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歴史ブームに見る新ビジネスへの期待
 
感圧紙の業界の未来を考える グリーンレポート
歴史ブームに見る新ビジネスへの期待 2010/6/10
1.拡大する「歴女」マーケット
2.「歴旅」と旅行業界の動き
3.歴史ブームの経済効果
4.マーケット拡大による印刷需要の可能性
1.拡大する「歴女」マーケット
 歴史ブームにより、いわゆる「時代モノ」というカテゴリーに対して、特に若い女性たちからの関心が高まっています。ゲームをはじめ、コミックス、ライトノベル、アニメなどの歴史関連コンテンツと、それらから派生するさまざまなグッズの登場により、多くの「歴女」が誕生。現在の歴史ブーム形成に大きく影響を及ぼしているとみられています。
 「歴女」の登場に決定的な影響を与えたといわれるのが、2005年に発売されたカプコンのアクションゲーム『戦国BASARA』シリーズです。伊達政宗、真田幸村、織田信長、上杉謙信などの戦国武将を容姿端麗なキャラクターにすることで、多くの女性ゲームファンを獲得。ゲームからコミックスへ、さらに2009年にはアニメ化に至るなど、同シリーズは現在も着実に支持を拡大しています。
 また、2009年の宮城県知事選では、ゲームに登場するキャラクター、伊達政宗が広報用ポスターに採用されるなど、その知名度と影響力は、今や絶大なものとなっています。
 さらに、同ゲームのリリース翌年にオープンした、歴史に関連する書籍・グッズ・DVD・ゲームソフトなどを扱う「歴史時代書房 時代屋」(2006年、東京都にオープン)や、「戦国魂(せんごくだま)」(2008年、京都府にオープン)などの「歴史専門店」が、武将関連のキャラクター商品や雑貨類を積極的に販売。『戦国BASARA』と同じように、男性中心の歴史マーケットに若い女性を取り込むことに成功し、その盛況ぶりが多くのメディアで取り上げられました。
 このブームは他メディアへも影響し、「歴女」をはじめ多くの若者層から支持を得る時代小説も登場しました。その代表的な作品は2007年に発売された『のぼうの城』(和田竜著)で、第139回直木賞にノミネート、2009年本屋大賞では堂々の2位を受賞しています。カバーイラストには、女性に人気の漫画家オノ・ナツメ氏を起用するなど、多くの話題を提供しました。
『戦国BASARA3』『のぼうの城』
(左)人気シリーズ最新作 PlayStation3/Wii『戦国BASARA3』メインビジュアル
©CAPCOM CO., LTD. 2010 ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト http://www.capcom.co.jp/basara3/
(右)『のぼうの城』和田竜著 小学館 ©オノ・ナツメ
2.「歴旅」と旅行業界の動き
 ゲームやアニメ、小説などのコンテンツビジネスと同じように、「歴女」マーケットと密接にリンクしているのが「歴旅」といわれる歴史的名所・旧跡、神社・仏閣などを巡る旅行マーケットです。現在、各旅行会社や地域振興会などの主導のもと、規模の大小を問わず多彩なツアー企画が展開されています。
 たとえば、エースJTBは「戦国武将ゆかりの地を訪ねて」というツアーを2010年3月より販売。『戦国BASARA』とコラボレーションした内容(ゲームのキャラクターたちが描かれた旅行パンフレットなども作成)で、戦国武将ファンをターゲットに積極的にアピール。
 また、近畿日本ツーリストグループは、三国志をモチーフとした映画『レッドクリフ』ゆかりの地を訪れる中国ツアーを昨年実施。『レッドクリフPart2』のハイライトシーンとなっている激戦の地「赤壁」や「当陽」をはじめ、登場人物ゆかりの地を巡るツアー内容で、インターネット限定商品として販売しました。
 ANAは、2010年2月から「松平定知先生と巡るANA歴史ツアー」を数回(霧島、長崎、高知、松山など)にわたって企画・販売。元NHKエグゼクティブアナウンサーで、ニュースや『その時歴史が動いた』などで著名な松平氏による講演会や夕食会などがプランに組み込まれており、歴史と文化を学習できる内容が好評を博しています。
 歴史ブームの影響を受けて、これらの戦国時代や幕末・明治時代における「特定の人物」「地域」「歴史的事件」をツアーの目玉とした商品は、近年急激な増加傾向にあるとみられています。もちろん、上記にご紹介したツアー商品だけでなく、家族連れや友人同士などの個人旅行、SNSなどのコミュニティ内で、企画から呼びかけ、実施されるサークル系のツアーなどもますます増加傾向にあるようです。
