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次世代エネルギー「太陽光発電」の将来的展望と印刷需要<第2回>
 
感圧紙の業界の未来を考える グリーンレポート
次世代エネルギー「太陽光発電」の
将来的展望と印刷需要<第2回>
2010/3/10
1.太陽光発電を取り巻く産業の広がり(W(ダブル)発電、
  メガソーラー発電所)

2.太陽光発電を取り巻く広報・広告
3.太陽光発電を取り巻く印刷・帳票需要の今後
1.太陽光発電を取り巻く産業の広がり(W(ダブル)発電、
  メガソーラー発電所)
 現在、世界各国が自国内の太陽光パネルの普及や技術の向上に力を注いでいます。太陽光発電を取り巻く産業は、非常に裾野の広い巨大な産業といわれています。例えば、設置場所を選ばないメリットを生かして電気自動車用の充電設備に、透過性の高さからオフィスの窓に、さらに配線工事を必要としない街路灯の設置など、未来の産業やビジネス、街の景観をも大きく変えるといわれています。政府からの「補助金」の給付や、電力会社に余った電気を売却できる「売電」といったメリットにより、一般家庭を中心に着実に導入が進んでいる太陽光発電ですが、しかし一方で、まだまだ技術面やコスト面で大きな課題があるのも実状です。今後、太陽光発電技術を進化させていくには、夜間に発電できないという太陽光発電特有の致命的な問題を克服しなければなりません。また、イニシャルコストの負担額や導入後割高になる発電コストが大きな負担となる現状のシステムでは、普及するスピードは次第に遅滞していくことは必至といえます。太陽光発電の弱点(主に夜間電力の問題と割高なコスト)といえる部分への対応策が、今後の産業の可能性に大きくかかわってきます。

 現在、それらの問題点を克服するために、さまざまな手法が試されています。その一例を以下にご紹介しましょう。

●夜間も関係なく発電でき、CO2も抑制するW(ダブル)発電

 太陽光発電というと、「青や黒のパネルが屋根に設置されている風景」をイメージするように、日本での需要の7〜8割は住宅向けといわれています。従って、日本人が太陽光発電に求めているのは、毎日の光熱費の節約やエネルギーの自給自足にあるといえるでしょう。その意味で、夜間に発電できない太陽光発電は、効率的な発電方法とはいえない部分があります。

 そこで、その課題を補うべく注目され始めているのが、ガス会社などが推進している「家庭用燃料電池」や「家庭用ガス発電」といったコジェネレーションシステムにより太陽光発電の補助をする「W発電」です。これらは、天然ガスを使って発電するためCO2の排出量が少なく、環境にやさしい発電設備といわれています。現在、政府は、太陽光発電と同様に、「家庭用燃料電池システム」や「家庭用ガス発電システム」にも補助金を出し、普及の拡大に努めています。これらが普及していくことで、太陽光発電もさらに進展していくと予想されます。
●W発電概念図
●大規模な太陽光発電専用施設「メガソーラー発電所」

