)を満たした医療機関に対し入院基本料を多く支払うなど、ジェネリック医薬品の取り扱いを優遇する政策を進めているのです。
●国民医療費とジェネリック医薬品シェアの推移
3.活発化する製薬業界
●ジェネリック医薬品市場の競争激化へ
 「2010年問題」や政府のジェネリック医薬品普及・促進策を受け、製薬会社をはじめとした各企業は、新たなマーケットとして期待されるジェネリック医薬品市場において、ビジネスチャンス確保の動きを活発化させています。
 そのひとつの動きとして、これまで新薬の開発・販売を行ってきた先発医薬品メーカーによるジェネリック医薬品市場への相次ぐ参入が挙げられます。日本ジェネリック製薬協会の澤井弘行会長は、2010年3月、福岡市内で開かれたフォーラムで「われわれは、患者の求めるものを安く提供するのが原点。多くの製薬企業も、遂にそういう状況になってきた」と、ジェネリック医薬品のさらなる普及・拡大への期待感を示しました。
 また、昨今ジェネリック医薬品市場へ参入しているのは国内先発医薬品メーカーだけではありません。外資系製薬メーカーはもちろん、異業種からの参入も相次いでいます。「ジェネリック医薬品新興国」である日本の医薬品市場は、今後ますます競争が激化していくことでしょう。

●新スタイルの調剤薬局も登場
 ジェネリック医薬品の普及・拡大の動きは、医薬品の処方の現場でも変化を生み出しています。
 2010年、都内にオープンしたある調剤薬局チェーンの新店舗は、従来の調剤薬局と比較して約2倍に上るジェネリック医薬品をラインアップ。窓口に訪れた患者に対し、先発医薬品のみで調剤した場合とジェネリック医薬品のみで調剤した場合の費用を比較した書類を患者に提供するサービスを展開しています。価格の違いが目に見えてわかることから、70〜80%の患者がジェネリック医薬品を選ぶ傾向にあるようです(医師の判断によりジェネリック医薬品を処方しない場合を除く)。
 ジェネリック医薬品の普及・拡大の背景には、長引く不況で「医療費負担を減らしたい」という患者の心理が大きく働いているのは間違いないようです。
4.印刷業界への波及効果とは
 ジェネリック医薬品の2009年度の国内販売額は4,400億円(日経産業新聞調査による推計)といわれ、2008年度比12.8%増となっています。このように、現在急速な「成長期」にあるジェネリック医薬品市場ですが、印刷業界にとっては多くの実りを期待できる「収穫期」といえそうです。
 医薬品包装資材の印刷ノウハウを有するA社は、2009年3月期第2四半期決算において、前年同期に比べ大幅な営業利益増を見込むなど、ジェネリック医薬品によるパッケージ、取扱説明書などの印刷需要が飛躍的に上昇することで大きな収益を獲得。現在も医薬品印刷包材の需要は堅調に推移しているとのことです。同社社長は「団塊の世代が高齢化し、医薬品分野のパイは拡大する」とコメントするなど、印刷需要のさらなる拡大に期待を寄せています。
 もちろん、医薬品における印刷需要はパッケージだけにとどまりません。書類関係への需要や、製薬業界の競争激化により、ポスター、チラシ、POPなどさまざまなプロモーションツールの需要も大いに期待できます。また、政府や日本ジェネリック製薬協会などが配布するジェネリック医薬品啓発ツール類などへの印刷需要も十分に考えられるでしょう。
 2011年、2012年にも主力大型新薬の特許切れを控える今、ジェネリック医薬品を中心とした医薬品市場は、印刷業界のビジネスチャンスという視点においても、今後ますます目が離せないものとなっていくでしょう。
●厚生労働省によるジェネリック医薬品啓発ツール
 
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