●歴史ファン向けツアー商品・街歩きイベントの一例
3.歴史ブームの経済効果
 「時代モノ」に限らず、熱心なファンが映画やドラマのロケ地に足を運ぶことで、経済効果を生み出すことがあります。それは、現在の歴史ブーム下においてはより顕著に見られる現象といえます。
 ドラマによる経済効果で毎年注目されるのが、NHK大河ドラマです。過去、物語の主な舞台となった地域に支店を構える日本銀行によると、2008年放映の『篤姫』における鹿児島県への経済効果は364億円、昨年の『天地人』が204億円(新潟県)、そして今年の『龍馬伝』においては409億円(高知県)との試算がなされ、その人気と影響力の高さがうかがえます(下記図表参照)。物語の舞台が複数に展開される場合も多いため(たとえば『龍馬伝』の場合、高知県以外にも京都府や長崎県も主要な舞台となる)、それらを含めた場合、さらに多くの経済効果が発生していることは想像に難くありません。
 その中でも、「歴女マーケット」の経済効果も負けてはいません。第一生命経済研究所は、「グッズや書籍の購入」「歴史好きたちの会合への参加に伴う飲食代」「好きな武将のゆかりの地域への旅行や関連イベントへの参加」などの総合的な消費を考慮すると、「歴女」たちがもたらす経済効果はおよそ年間700億円との試算を発表しています。これは、有料音楽配信の国内売上に匹敵する経済規模となっており、歴史ブームの今後の展開によっては、さらに巨大な市場となることも十分に考えられるでしょう。
 地域に眠る歴史的素材を利用して、歴史マーケティング、歴史ブランディングの有効性とノウハウを紹介するビジネス本『これからは歴史で稼ぎなさい!』(渡辺康一著・ビジネス社)が出版されるなど、ますます経済効果への期待が高まる歴史マーケット。不況回復への目処がつかない中、ビジネスチャンスの獲得や地方経済活性化の鍵となるのは、全国各地に眠る「歴史資源」にある、といえそうです。
●ンHK大河ドラマによる経済波及効果の試算値
4.マーケット拡大による印刷需要の可能性
 企業による歴史関連商品の企画・販売をはじめとして、全国各地の歴史イベントの活性化、地域ゆかりの歴史上の人物とコラボレーションした特産品・土産物の販売など、今、日本全国で地域の「歴史」を資源とした商品やサービスが続々登場(下記表を参照)し、それに伴い印刷需要も増大しています。
 たとえば、京都府では最近の龍馬ブームを受け、「龍馬歴史マップ」を30万部制作・配布し、地域の歴史観光資源をアピール。また、戦国武将の長宗我部元親(ちょうそかべもとちか)が戦勝祈願をしたとされる高知市の若宮八幡宮では、女性の参拝客が増加したことを受け、武将のミニチュアのぼりや絵馬を制作し、好調な売れ行きを見せているとのことです。このような歴史的資源に恵まれる地域においては、さまざまな観光ガイドの作成やご当地グッズの開発が活発です。
 一方、戦国武将とは無縁に思える東京のオフィス街・丸の内では、最先端のショップやカルチャーが集う「丸ビル」において、2010年1月12〜17日に「大甲冑展」を開催。また、ビッグイベントが頻繁に開催される「さいたまスーパーアリーナ」では、今年の3月6・7日の2日間、「史上最大の戦国イベント」と銘打ち、音楽ライブや約40のブース出展による物販会などの「戦国武将祭」が開催されるなど、歴史関連イベントが盛況でした。

 歴史資源に恵まれる地域はもちろんのこと、そうでない地域でも改めて地域の歴史資源を掘り起してゆき、行政や観光協会等と協働して、積極的に販促ツールやイベント告知ツールなどを作っていく…。各地で歴史関連マーケットが活性化していけば、印刷業界におけるビジネスチャンスを生み出すことも大いに期待できるといえるでしょう。
●活気を呈する歴史関連資格・ビジネス・イベントの一例
戦国武将印鑑や坂本龍馬などの家紋入り印鑑/城山博文堂
▲戦国武将印鑑や坂本龍馬などの家紋入り印鑑/城山博文堂
歴史メールソフト『戦国武将の密書』/ジャストシステム
▲歴史メールソフト『戦国武将の密書』/ジャストシステム
『歴史メール 国武将の密書』は株式会社ジャストシステムの商標または登録商標です。
 
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