 実際に太陽光発電で都市のインフラとして機能させるには、効率よく発電してコストダウンを実現しつつ、膨大なエネルギー量を創出する必要があります。個人の家で発電するレベルでは、今後、大きな産業として育つには困難であるといえます。
 そのような中、政府や電力会社が主導となり、川崎や大阪、愛知といった大都市圏を中心に、大規模な太陽光発電を行う「メガソーラー発電所」の建設が進み始めました。「メガソーラー発電所」とは、従来の住宅の屋根などに設置する小規模の発電設備とは異なり、発電そのものを目的に建設される大規模な太陽光発電施設のことで、その名称が示すとおり、一般家庭の発電規模の約100万倍(メガワット)クラスを誇ります。クリーンかつ安定した電力の供給源として大きな期待が寄せられています。
 また、各地域のメガソーラー発電所には、シャープや東芝といった有名メーカーが技術参入していることも多く、単に発電施設としての役割だけでなく、未来を見すえた技術の向上を目指す実験場のような役割も担っています。
 その一例として、現在新潟県でメガソーラー発電所の建設(2011年運営開始)を進めている昭和シェル石油は、将来のEV(電気自動車)のためのインフラ整備までも視野に入れた複合的なエネルギー施設として開発を進めています。また、川崎のメガソーラー発電所においては、太陽光発電をPRする施設を設けたりするなど、エネルギーの大切さを一般の人にも広く知ってもらう動きも見られます。
●建設が進む超巨大メガソーラー発電所
2.太陽光発電を取り巻く広報・広告
 太陽光発電システムの国内販売数は、2008 年に入り、補助金なし、価格上昇という状況にもかかわらず、前年比プラスで推移しています。「洞爺湖サミットの影響もあり、連日のマスコミ報道が設置意欲を強く刺激した。」(山家公雄著 『ソーラー・ウォーズ』 2009年発行)という意見もあるように、太陽光発電が今後さらに普及・拡大するために不可欠なのが、行政による広報活動や民間企業による広告宣伝です。実際、今回の太陽光発電の急速な拡大も、その背景にはマスコミなどを通じて広がった 「環境ブーム」があったから実現できた、という見方もあります。
 一方、消費者庁は、太陽光発電の普及に伴って、太陽光発電装置などにかかる消費者相談が増加傾向にあると指摘しています。その相談内容は、光熱費や補助金に関することをはじめ、強引なセールスマンへの対処方法など、非常に多岐にわたると表明しています。太陽光発電に関するトラブルが今後も増え続ければ、消費者の不信感は高まり、普及の速度が鈍化してしまう可能性も出てきます。
 そのような中、政府は、より太陽光発電の普及と理解促進を促すために、太陽電池メーカーと住宅メーカーに対して三つの取り組みを提言しています。
 第一に、太陽光発電システムを備えた住宅のPR活動として、住宅展示場でのセミナーやイベントなどを積極的に開催すること。
 第二に、新聞・雑誌・webサイトなどの媒体を用い、あらゆる機会を通じて消費者の目に直接見える形でのPRを実施すること。
 第三に、現在各社が独自に行っている広告宣伝を政府の積極的なサポートのもと集中的に行うこと。
 その手段のひとつとして、太陽光発電を含めた環境価値の高い設備を付けた住宅へのマーク付与や、それらを検索できる手法の確立など、民間企業(住宅メーカー、太陽光パネルメーカー)と足並みをそろえた幅広いPR活動の必要性を訴えています。
●住宅用太陽光パネルに関わるPRの強化策
参考/ソーラー住宅普及促進懇談会報告書
3.太陽光発電を取り巻く印刷・帳票需要の今後
 温暖化対策やエネルギーの自給など、太陽光発電の普及拡大は、国を挙げて取り組まなければなりません。普及が進めば、エネルギー効率や技術なども高まり、太陽光発電の弱点ともいえる導入時のコストが低下していくと予想され、今後も太陽光発電購入時の補助金や新しい売電制度を利用して、経済的なメリットを享受する家庭も増えていくでしょう。
 東京都では、2009年の一年間において、太陽光発電補助金交付の申請者が8,951件に達しており、さらに早いペースでの普及が予想されています。また、政府が2010年度の太陽光発電の補助金枠を増やしたことを受け、今あるパンフレットなどPRツールをさらに増やしていくとも表明しています。このことからも、帳票をはじめとした、パンフレット、リーフレット、チラシ、DMなど、印刷物のさらなる需要拡大が見込まれています。また、民間企業やNPO法人などの団体と連携して、利用拡大プロジェクトなどをつくり、広く協力を図りながら太陽光発電の推進を行うなど、今までになかった新しい試みも生まれています。
 太陽光発電産業は、自給率の低い日本のエネルギー分野において革命ともいえるほどの影響を及ぼす可能性があります。今後の印刷・帳票需要においても、政府や自治体などの行政機関はもちろんのこと、電力会社や住宅メーカー、太陽光パネルメーカー、シリコン原料・基板メーカー、製造装置メーカーなどかかわる民間企業の多さから膨大な印刷需要が見込めます。今後の行政の方向性と民間企業のかかわり、動きを見極めていくことで新たな印刷ニーズを獲得することができそうです。
●政府・自治体の発行物例
(※)先進のソーラー発電、有機薄膜太陽電池
現在実験段階にある「有機薄膜太陽電池」は、シリコンなどの無機物の換わりにプラスチックの原材料にも使われる有機物を使用した「超薄型太陽電池」。まるでポスターのように印刷機で製造が可能で、壁面に張り付けることで、自家発電をより身近で気軽なものとする技術として注目を集めています。現行の「色素増感型」よりも低価格で販売される可能性が高く、10年先の市場投入を目指し開発中。街中で見かける日も近いかもしれません。
 
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