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農地法改正による農業の未来 <第1回>
 
感圧紙の業界の未来を考える グリーンレポート
農地法改正による農業の未来 <第1回> 2009/12/10
1.農地法改正とは
2.日本の農業の現状
3.各機関の取り組み
1.農地法改正とは
 今回の改正の第1のポイントは、戦後初めて農地の利用権(賃借権)を自由にしたことです。従来の農地法の場合は、農地所有者が農地を売買、贈与、交換、貸し借りをする場合、農業委員会や都道府県知事の許可を受けなければなりませんでした。しかし、今回の農地法改正により、法人に関しては、農業専属の執行役員を選出することや農地が有効利用されなければ契約を破棄できるなど、条件を満たせば契約が成立し、農地を借りやすくしました。これにより、農業法人以外の一般企業や外国の企業なども農業に参入しやすくなり、政府では農業に新たな活気が生まれると期待しています。
 第2のポイントは、農地の転用規制を強化したことです。改正前の農地法では、学校や病院などの公共施設を設置する場合の公共転用については、役所の許可は必要ありませんでした。しかし、今回の改正後に農地を転用する際は、許可権者である都道府県知事と協議した上で、農業上支障の生じない農地のみ使用が許可されることになります。政府は、この法案によって一般的な農地や優良農地(※)の転用を大幅に防げると見込んでいます。というのも、開発を目的に毎年2万ヘクタール近くの農地が転用されているほか、公共用地以外にも、さまざまなかたちで転用されているのが現状だからです。
 第3のポイントは、遊休農地(使われずに放置されている農地)についての利用促進を高めることです。現在、農家が耕作する意思のない耕作放棄地は、38万ヘクタールもあるといわれ、これはほぼ埼玉県の面積に匹敵するものです。法が施行されれば、農業委員会がすべての遊休農地に対して、指導・勧告を行うため、農地の有効利用が促進されると期待されています。
※「優良農地」とは、農業振興地域の整備に関する法律に定められた農用地区域内の農地(農振農用地」のことをいいます。農林水産省では、地域農業を発展させていくためにも、これらの農地を保全し、有効活用していくことが極めて重要と考えています。
出典/農林水産省HPより
●農地法改正とは
2.日本の農業の現状
 ご存じのとおり、日本の農業は危機に陥っています。1960年代に79%を維持していた食料自給率は、2009年には39%(カロリーベース)(農地面積は約460万ヘクタール)まで落ち込みました。この数値は、仮にこの面積で収穫できる作物が米や芋などの高カロリーなものでも、1日当たり2,020キロカロリー分しか供給できないことを意味しています。2,020キロカロリーという数値は、成人男性の1日の平均摂取カロリーとほぼ同等です。
 また、就農者の高齢化も急速に進んでおり、農林水産省が発表している「平成20年新規就農者調査結果の概要」によると2008年の60歳以上の自営農業就農者数は2万6,710人で、自営農業就農者の総数4万9,640人のうちの約53.8%に当たります。就農者の約半分が60歳以上なのです。このまま高齢化が進めば、日本の農業の未来は、ますます深刻な状況に陥ってしまうことは必至です。
●2008年就農者年齢別グラフ
●日本の食料自給率の推移
 さらに、農地転用などの原因で、耕地面積も年々減少を続けています。1961年に約609万ヘクタールあった耕地は、2009年には約460万ヘクタール(※)と約149万ヘクタール減少しました。この数値を国民1人当たりの耕地面積でみた場合、4アール(※)弱となり、フランスの46アール、イギリスの27アール、ドイツの20アールと比べると、日本の耕地面積がいかに少ないかがわかります。しかも、2008年から2009年にかけてみてみると、2008年の耕地面積は462万8,000ヘクタールであったのに対し、2009年は、460万9,000ヘクタールと、たった1年で1万9,000ヘクタールも少なくなっているのです。

 今の状況が続けば、日本の農業は、耕地面積、就農者の高齢化などによって、状況がさらに悪化していくことは間違いありません。
●2009年 耕地面積
※1アールは、一辺が10メートルの正方形の面積
 1ヘクタール(ha)=1アール(a)×100
3.各機関の取り組み
 今回の農地法改正は、「平成の農地改革」と呼ばれるように、法改正の内容は多方面にわたり、しかも膨大です。また、戦後初めてといっていいほど、一般企業なども大規模に参入してくるとあって、行政機関、地方自治体の対応や取り組みは多岐にわたっていきます。農林水産省では、地方自治体、一般の企業はもちろんのこと、経団連へも協力・連携を呼びかけています。
 それを受けて日本経団連は、農地法改正は地域の経済の活性化や新たな雇用を生み出すものであると位置付け、地域の重要な産業である農業を活発にするべきであると主張し、産業界と農業界の連携・協力を進めています。同省は、これから予定されている施行に合わせて広報活動を含むさまざまな活動を展開していくと予想されます。
 さらに、イトーヨーカドーやイオンといった流通業界の大手企業やサッポロビールやカゴメといった巨大メーカーの農業参入も表明されました。今後、日本の農業が、これらの巨大資本により大きく変わっていく可能性は大いにあります。
 ただし、地方自治体では、農業従事者の混乱を避けるためもあり、6月の制定以後、早い段階から広報活動などに力を入れているところも少なくありません。東京都では、区役所などの窓口で農業従事者だけでなく一般住民にも農地法改正のパンフレットを配布するなど広く周知を図っています。
 特別民間法人である全国農業会議所では、有料のパンフレットを制作し、農地法改正施行後にはさらに広報活動を強化していくとしています。
 このように、12月中旬の施行を機に行政機関、地方自治体ともに広報活動を本格化していくと予想されます。
 次回は、農地法改正で変わる農業への一般の企業の取り組みや続々と誕生している農業法人やNPO法人などの活動を考察しながら、これから本格化するさまざまな場所で生まれる印刷需要についても迫っていきます。
●各行政機関、地方自治体などの取り組み
●農林水産省 農地法改正パンフレットA4 4ページ
【表紙】
農地法改正パンフレット【表紙】
  【中面】
農地法改正パンフレット【中面】
 
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